わたしはあんじゅひめ子である の商品レビュー
YouTubeにも、伊藤さんの力強い朗読がのっている、「わたしはあんじゅひめ子である」が特に良かったです。「死」にばかり拘泥する男の日本文学の歪んだナルシシズムに慣れ親しんだわたしは、暴力と死の泥の中から「産まれること」「生きること」をぎりぎりと絞り出すような言葉に唸ってしまい...
YouTubeにも、伊藤さんの力強い朗読がのっている、「わたしはあんじゅひめ子である」が特に良かったです。「死」にばかり拘泥する男の日本文学の歪んだナルシシズムに慣れ親しんだわたしは、暴力と死の泥の中から「産まれること」「生きること」をぎりぎりと絞り出すような言葉に唸ってしまいました。 伊藤さんの、敏感な「声」や「音」への注意は虐げられたものや異人への接近でもあるし、外国では異人となってしまう自分の弱さの発見でもあると思います。 また、いくつかの詩には、詩を「他者の語り」として語ろうとする意図が見えます。それは表現する主体が、権力の網の目に捉えられ、表象される客体となることへの拒否なのでしょうか。 難しいことは言わずとも、すばらしい詩集です。寺山修司の「田園に死す」が好きならきっと面白く読めます。
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