生物と無生物のあいだ の商品レビュー
「生命とは何か?」 世界的な生物学の歴史的背景と、一人の生物学者の研究過程をたどりつつ、この疑問の答えを探す。 生命について知りたいと思っている人は、DNAを発見するまでの背景が描かれていて、普通に面白い。ただ、私に取ってはそれ以上に、研究者目線で描かれているストーリに共感を覚...
「生命とは何か?」 世界的な生物学の歴史的背景と、一人の生物学者の研究過程をたどりつつ、この疑問の答えを探す。 生命について知りたいと思っている人は、DNAを発見するまでの背景が描かれていて、普通に面白い。ただ、私に取ってはそれ以上に、研究者目線で描かれているストーリに共感を覚えた。この本には、多くの研究者の成功エピソードや研究者同士のドロドロとしたエピソードなどたくさんの研究物語が詰まっている。 研究に対する考え方は人それぞれ異なると思うが、研究者の一人である筆者の研究観に触れることができるだけで、この本を読む価値はあると私は思う。
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やや専門的でハイレベルだけれども、「生命とは何か?」という根源的なテーマを軸に展開される興味深い話に、惹かれる人は少なくないのではないか。 そのテーマに則って、本文中で「生命とは…」という記述が幾度も出てくる。つまり、生命観というものの歴史的な変遷や、筆者の問題提起・主張である。...
やや専門的でハイレベルだけれども、「生命とは何か?」という根源的なテーマを軸に展開される興味深い話に、惹かれる人は少なくないのではないか。 そのテーマに則って、本文中で「生命とは…」という記述が幾度も出てくる。つまり、生命観というものの歴史的な変遷や、筆者の問題提起・主張である。出てきたものの要旨を以下に簡単にまとめてみる。 ・分子生物学的には、生命体とはミクロなパーツからなる精巧なプラモデル、すなわち分子機械にすぎないといえる。・生命とは、「自己複製しうるもの」なのか?・生命は、「現に存在する秩序がその秩序自身を維持していく能力と秩序ある現象を新たに生み出す能力を持っている」・生命とは、要素が集合してできた構成物ではなく、要素の流れがもたらすところの効果なのである(生命を波打ち際の砂の城に喩えている)。・生命体は、たまたまそこに密度が高まっている分子のゆるい「淀み」でしかない。・生物が生きているかぎり、栄養学的要求とは無関係に、生体高分子も低分子代謝物質もともに変化して止まない。生命とは代謝の持続的変化であり、この変化こそが生命の真の姿である。・生命とは動的平衡にある流れである。・生物には時間がある。その内部には常に不可逆的な時間の流れがあり、その流れに沿って折りたたまれ、一度、折りたたんだら二度と解くことのできないものとして生物はある。 生命の奇跡というものをドラマチックに、詩的に認識させてくれた名著だと思う。生命の動的な平衡がもつ、やわらかな適応力となめらかな復元力の大きさに驚愕した。
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publish or perish なアカデミズムの世界、ロザリンド・フランクリンをめぐるDNA発見の物語など生物学研究者としての視点で描かれており読み物としても興味深い。生物の本質は自己複製よりもむしろ動的平衡系にある、というのがメインの主張。行く川のながれは絶えずして、しかも...
publish or perish なアカデミズムの世界、ロザリンド・フランクリンをめぐるDNA発見の物語など生物学研究者としての視点で描かれており読み物としても興味深い。生物の本質は自己複製よりもむしろ動的平衡系にある、というのがメインの主張。行く川のながれは絶えずして、しかも本の水にあらず、ということか。平衡系では部分の欠損は代償されることもあるが、プリオンのような異常なピースがはまることによりドミナントネガティブな異常が起こることもある。生物はなぜそんなに大きい(多数の分子がある)のか。それはエラーに対して頑強であるためだという。エラーは平方根に従って増えるので、100個の分子であれば10個のエラー(10%)が起こる系であっても、1000000個であれば1000個のエラー(0.1%)になる(標準誤差ということか?)
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人間は機械とは違う。その鍵を握っていたのはなんと時間という概念でした。ビバ動的平衡!僕は固定された部品によって構成されているのではなく、分子くんたちが及ぼしあって起こす効果として存在しているのです。
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生物と無生物云々より高校生物の勉強のなかで出てきたトピックスのより深いドラマをといった感じ。デモ悪くない。
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分子生物学の内容を分かりやすい様に書いた作品。文章もただの説明書きみたいな感じではなく、小説みたいな感じに書かれてる。ただ、そのせいで本筋以外のトコのボリュームもけっこうあったし、持って回った言い方がちょっと鼻につく。終わりもちょっと尻切れとんぼ気味。
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テーマも面白いし、つかみも良かったので期待しつつ読んだけど....後半はあんまり、だった。難しい話の必要な説明は、必要だとは分かっていても、なんか退屈感否めずでペースダウン。 だがやっぱりテーマは面白いし、重窒素の追跡実験の話とか興味深い本ではあります。
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なんか久々に本を読んだ気がする。。良かった。中途半端なノックアウトより、完全なるノックアウトの方が正常を保てるなんて、まるで人生そのものだと思った。そんな一冊。
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分子生物学について文学的な表現を交えながら興味深く書いた本。途中、専門的になると想像の範囲を超えてしまって理解できなくなる。それでも我慢して読むと、また何となくわかりかけてくる。生物学もそのようなものかもしれない。専門的なところを省いたノーベル賞争いをノンフィクション風に書くと面...
分子生物学について文学的な表現を交えながら興味深く書いた本。途中、専門的になると想像の範囲を超えてしまって理解できなくなる。それでも我慢して読むと、また何となくわかりかけてくる。生物学もそのようなものかもしれない。専門的なところを省いたノーベル賞争いをノンフィクション風に書くと面白そう。
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普段はほとんどノンフィクションものは読まないおいらにも、これは面白かった。素晴らしいミステリー。 ミステリーで一番楽しいのは謎解きの部分でしょ。で、こいつは謎解きの連続なので面白くないわけがない。しかも、その謎が、生物とは何か?そりゃあ、知りたい知りたい。 そして、さらに謎...
普段はほとんどノンフィクションものは読まないおいらにも、これは面白かった。素晴らしいミステリー。 ミステリーで一番楽しいのは謎解きの部分でしょ。で、こいつは謎解きの連続なので面白くないわけがない。しかも、その謎が、生物とは何か?そりゃあ、知りたい知りたい。 そして、さらに謎が深まる。 全然ジャンルは違うけど、高校生の頃夢中で読んだ光瀬龍の「百億の昼と千億の夜」を思い出しました。やはり何かの意思がはたらいてるのに違いない、そうは思いませんか?
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