地元学のすすめ の商品レビュー
「地元学」関連で読んでみたのですが,吉本哲郎さんたちがはじめた「地元学」とは別のところから発生したもののようです。ただ,立ち位置はよく似ています。 本書のまえがきに,次のような「補記」がありました。 原稿を書き上げた時点では「地元学」という名称の書物は,…存在しないと考え...
「地元学」関連で読んでみたのですが,吉本哲郎さんたちがはじめた「地元学」とは別のところから発生したもののようです。ただ,立ち位置はよく似ています。 本書のまえがきに,次のような「補記」がありました。 原稿を書き上げた時点では「地元学」という名称の書物は,…存在しないと考えていたが…出版社に原稿を送るという連絡を入れたところ…先学があるという教示を得た。…すなわち,「『地元学』は熊本県水俣で生まれた。…吉本さん自身が考えたネーミングである。…しかし,『地元学』という名称をもって総合的,一体的に,さらに理論と実践を含んだ書物としては,本書が最初であると考えるものである。 (…の部分は引用者が中略,本書「まえがき」より) 著者の捉える「地元学」は,次のようなものです。 地元学とは,限定した地域において,外的な社会経済的変化への対応の中でさまざまな課題を解決しながら住民の意識を向上させ,主体性を持って地域を経営していく思想である。(本書,p.7) まことに学者っぽい定義の仕方です。吉本さんの書いた岩波ジュニア新書『地元学をはじめよう』には,ここまでのことは書かれていませんが,目指す方向は同じだと思います。 本書には,そういう社会経済的な変化の中で「地域経営」をどのような視点で目指せばいいのかということを,数々の事例を挙げて説明してくれています。グラフも表もたくさんあります。 具体的に「地元学」で学んだことを「地域経営」として成り立たせていくための実践の手引き書といえるでしょう。もちろん,実際には,その地元にあったやり方を模索するしかありません。
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地域経済の再生、地域経営について総合的に纏め上げ、「地元学」を提唱する書。観念論にとどまらず、著者のいうところの「人間学」「実践学」の視点を基本に据えた、プラグマティックな論考。
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