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2030年東北自治区 の商品レビュー

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2015/02/01

タイトルとオビの紹介文から、大好きな近未来小説だと判断してお買い上げ。 単行本オビより引用 『10ページも読み進めないうちに体が震えてきた。とてつもないことを半村さんはしている。東京の多民族雑居化が進み、東京はすでに政治と経済の中心都市の機能を失った。代わりに誕生したのが東北自...

タイトルとオビの紹介文から、大好きな近未来小説だと判断してお買い上げ。 単行本オビより引用 『10ページも読み進めないうちに体が震えてきた。とてつもないことを半村さんはしている。東京の多民族雑居化が進み、東京はすでに政治と経済の中心都市の機能を失った。代わりに誕生したのが東北自治区と呼ばれる日本人だけの暮らす地域だ。青森、岩手、秋田、宮城、山形の五県がそれに含まれ、日本政府から離れた、いわゆる独立国家を形成している。国境は堅く守られ、言わば理想国家を具現しているのだ。いかになんでも、と思うだろうが、半村さんの筆は微に入り細に亘り、そこまでに至る道程を伝える。有り得る想像だな、と私は何度も頷いてしまった。今の状況が進めば、そうなるのが自然である。もはやこれは小説を超えて都市論、あるいは国家論にまで発展している(高橋克彦氏)』 モチーフとしては比較的メジャーな東京崩壊後の世界という設定。 とはいえ、不老不死のための最先端なクローンビジネスで世界中の富裕層を人質にとる手法、誰が味方で誰が敵なのか分からない謎が謎を呼ぶ展開など、中盤までは非常に読ませてもらいました。 が、肝心のラストが個人的にはちょっと残念。もう少し丹念に結末まで書き尽くして欲しかった。具体的には、最後にもう一度東北に戻って…という展開があればよかったのですが、構想が非常にスケールの大きいものだっただけに、そこだけが悔やまれます。 でも寒い冬の午後、こたつでウトウトしながらののんびり読書にはちょうどよかったかも。

Posted byブクログ