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天に焼かれる の商品レビュー

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2017/08/15

72回目の広島原爆の日に読了。 あの日、あの雲の下で、何が起こっていたのか。 妻子を探して広島の街を13キロも駆け回った作者が目にした地獄絵図。 「焼け残りの材木のようにまっ黒になった死体」 「子どもをかかえた母親が、ぼうぜんとしています。」 「人びとは、『天に焼かれる』『天...

72回目の広島原爆の日に読了。 あの日、あの雲の下で、何が起こっていたのか。 妻子を探して広島の街を13キロも駆け回った作者が目にした地獄絵図。 「焼け残りの材木のようにまっ黒になった死体」 「子どもをかかえた母親が、ぼうぜんとしています。」 「人びとは、『天に焼かれる』『天に焼かれる』と、繰り返し歌うように泣きながら歩いていました。」 戦前は画家を志していらっしゃったという金崎是さん。 原爆によって一度は絵筆を置いたものの、核兵器廃絶とあらゆる差別をなくすための運動に参加、その一環として小学~高校生向けの紙芝居『天に焼かれる』を描かれたそうです。 ひとりの画家の目を通してキャンバスに刻み付けられた光景の数々から、資料写真とは全く別の種類の恐怖を感じました。 焼け出され逃げ惑う子どもの、力なく道端にうずくまる人々の、「このかたきはきっととってやる」と泣き叫ぶ少年の、避難場所の廊下に並べられた無数のご遺体の、目、目、目……。 これらの眼差しに射竦められ、何度絵本を閉じてしまいそうになったことか。 恐ろしい。 けれど、この恐ろしさを忘れた時、きっと、もっと恐ろしい事が起こる。

Posted byブクログ