村上春樹全作品 1979~1989(4) の商品レビュー
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「世界の終わり」と「ハードボイルド・ワンダーランド」という二つの章立てで進む話。 「ハードボイルド・ワンダーランド」編が秀逸。敵に追われる主人公。地下の底に巣くう「やみくろ」達の群れ…。まさしくハードボイルドなワンダーランド。東京の地下鉄の奥に人間が入ってはいけない世界が広がってるなんていう舞台設定は、都市伝説好きな自分にとって最高に熱い。ファンタジーなんだけど現実と強くリンクする、村上春樹ワールドの真骨頂。登場人物もそれぞれキャラが濃くて魅力的。 「世界の終わり」編はゆっくりした印象。本当に「世界の最果て」みたいな、退廃的な雰囲気を醸してる。こっちはあまり読んでて気持ちが乗らなかった。主人公がどっちつかずでふわふわしてるし、村の住人の性格もとらえどころがなく「どうしたもんかなぁ…。」と読んでて思っ てしまった。 でも、骨の記憶を読んだり、行ってはいけない沼を探したりする過程はファンタジーとして面白い。自分の影を逃げ出させるシーンにも緊張感がある。 後半、二つの章がだんだん繋がっていくけれど、若干失速してる、と感じてしまい残念。とにかく「ハードボイルド・ワンダーランド」編のスピーディーさが強く印象づいたので、それに引きずられたかな。 けれど、謎解きみたいなドキドキと疾走感あふれる展開は読む価値大有り。タイトルも中二心をくすぐられて何だか心踊る。
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私が生まれる前に書かれた作品なのにもかかわらず、SFっぽい話のせいか、まったく古さを感じさせない点が特に気に入った。1Q84と同様に二つの話が同時進行する作品であるが、二つの話の主人公は同じようで同じでない点が1Q84と異なっている。この作品を通して私は、「公平さ」とは何かということについて考えるきっかけを得た。『約束された場所で』においても「公平さ」については語られていたが、この作品を読むことで「公平さ」の矛盾について考えられたと思う。よく、「多様な視点からものを視る」ことが大切にされるが、「公平さ」をもって多様に見ることができるものなのだろうか。そんなことを考えさせられた。
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"『世界の終り』と『ハードボイルド・ワンダーランド』という話が 交互に描かれていきます。 全然、違う世界観の話ですが、まぁ、関係してくるんだろうな と いうのは予想できます。 でも、途中、「どこをどういう風に絡めてくるんだろう?」という ドキドキ感はすごく感じたな。 村上作品はまだ2作目ですが、比喩表現がすごく多いなぁと思う。 でも、それをうざく感じず、むしろ心地よく感じるのはこの人が人気である所以なのでしょう。 本当は星を4つでも良かったのだけど、 途中から「あれ?」と思うところがあったので3つにしました。 それまでの困難さに比べて、展開がうまくいきすぎてることとか数点、気になったので・・・ ラストは究極の選択というヤツなので、 可も無く不可も無くですが私が主人公ならどうするだろうなぁ。
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十数年振りに再読してみてようやく作品の意図を読み取る事も楽しむ事もできた。 もうこの作品を書いた頃からずっと作品に込めるテーマや考えが一貫している事を感じて驚嘆した。 村上春樹の作品のなかで1番好きな作品は「ノルウェイの森」が不動の1位だったけれども、今回それが変更された。
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僕は影と引き離されて夢読みの仕事をすることとなった。 人が心を持たず、苦しみも死もなければ喜びもない街。 影はここから脱出して元の世界に帰ろうともちかける。 記録士の私はシャフリングに成功した生き残りとして 技術を開発した博士と共に追われる羽目に。 『組織』と『工場』さらにやみ...
僕は影と引き離されて夢読みの仕事をすることとなった。 人が心を持たず、苦しみも死もなければ喜びもない街。 影はここから脱出して元の世界に帰ろうともちかける。 記録士の私はシャフリングに成功した生き残りとして 技術を開発した博士と共に追われる羽目に。 『組織』と『工場』さらにやみくろたちから逃げ続けるが 博士はすでにとんでもない計画を始めてしまっていた。 装丁・地図:和田誠 もの凄い世界を構築するなぁ。 堀江敏幸といしいしんじの間のような印象。 「ハードボイルド・ワンダーランド」の舞台が日本には見えないのだけれど ばっちり東京の地名が出てくるのがパラレル的で面白い。 心がない人間、というのはどうやって判断するんだろう。 ラストは完全にシフトしたということでいいのかしら。 余韻の残る話です。
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一度読んだがまだちょっと何を言いたかったのか解らない。 とりあえず『ハードボイルド』サイドで筆者がハードボイルド的なものが書きたかったのは解った。まんまやがな。
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終わり方がとても好き。 多分私は、今まで読んだ村上さんの作品の中でこれが一番好きなのではないかと思う。
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春樹氏の中で一番好きかなぁ。ゲームみたいでわくわくする。2つの世界がバラバラに進行していって融合する過程は見物。
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私はカフカよりもさらにこっちの方が好きです。私が持ってるのは文庫版なんですが、挿入されている地図も世界観がよく出ていて、見ていて飽きません。 静かなうねりが感じられる作品だと思います。
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061006 面白い。全く古さを感じなかった。完成された世界を創るためは、排除され、犠牲になるものがある。そんなところより、苦しくても現実がいい。
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