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香華 の商品レビュー

4.1

21件のお客様レビュー

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有吉佐和子お得意の、…

有吉佐和子お得意の、花柳界小説。この作品に限って、いつもなら芸者屋しか出てこないのが、女郎屋が出てくる。美しいが女郎で花魁をしていた自分を恥じてもいない母親と、その母親に芸者に売られ、独立しても母親の面倒を見てしまう真面目な娘の愛憎劇。

文庫OFF

2024/06/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

母郁代と振り回される娘朋子の40年の歳月を書く。 解説の小松伸六氏が作者の作風を“黄金の針”と表現しているが、硬派で美しくそれでいて読みやすい文章だった。 美しく奔放な母、郁代がどことなく私自身の母親と似ており嫌いになれず、朋子に自分を重ねて読んでしまう。 (わが母は郁代とは違いちゃんと育ててはくれている、念のため) どちらかというと愛想がない上に厚かましい安子の方に苛々させられた。 幼少期に母親との縁が薄いほど、母親に幻想を抱き固執してしまうように思う。それが憎しみ恨みといったマイナスの形であっても。 親子の縁、特に母と娘の縁はどうにも切っても切れないもので不思議なものだと思う。 どうしようもない肉親に腹を立てながらも何くれと世話を焼く朋子にやきもきする人も多いかもしれないが、時代が時代であるし、また彼女がそういう性格なのだから仕方ない。 逆に郁代を見捨てる事で後悔と罪悪感で自分を責めてしまうように思う。 真直ぐで芯の強い彼女の生き方が好きだ。 散々に朋子に気苦労をかけながら、あっさりと車にはねられて死んでしまう郁代。 20歳そこらの時に初読した時は結構さらっと読んだ記憶があるのだが、30を過ぎて再読したら仏壇を前に母を偲ぶ朋子と同じように涙ぐんでしまった。 さらに年齢を重ねてた時に読めば、また感じ方が変わってくるのだろうか。 憎んでも母親は母親。 私の親もいつか呆気なくあの世に逝ってしまわないとも限らないのだ。 お墓の事、戒名の事、家紋の事。存命中に聞いておかないと。 朋子ほどの孝行娘にはなれなくとも、悔いのない様にせんとなぁ。 朋子は男運が悪かったのだろうか? 私はそうは思わない。 確かに結婚はできなかったけど神波、野沢、そして江崎もそれぞれに朋子を大切にしていたように感じる。 男性に嫁するのが当たり前の時代に生きた朋子はやはり江崎と普通の恋をして普通の結婚をしたかったのだろうから、彼女には理解してもらえないかもしれないけど。

Posted byブクログ

2021/01/27

初作家読み。 血縁に縛られた主人公が母親と妹の勝手さに振り回されそれでも切ることができずあらゆる手助けをする。 小さな頃から勝ち気な性格だからか倒れることなく旅館を築き、終戦後は誰の力も借りずに食堂から大きくしていく才覚を発揮する。 妹の子を養子にするが地元の旅館経営者が腹を痛...

初作家読み。 血縁に縛られた主人公が母親と妹の勝手さに振り回されそれでも切ることができずあらゆる手助けをする。 小さな頃から勝ち気な性格だからか倒れることなく旅館を築き、終戦後は誰の力も借りずに食堂から大きくしていく才覚を発揮する。 妹の子を養子にするが地元の旅館経営者が腹を痛めた子が1番だと養子にもらった息子の戸籍を返したと話して終わりとなるが、母親が亡くなりやっと苦労がなくなると思いきや妹の子が大人になっても安心できない終わり方でなんともやるせない話。 でも芯のしっかりした生き方に励まされまた頑張ろうと勇気ももらえる話でもある。

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2020/12/04

まだ女のドロドロ系 最初からほぼ後半まではイライラしっぱなし。 郁代も嫌な女だけど、朋子に終始イライラ。 そんなに憎いなら、見放せばいいものを、やはり血縁というものは切っても切れないもんかね。 ただただ面倒臭いね、親子のやりとり。 でもついつい読み進めちゃう。 有吉佐和子マジック...

まだ女のドロドロ系 最初からほぼ後半まではイライラしっぱなし。 郁代も嫌な女だけど、朋子に終始イライラ。 そんなに憎いなら、見放せばいいものを、やはり血縁というものは切っても切れないもんかね。 ただただ面倒臭いね、親子のやりとり。 でもついつい読み進めちゃう。 有吉佐和子マジック。

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2017/09/26
  • ネタバレ

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母が娘を「妾」といい、娘が母を「娼妓」と罵る。そんな親子があるだろうか。明治の終わりから昭和40年代にかけての物語が、圧倒的な筆力で語られている。女であることをやめない母親を持つ、聡明な娘の気持ちがひしひしと伝わるようだ。苦労を重ねた朋子がようやく落ち着ける心のよりどころを見つけたかと思いきや、そうはならないと匂わせるラストはいかにも有吉さんらしい。血のつながりを否定もし、肯定もする業の深い物語だった。 話のなかにいくつもの着物や色の描写が出てきた。調べてみるとどれも素敵で、重く暗い物語にほっと息をつかせるようだった。

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2017/09/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

私、たぶんこれを学生時代に読んだ。気がする。そしてたぶん当時は自分から遠い話だったので、あまり感慨を抱かなかったと思う。こういう、女であることを意識させられる女性主人公のものは苦手だったし。 郁代は確かにどうしようもない母親だけど、突き放すこともできない朋子の気持ちがとても、分かる。 朋子が再三言うように、朋子に子どもができていれば、郁代との関係も変わっていたように思う。郁代が子離れできないのと同様、朋子も親離れできていないのだ。親はいつまでたっても子を子ども扱いするし、家にいれば子はいつまでも親に縛られるものだ…。 母親である美しい郁代に似ない自分を、朋子は恨みがましく思っていたようだけど、父親に似ていると言われたとき朋子はどう思ったのだろう。 郁代が朋子にべったり依存していたのは、一番愛した男に朋子が似ていたからなのだとしたら、夫に早く死なれた郁代もかわいそうな人だ。 いつまでも江崎を未練がましく思っている朋子に重なる。もし江崎にそっくりな子どもが生まれていたら、朋子はどうしていただろう… 生活の上で身に付いた着物の知識がないと書けないだろうな、という描写がなんだか素敵で、今はこういう文章がなかなかないなぁという気がする。

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2016/10/02

有吉さんのいつもの味はあるんですよ。。。 ただ、ごめんなさい。私、嫌悪感を郁代に覚えました。読んでる間中、不愉快でした。 有吉さんの「芝櫻」にすごく似ていますが、「芝櫻」の方が断然いいです。 郁代に似ている倫理観の破壊した男女知っています。こういう相手の気持ちをまるで無視で...

有吉さんのいつもの味はあるんですよ。。。 ただ、ごめんなさい。私、嫌悪感を郁代に覚えました。読んでる間中、不愉快でした。 有吉さんの「芝櫻」にすごく似ていますが、「芝櫻」の方が断然いいです。 郁代に似ている倫理観の破壊した男女知っています。こういう相手の気持ちをまるで無視できて、自分の都合のためだけに異性を好きでなくても利用できる人間って沢山いるんですよ。恐ろしい。そして、嫌悪。

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2016/02/27

芝桜、木瓜の花の正子と性分が似ていると思います。賢くて生真面目で品格のあるところ。だけど朋子がどれだけ正しく清らかに生きても世間一般からみるとけっして堅気ではなく本来ならば、こいさん、お嬢さんでいいところの奥さんになるはずの人が波乱の運命をわたります。 時代背景と風習そして着物、...

芝桜、木瓜の花の正子と性分が似ていると思います。賢くて生真面目で品格のあるところ。だけど朋子がどれだけ正しく清らかに生きても世間一般からみるとけっして堅気ではなく本来ならば、こいさん、お嬢さんでいいところの奥さんになるはずの人が波乱の運命をわたります。 時代背景と風習そして着物、布地などの描写が興味深く毎回勉強になります。

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2015/09/10

毒親とはこういう人をいうのだなぁ。 朋子の幼少期の心の描写が興味深かった。 2人の幼い娘を育てている今、自身の立ち振る舞いがこうも子に影響するかと思うと恐ろしい。 ただ、郁代のように育児の責任感を一切感じずに生きていけたらどんなに精神的にラクだろうと思う。 毒親の祖母の世話を甲...

毒親とはこういう人をいうのだなぁ。 朋子の幼少期の心の描写が興味深かった。 2人の幼い娘を育てている今、自身の立ち振る舞いがこうも子に影響するかと思うと恐ろしい。 ただ、郁代のように育児の責任感を一切感じずに生きていけたらどんなに精神的にラクだろうと思う。 毒親の祖母の世話を甲斐甲斐しくしている我が母に勧めたい1冊。

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2013/07/20

奔放な母と、それに振り回されるしっかり者の娘の愛憎を描く。 そりゃあ誰が見ても母は最低の母親なのだろうが、振り回される方も悪いんじゃないか、もっと毅然とすればいいのに、と思ってしまうのは私が若いせいなのか、それとも時代のせいなのか。 確かに母は褒められた性格ではないのだけど、それ...

奔放な母と、それに振り回されるしっかり者の娘の愛憎を描く。 そりゃあ誰が見ても母は最低の母親なのだろうが、振り回される方も悪いんじゃないか、もっと毅然とすればいいのに、と思ってしまうのは私が若いせいなのか、それとも時代のせいなのか。 確かに母は褒められた性格ではないのだけど、それでもどこか憎めない。 人は誰しも、自分の思うままに生きたいと思うものだけど、それすなわち誰かを傷つけても構わないということになるのかもしれない。 誰かを傷つけないように生きれば、自然自分がどこかで傷つかずにはいられない。 母にも娘にも感情移入はせず、ただ親子の情愛の不思議さを思った。

Posted byブクログ