恋愛の誕生 の商品レビュー
60ページで挫折。今の恋愛観に近いものが12世期ルネサンスの時代にフランスで誕生したという事実は面白いと思ったが、そもそも中世ヨーロッパの宮廷に興味が持てないのか、60ページが限界だった。 ちなみに読み始めたきっかけは言語と論理の最終レポートの資料として。
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「恋愛は12世紀に発明されました」派だけど、たいへんな良書。えらい!どういう意味で発明されているかうまく解説している。
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12世紀の南仏におけるトルバドゥールの恋愛譚を皮切りに、『不倫関係』から発する恋愛、『理性的に相手を選び取る』恋愛、『キリスト教倫理との整合』をとるための物語の変化を論じた書。 評価ポイントは星3つ。 読み物としては面白いが、5つ星をつけない理由は以下の通り。 1.その当時、既にあった『肉欲』に直結している恋愛についての論述に難がある。ローマ時代のオウィディウスの『恋の技法(アルス・アマトリア)』が紹介されているのだが、 ・Publius Ovidius Nasoをオヴィディウスと英語読みで表記した点 ・アルス・アマトリアを『愛の技』と表記しており、本邦で翻訳出版された書名のいずれにも該当しない点 は適当ではない。 巻末の参考文献等をみるかぎり、原典、他言語での論文にあたった書ではない様子である。また、 『中世ヨーロッパの歌』(ピーター・ドロンケ著)によれば、 11世紀の最初期のトルバドゥールやミンネジンガーの背後には、すでに俗語による恋愛詩の力強い伝統が存在した。 という研究もあるため、宮廷文学としてのトルバドゥールを論じた本書は、俗謡や農村、町人の文化を取りこぼしているおそれがある。 当時の時代精神を表現する際に、『筆者の調査し得た範囲』や『宮廷では』という表現を用いるのが妥当であろう。 著者が研究職にある以上、適当でない語の使用には一般人より厳格であるべきと考え、星を減じた。 2.本邦における恋愛観は、明治時代などに確かに大きな変換が起きた。が、十世紀ごろは貴族階級において『源氏物語』などの女性の手になる恋愛物語が流布していた点、翻案や再話による再発見(与謝野晶子によるものなど)がなされていた点を鑑みると、 「フランス文学で発明された恋愛観が、実は云々」 という煽り文句を首肯するわけにはいかない。 研究に基づく書としては厳密性、資料の収集に難があるが、読み物としてはそこそこ読める作品である。前者としては、先に挙げた『中世ヨーロッパの歌』をはじめとした本が多数あるのでそちらをお勧めしたい。
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「恋愛」が人間の「自然」な感情ではなく、12世紀フランスの宮廷文化にその生誕地を持っているということは、とくに佐伯順子の「恋愛」輸入説とそれに対する小谷野敦の執拗な批判によって、今では一般に広く知られるようになり、「恋愛」を相対化する議論を目にする機会も増えました。本書は、そうし...
「恋愛」が人間の「自然」な感情ではなく、12世紀フランスの宮廷文化にその生誕地を持っているということは、とくに佐伯順子の「恋愛」輸入説とそれに対する小谷野敦の執拗な批判によって、今では一般に広く知られるようになり、「恋愛」を相対化する議論を目にする機会も増えました。本書は、そうしたフランスの宮廷文化における「恋愛」事情について、当時の文学作品などを紹介しつつ解説しています。 「12世紀フランス文学散歩」というサブタイトルを持つ本なので仕方がないのですが、「恋愛」がその後どのような経緯を経て、現在のように広く人びとに受け入れられるようになったのかという経緯についても、知りたかったように思います。
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