梅原猛の授業 仏教 の商品レビュー
【要旨】 現在は教育の中で、道徳が教えられていない。江戸時代までは仏教や儒教といった自律的道徳が、戦前では修身という他律的な道徳が教えられていた。それに変わるものが必要である。仏教や儒教を失ったことで、道徳までも失ってしまったのではないかと思うことがある。道徳と宗教は切り離せ...
【要旨】 現在は教育の中で、道徳が教えられていない。江戸時代までは仏教や儒教といった自律的道徳が、戦前では修身という他律的な道徳が教えられていた。それに変わるものが必要である。仏教や儒教を失ったことで、道徳までも失ってしまったのではないかと思うことがある。道徳と宗教は切り離せないものなのではないか。 さて仏教は釈迦によって始まり、平等・自由な知恵・慈悲を基本として成り立つ宗教である。ここから来る道徳は八聖道(正見・正思惟・正語・正業・正命・正精進・正念・正定)や六波羅蜜(布施・持戒・忍辱・精進・禅定・智慧)がある。その後、龍樹が般若経を基本とする大乗仏教を興し、この大乗仏教が日本へと伝播される。 日本の仏教のはじまりは奈良時代の聖徳太子や行基によるものだが、平安時代になり、最澄(天台宗)や空海(真言密教)が基盤を作り、鎌倉時代に大きく花開いた。鎌倉時代には、法然(浄土宗)・親鸞(浄土真宗)などの浄土教と栄西(臨済宗)・道元(曹洞宗)などの禅が広がった。その他にも現在に伝わるものとしては、日蓮(日蓮宗)などがこの時代に興る。江戸時代には武士は儒教(四書五経)的に忠孝を学び、庶民は仏教と読み書き算盤を学んだ。戦前では、儒教を変形した忠君愛国の思想(国家主義思想)が主となる。その後、寺院が世襲となり、布教活動が影を潜め、作家や新興宗教がこれに取って代わる。 現在、一神教を源にする文化圏同士で争いが絶えない。仏教(多神教)は多様性を好み、寛容な徳を大切にしている。今こそ仏教が求められているのではないか。 【感想】 本書は中学生への講義を文書にまとめたものであり、丁寧にまとめられており、非常に分かり易い。仏教の簡単な歴史や宗教と道徳の関係について、非常に興味深かった。宗教についていろいろ学んでみようと思った。 【目次】 第1章 なぜ宗教が必要なのだろうか 第2章 すべての文明には宗教がある 第3章 釈迦の人生と思想を考える 第4章 大乗仏教は山から町へ下りた 第5章 生活に生きる仏教の道徳 第6章 討論・人生に宗教は必要か 第7章 日本は仏教国家になった(聖徳太子、行基、最澄) 第8章 空海が密教をもたらした 第9章 鎌倉は新しい仏教の時代1(法然と親鸞) 第10章 鎌倉は新しい仏教の時代2(日蓮と禅) 第11章 現代の仏教はどうなっているか 第12章 いまこそ仏教が求められている
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個人的に割りと好きな梅原先生が日本の仏教をわかりやすく説明してくれる。 一番最初の何故宗教が必要か。 ここだけでも色んなヒトに読んで欲しいものです。 内容は非常に簡単、予備知識特に必要なし
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非常に分かりやすい宗教史。 私は基本的に無宗教だと思っていますが、この本は面白く読めました。 宗教があって文化が生まれて、道徳ができて・・・。読みやすいです。
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私の尊敬する人物のうちの一人「梅原猛」が洛南高校付属中学での講義の内容をまとめた内容になっています。 はじめて読んだときは、心があらわれた様な感じがしました。簡単に分かりやすく書かれていますが、内容は奥が深い。興味がなくても読んで欲しい本です。
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