松本清張の現実と虚構 の商品レビュー
松本清張の推理小説と歴史に関する論考を、現代の文学理論などの道具立てを用いて読み解いた本です。 著者は清張を評価するにあたって、「彼の人間観察がすぐれている」ことを前提にするのではなく、「「彼の人間観察がすぐれている」と読者の目に映るのは何故か」という問いを立てるべきだと主張し...
松本清張の推理小説と歴史に関する論考を、現代の文学理論などの道具立てを用いて読み解いた本です。 著者は清張を評価するにあたって、「彼の人間観察がすぐれている」ことを前提にするのではなく、「「彼の人間観察がすぐれている」と読者の目に映るのは何故か」という問いを立てるべきだと主張します。そして、「社会派」と呼ばれる彼の作風が、どのようなテクストの仕掛けによって作られているのかということを解明していきます。 また『日本の黒い霧』などの歴史に関する論考では、「歴史」と「権力」の絡み合いを見据えながら清張の考察が紡がれていったことが明らかにされています。そのほか、都市論やメディア論といった現代的な文学理論の視点から、清張の推理小説の魅力が掘り下げられています。
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