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大地の咆哮 の商品レビュー

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2020/09/27

故・杉本上海総領事の遺作。前半は、外交官としてのキャリアに連動した物語、後半は、ODA、水、農村、反日などのトピック毎の記述。 特に前半部の職歴と併せて書かれている部分、文革時の中国の実態や日中平和友好条約から胡耀邦時代の蜜月時代、OECDから見た天安門事件前後の欧州と日本の立...

故・杉本上海総領事の遺作。前半は、外交官としてのキャリアに連動した物語、後半は、ODA、水、農村、反日などのトピック毎の記述。 特に前半部の職歴と併せて書かれている部分、文革時の中国の実態や日中平和友好条約から胡耀邦時代の蜜月時代、OECDから見た天安門事件前後の欧州と日本の立ち位置などは現在に至る前史として極めて興味深かった。後半の諸問題は、胡錦濤時代の冒頭に書かれたもの。全てが現在に連なっているわけではないが、現在を見る上での一つのスケールにはなる。

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2016/04/24

北朝鮮のミサイル発射とその後の顛末を見るにつけ、中国の動きがなんか変に感じられる。あの国は何を考えているのか? ということで「中国農民調査」(今読んでいる)とこの本を同時に買った。客観的な現状やこれまでの経緯など認識を新たにすることも多かったが、中国に関するものを読んで共通して...

北朝鮮のミサイル発射とその後の顛末を見るにつけ、中国の動きがなんか変に感じられる。あの国は何を考えているのか? ということで「中国農民調査」(今読んでいる)とこの本を同時に買った。客観的な現状やこれまでの経緯など認識を新たにすることも多かったが、中国に関するものを読んで共通して感じるのは中国の「性根」に対しての違和感だ。 日本人は原理主義でないが、中国人はそれに輪をかけて原理主義でない気がする。原理主義を賛美する気は毛頭ないが、人々の気持ちを束ねる共通の価値観は必要だ。かつて中国では儒教がこの国の良識を束ねていたように思う。やがて原理主義者の西洋人たちがやってきてこの国をむさぼりつくす。日本はそのときどういうポジションだったのか微妙だ。我が国は、前半は必死で列強に飲み込まれないように抵抗した。しかし後半は独自の原理主義が芽生え出し、はなはだ醜い振舞いになっていったのではないかと思う。原理主義はこうして眺めてみると、それを押し付けられる側にとっては大変迷惑なものとなる。 中国という国はなにせ大きすぎる。共産党が国を制し一党独裁体制を築いたとしてもそのピラミッド構造の末端はまるで昔のままだ。中国の三農問題(農業、農民、農村の問題)でも明らかなように未だに中国ではとんでもない「悪代官」がいて農民からむちゃくちゃな搾取を行っているらしい。地方の共産党員の悪行三昧に比べると水戸黄門に出てくる悪代官などむしろ善人に思えてくる。これは3000年延々と続いてきたどうしようもない中国の性根のように思えてくる。それはどうも日本とはどうしても異なるもののようだ。 これからこの隣国とどうつきあっていくのかやはり考える必要がある。ある時はかつての被害者であり、経済のパートナーであり、軍事的脅威であり…といったいくつもの位置づけが出来る。そういった位置関係を認識しつつ、双方の文化・習慣・性格の違いをはっきり理解した上で、ある程度距離を置いて、また適度のリスペクトをはらいつつ接していくしかないようだ。外交というのは歴史を作っていくようなものかもしれない。従って一足飛びには事は進展しない。50年、100年のスパンでものを眺めるような姿勢が必要なのだろう。だから一つ一つの「事件」にのみ触発されるような性急な動きはやはり避けるべきだ。

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2016/10/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

中国という国を外交官という立場から、長い時間をかけ、様々な角度から考察した本だと思う。外交官という仕事も少しわかったように思う。ただ昨今の中国という国を見るに、少し期待値が高すぎるようにも思える。 巻末における中国人に問われる一般的な日本に対する質問兼回答集は、何をするのであれ、中国という国に一定以上居る人は知っておいた方がいいだろうと思う。 2016年10月再読 やはり著者が病床にて書いたとは思えぬ力作だと思った。とはいえ、北京に1年以上滞在してから読み返してみても思うのは、果たしてそこまでこの国の指導者に期待する事が出来るのかどうか疑問だ。この国に対して説得力のない理屈で攻めても仕方ないとの明記があったが、確かにその通りとはいえ、その理屈自体がこの国にしか通用しないものではないのか?また靖国問題に関しても、72年に軍国主義を悪者としたロジックがA級戦犯を合祀したことで崩れたとのことだが、色々な意味で強権を発動する事が出来る一党独裁のこの国であれば解決することは可能なのではないか?それをしないのはカードとして残しておくためではないのかと思える。また姫鵬飛外相の回顧録”飲水不忘掘井人”にて国境正常化時に大変な迷惑をかけたという謝罪の意味を込めた分を”添了麻煩”と訳し、中国側が色めきだったこと、その後誤解を解き、謝罪の意味であると認識してもらったことが書いてあるというのは非常に興味深い。

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2015/04/18

昔の中国の記述があって面白いです。没有中国、なんて今すっかり言わなくなったもんな…。 10年くらい前の中国の状況が詳細に描かれていて、現在の習政権の動きと線でつながる感じがぞくっとします。

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2013/12/20

自分もそうだったが、ある国に3年も駐在していると、そこに住んで働いているからこそ語れるその国に関するウンチクが増えてくる。でも所詮それは自分の仕事の切り口を通じて得た話。 著者は外交官という、中国と「国と国との付き合い」をすることが仕事の人である。当たり前だが、私のような民間人(...

自分もそうだったが、ある国に3年も駐在していると、そこに住んで働いているからこそ語れるその国に関するウンチクが増えてくる。でも所詮それは自分の仕事の切り口を通じて得た話。 著者は外交官という、中国と「国と国との付き合い」をすることが仕事の人である。当たり前だが、私のような民間人(外務省の人がよく使う言葉)や、学者、ジャーナリストが語る「国と国の付き合い方」とは、体験する現場も違うし、なによりそのテーマを四六時中考え、且つ実行することが生業だった人。そうゆう意味で他書とはまったく異なるインパクとが有る。 中国という国を相手にするには、これほどまでに、頭の中を整理しておかないと、ダメなんだろうなと感じる。また、このように整然と論点を整理し、発言できる人材を日本はもっと数多く配することも必要だろうとも。 あと、役人(外交官)以外のもう一つの外交の当事者=政治家も、しっかり勉強してから行動してほしいと改めて感じさせられた一冊。

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2013/09/07

http://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-66911-3

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2018/03/10

自分の癌による最後の時を自覚しながら  中国のもつ脆弱性と日本および日本人としての対処をとく。 (最後を自覚したがゆえに、筆を押さえつつ  言いたいことを思い切って書いた 感がある。  ここまで 書くのか と驚く部分もある。) 中国の問題の『淵源』を明らかにする、 日本と日本人...

自分の癌による最後の時を自覚しながら  中国のもつ脆弱性と日本および日本人としての対処をとく。 (最後を自覚したがゆえに、筆を押さえつつ  言いたいことを思い切って書いた 感がある。  ここまで 書くのか と驚く部分もある。) 中国の問題の『淵源』を明らかにする、 日本と日本人のの対応についても考察する。 中国向けに 提言したりしている。 よく情報を集め分析している。 中国の実像が少なくとも見える。 チャイナスクールの出身の外交官。 上海総領事のときに 部下が自殺するという事件が起こる。 杉本氏は言う 『現代中国をどう認識し、どう対応するのか、 日本の対中外交はどうあるべきなのか?』 これが、本書の主題である。 杉本氏は言う 『中国認識で大切なことは、 各種データによって観念的に中国を見ることではなく、 できるだけ机上の理論を排した現実に即して、 中国を理解することである。』 中国という国に接するときに、 自分の中にある『中国』が、どのような形で形成されたのか? そのことを自覚しないまでも無意識の中で、 育まれている・・・ 自分の実体験と自分で確かめたことを ベースに 組み立てなおす必要があることを 私自身痛感している。 杉本氏は言う 『中国共産党指導部内部では 自信のなさや悩み 不安、将来への悲観が渦巻いている。 共産党による支配体制がいつまでも続くと思っている 党幹部はむしろ少数派だとすらいえる。』 都市部と農村における格差の拡大。  農民差別の身分制度。農村の貧困、農民の苦難、農業の不振・・・。 そこに、9億人近くが生活している。 環境破壊 大気汚染、水汚染と不足、食品汚染。 宗教への抑圧、言論統制、など 中国の抱える問題は大きい・・・・。 杉本氏は言う 『中国の失政のつけが日本に回ってこないよう  賢明にたちまわることが大事だ。』11p この考え方は、共感できる・・・ 中国が崩壊した時に こうむる日本の損害ははかりしれない。 1974年9月からかかわってきた杉本氏の体験は 中国の経済的な発展とともにあった。 日本人であることだけで、希少価値がある時代から 始まっているので、そんなことがあったんだろうな という思いをめぐらすことができる。 本書の中で、語られている中で、 7章 対中ODAについて物申す・・・草の根援助 9章 深刻な水不足問題 10章  搾取される農民 12章 靖国神社参拝問題 13章 中国経済の構造上の問題  16章 共産党と宗教 が、問題を明らかにして、提言をしている。 この章は、ずっしりと重い。 杉本信行氏は 2006年8月3日 癌でなくなられた。 享年 57歳 

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2011/08/26

外務省のチャイナスクールの方が末期ガンの中 仕事上の遺書として書いた本と理解しております。 この本を読んで思ったのは、いつも心がけていますが 冷静に相手の立場にたつこと=敬意をもって人に 接することが大事だということです。 (相手がそうでないから困るのだけれども) ...

外務省のチャイナスクールの方が末期ガンの中 仕事上の遺書として書いた本と理解しております。 この本を読んで思ったのは、いつも心がけていますが 冷静に相手の立場にたつこと=敬意をもって人に 接することが大事だということです。 (相手がそうでないから困るのだけれども) この本は -中国人としての生活を考える -外務書の役人として考える -現場の人間として考える -地政学的に考える ことがポイントだと思います。

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2011/07/19

父に薦められ、読み出しました。 元上海総領事が見た中国、と副題にあります。 外国の人間の目から見た他国の問題点やゆがみと言うのは案外自国民の見えなかった点を浮き彫りにするのではないだろうか、そう思います。 それは問題点だけではなく、その国の美点・文化歴史を場合によっては自...

父に薦められ、読み出しました。 元上海総領事が見た中国、と副題にあります。 外国の人間の目から見た他国の問題点やゆがみと言うのは案外自国民の見えなかった点を浮き彫りにするのではないだろうか、そう思います。 それは問題点だけではなく、その国の美点・文化歴史を場合によっては自国民より尊重できるケースももちろん、多々あるとも思っております。 日中関係正常化の為に、敢えてこの方は中国の抱えるさまざまな問題点の中から日本のできること、自国で解決しなくてはならないこと、それを痛切に訴えていらっしゃるのだろうと思います。 これほどまでに日中関係に関して真面目に誠心誠意取り組んでいらっしゃる方が日本に存在するということ自体、とても心強く感じます。 自分は台湾の知人がおりますがたまたま知っている人は(まあ当然ですが)お金持ちだったので台湾以外に査証を保持しておりました。 何で?と聞くといつ、中華人民共和国に制圧(とは言わなかったけれども)されるか分からないから、といわれました。…平和ボケしている日本人にはピンとこない話でした。 アメリカに居た際、外国人向けの英語教室で出身地を聞かれた際、台湾の子が出身地を台湾、と言った際、中国の子がどちらも中国なのに、と嫌な顔をしたことを覚えております。 それでも台湾出身です、と言った子の主張は今でもしっかり記憶に残るくらい強かったです。 仕事の関係で中国から日本に帰化された方も何人か存じ上げておりますが、その方たちはエリート中のエリートなんだなあ…といまさらながら痛感しました。 中国に関わる方、関わらなくても興味ある方、興味ない方でも是非!読んでみて決して無駄は無い本だと思います。 ただこの本の情報だけを元に日本の正当性のみを主張するなんてバカな真似はできません…よ。 杉本氏ご冥福を、心よりお祈り申し上げます。

Posted byブクログ

2011/04/09

もっと草の根無償について詳しく書いてほしかったー。でもこれからの希望の星みたいに書いてくれていたのはうれしかったです。

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