ノルウェイの森(下) の商品レビュー
最後まで読み終わって、ライトな読み心地ながら、読後感はずっしりヘビー級だった。 性の描写を絡めながら、死生観についても深く描かれているためか。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
20年前に既読のはずなのに今改めて読み返すと、話の筋も何もかも忘れてしまっていて、まったくの新刊を読んでいるよう。 一気読みした。特に下巻は週末の午前中の数時間でに一気に読み終えた。 20年前に読んだ時には、作品設定年代の'60年から'70年のすこしあとの時代を学生として過ごしたにもかかわらず、ワタナベその他の人物の人物設定や生活 と 自分が過ごし感じてきた心象風景 との間のあまりのギャップに、ただただ拒絶感が先行した。 そして、幾らかでも喪失と別れを味わってきたであろう今このときに読む「ノルウェイの森」は、性的描写が薄っぺらな恋愛小説ではなく 生、死、喪失、そして性のものがたりでした。 「死は生の対極にあるのではなく、我々の生のうちに潜んでいるのだ」 たしかにそれは真実であった。我々は生きることによって同時に死を育んでいるのだ。しかしそれは我々が学ばなければならない真理の一部でしかなかった。直子の死が僕に教えたのはこういうことだった。どのような真理をもってしても愛するものを亡くした哀しみを癒すことはできないのだ。どのような真理も、どのような誠実さも、どのような強さも、どのような優しさも、その哀しみを癒すことはできないのだ。我々はその哀しみを哀しみ抜いて、そこから何かを学びとることしかできなし、その学びとった何かも、次にやってくる予期せぬ哀しみに対しては何の役にも立たないのだ。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
主人公ワタナベの大学時代の学生生活回想録。高校の親友キズキが自殺し、その彼女である直子は精神を病んで療養所へ。ワタナベは直子に惹かれつつ一方で大学の同級生・緑にも翻弄される。寮の先輩である万能の永沢さんとその彼女ハツミさん。直子の療養所のルームメイト、レイコさん。女性登場人物が簡単に脱いでしまうし、会話の内容も性の話ばかり。最後にはみな死んでしまって現実味がない。作者の理想郷なのかもしれないが、自分には共感できるポイントが少なかった。(2011.10)
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
最後まで読んだけれども、わたしには恋愛小説には思えなかった。上巻で思っていたように死者との対話する黄泉の国のお話しに見えました。村上春樹氏はノルウェイの森を恋愛小説、と語っています。なるほど、彼の恋愛は、(おそらく記憶の中で)醸成されていく魂の過程なのだと感じます。河合隼雄氏が鷲田清一氏との対談で、皮膚と皮膚とが触れあう場所に「魂」が生まれる。と語っていたのを思い出します。ノルウェイの森の中でおよそ現実的ではない性的な関係が多く見られたのも、そういう視点でみると納得がいきます。いずれにしても、今のわたしが欲していた物語。面白きものでした。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
年に1度は必ず読み返す一冊。 美しくって切なくって音楽的で。 最後まで言い切らないような こちらがじっと耳を傾けてしまうような この文体が話全体を淀ませることなく流していく。 ゆえにこんなにも美しい世界が描かれるのか。 他の村上作品は苦手なんだけど この本は死ぬまで手放さないであろうと思う。
Posted by
直子とワタナベ君だけでなくて、 レイコさんも、 緑も、 永沢さんも、 ハツミさんも、 みんなそれぞれが問題を抱えてる。 緑が「どれくらい私のこと好き?」て聞いたときの、 ワタナベ君の返答がとてもすきです。 以前に読んだときよりも、 緑のことが可愛いくおもえる...
直子とワタナベ君だけでなくて、 レイコさんも、 緑も、 永沢さんも、 ハツミさんも、 みんなそれぞれが問題を抱えてる。 緑が「どれくらい私のこと好き?」て聞いたときの、 ワタナベ君の返答がとてもすきです。 以前に読んだときよりも、 緑のことが可愛いくおもえるのはなんでだろう?
Posted by
p167「自分に同情するな」と彼は言った。「自分に同情するのは下劣な人間のやることだ」 直子と離れ、緑と通わし、ワタナベは大人になり、そして。 死を扱う小説として、生を扱う為に性行為は外せないものなんだろうな。下巻は緑の会話が官能的(笑) p46「(前略)『駄目よ、本当に駄...
p167「自分に同情するな」と彼は言った。「自分に同情するのは下劣な人間のやることだ」 直子と離れ、緑と通わし、ワタナベは大人になり、そして。 死を扱う小説として、生を扱う為に性行為は外せないものなんだろうな。下巻は緑の会話が官能的(笑) p46「(前略)『駄目よ、本当に駄目、そんなに大きくて固いのとても入らないわ』って」 「そんなに大きくないよ。普通だよ」 にはなんとなく吹いてしまったwwww でも結局、直子がワタナベを愛していなかったと言いきれるんだろうかと考えてしまった。 ワタナベは幸せになれるのかな。これってハッピーエンドなのかな? 上巻冒頭の「穴」の話を読み返したいけど図書館に返しちゃったからない。 きっと、みんな、それぞれ「穴」に落ちて行ったんだろうな。 まずキズキが落ち、直子が落ち、そしてワタナベはその「穴」の中でじわじわと死へ向かっているんじゃないか。 もう何回か読み直さないと話が私の中でまとまらない繋がらない…。難しい話でした。 p258「僕は今どこにいるのだ?」
Posted by
Posted by
古い読書履歴より。 1960年代後半に青年期を過ごした「僕」が、高校時代の親友キズキやその彼女の自殺(すなわち 死)を、受け止めて立ち直り、生きることを手負い覚悟で遂行していく。 同名の曲が、ビートルズにあると聞いた。ぜひ聞いてみたい。 (※近年、映画化された折に、ずいぶんテ...
古い読書履歴より。 1960年代後半に青年期を過ごした「僕」が、高校時代の親友キズキやその彼女の自殺(すなわち 死)を、受け止めて立ち直り、生きることを手負い覚悟で遂行していく。 同名の曲が、ビートルズにあると聞いた。ぜひ聞いてみたい。 (※近年、映画化された折に、ずいぶんテレビで流れましたねCMで。) 「生きる代償」を払うことが、すなわち「大人」として生きていくことだ、と教えられた一冊。 限りなく退廃的なのに、ハッピーエンド。若き時代の村上文学は、なんだか青臭かった。
Posted by
初めての村上作品です。 内容が深すぎて、読了後もいまだ答えのない曖昧な世界を漂っています。 この本の中に何か自分なりの確信を持ちたくて、私はまた手にとって読む日がくると思います。
Posted by