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占星術殺人事件 の商品レビュー

4.1

399件のお客様レビュー

  1. 5つ

    144

  2. 4つ

    134

  3. 3つ

    79

  4. 2つ

    13

  5. 1つ

    2

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本書の初版は1981…

本書の初版は1981年というから今から24年前。作品中の時代も古く文体から時代の空気というか重たい印象を受けたのだが、同時に何か古典芸能を見ているような凛とした気品と強さも感じた。最初、専門的というか理解しにくい話が延々語り続けられ読みにくさを感じたが、そこを乗り切ると探偵の登場...

本書の初版は1981年というから今から24年前。作品中の時代も古く文体から時代の空気というか重たい印象を受けたのだが、同時に何か古典芸能を見ているような凛とした気品と強さも感じた。最初、専門的というか理解しにくい話が延々語り続けられ読みにくさを感じたが、そこを乗り切ると探偵の登場で一気に話は盛り上がる。謎が大きい割に種はシンプルというのが好感が持てる。この点は著者の技量によるところが大きい。

文庫OFF

名探偵御手洗潔のデビ…

名探偵御手洗潔のデビュー作。奇跡のようなトリックには言葉を失うばかりだが、登場人物の人間味のぶあつさも素晴らしい。母は子を思い、子は母を思う。物語最後の犯人の遺書には涙涙涙。

文庫OFF

デビュー作?とにかく…

デビュー作?とにかく御手洗シリーズの一作目。トリックはストップモーションの時点でといてください。必死になれば解けます。紙で人型を作るのもいいでしょう。

文庫OFF

気を引き締められるエ…

気を引き締められるエピローグ。グロテクスな手記。そして作家と占星術家。四十年以上未解決の事件に挑む雲を掴むような謎解き。一番の魅力はやはり変人御手洗潔。処女作というだけあって時系列にはそぐわないが本シリーズを読み始めるならこの作品から。

文庫OFF

現代では絶対に通用し…

現代では絶対に通用しないトリックを使ってはいるけれども、それが『劣った作品である』という評価には繋がらないのが凄いと思いました。読んでいる間中感じる緊張感が良いです。

文庫OFF

本格的ミステリと聞か…

本格的ミステリと聞かされて、読みました。本当に面白い。トリックにも驚かされました。

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もはや古典ともいえる…

もはや古典ともいえる本格ミステリ。某金田一少年の~という漫画でトリックを劣化コピーされていたが、はじめて読んだときには実におどろかされた。

文庫OFF

作者の著書でもおなじ…

作者の著書でもおなじみの御手洗が推理していくが、占いものということもあってか、世間の評判ほど読み込むことはできなかった。

文庫OFF

2024/06/12

読み始めたら最初の手記が相当難物で、アゾート作成の説明の時点で投げ出したくなった。 御手洗の探偵パートに移ってからも基本は単調な会話劇で進むため、読了まで日数を費やした。が、「読者への挑戦」からの展開は鮮やかで、序盤はなんだったんだと思わせるスピード感、そして最後に「あぁこの難...

読み始めたら最初の手記が相当難物で、アゾート作成の説明の時点で投げ出したくなった。 御手洗の探偵パートに移ってからも基本は単調な会話劇で進むため、読了まで日数を費やした。が、「読者への挑戦」からの展開は鮮やかで、序盤はなんだったんだと思わせるスピード感、そして最後に「あぁこの難物の手記がなければいけなかったのか」と納得させられる驚愕のトリック。3つの事件のうち2つめなんとなく予想が立ったのだが、アゾート殺人はまさかそんなやり方が!と、全く歯が立たなかった。図説があってよかった。

Posted byブクログ

2024/06/12
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

43年間、熟成させてあったチーズをテーブルに載せる助手。 それをズバッとまっぷたつに切る名探偵。 さながらこんな感じでしょうか? この推理小説は、なんの予備知識もなく読み始めたもので、 肝心の事件自体はすでにとうの昔に終わり、ほぼ、その時点での 未解決事件の読み語りと二人の問答で進行していくスタイルで 全編を描ききっているところに、作者の潔さを感じました。 御手洗『潔』だけに!(笑) 肝心の内容としては、題名で『占星術』を謳っているにもかかわらず、 本編で小難しい占星術のうんちくはそれほど語られていない点が 肩透かしを喰らったような、ホッとしたような、 何とも言えないライトな感じです。 それだけならいいんですが、話が進んで明白になってくる トリック・犯人の動機・密室構築・殺害方法と、 大事なものがどれをとってもカジュアルな上に穴だらけで 言い方は悪いですが、その辺りはB級品というか、 場当たり的に見えてしまいました。 そして極めつけは『殺人事件』と銘打ってありながら、 作中のリアルタイムで被害者は誰ひとり発生せず、 物語の最後で犯人が1人自殺により死ぬ幕切れです。 これは、占星術殺人事件というより、 正確には、占星術殺人事件・後日譚、と言えるのではないかと。 未解決事件を事件そのものにまったく関係ないふたりが解き明かす。 王道ミステリーとは似ても似つかない邪道っぷりですが、 それでいて息の通った等身大の登場人物の織りなす人間模様が、 なんともコミカルでいつつ、血が通ってるように感じられる面白さで、 最後の最後まで思わず゙集中してしまいました。 ここから、島田荘司氏が多くの人から支持される魅力の理由が、 自分にもほんの少し伝わった気がします。 作中には夏目漱石の作である草枕の引用がありますが、 知に働けば〜・情に棹させば〜、の二つが挙げられているだけで、 意地を通せば〜←のくだりは省かれています。 ここがぼかされているのは、犯人である時子ないし、 竹越刑事を暗に指したい作者なりの気持ち、と、自分は受け止めました。 それをベースに読み解いていくと、 犯人時子は日本の緯度経度をバックに、ここまでスケールの大きい見立て殺人を 考える頭脳があったら、合法的に家族の支配から逃れる妙案に リソースを割くほうが、はるかに合理的なのではと思いますし、 そこに意地を張るより、もっと違う道はなかったのか?という話であり、 竹越文次郎の息子、竹越刑事に関しては、登場時には自分の信じる倫理観と 職権を使えば大抵のものは強引に押し通せる、と、歪んだ考えを持っていますが、 最後にはその意識に変化が表れる、と、こういうふたつの形です。 意地を通して窮屈な結果を得るか、それとも目的に対して柔軟に対峙するか。 大枠で作者は、このふたりの心の行き先のチェンジとして 御手洗潔の存在有る無しで読者に提示したかったのかなと、 うまく言葉にはできないんですが、そんな風に感じました。 現代では、スマートフォン等の情報伝達の技術がない方が面白い、と、 あえてそのへんを不可能にしたり、少し前の時代を描かれたり、 市井のミステリー作家さんたちは、不自由さをどう自然に演出するか、 目線の位置を色々考えていらっしゃいますが、なにもそれは まんざら今はじまったでもなく、昭和のこの占星術殺人事件の時代は、 当時なりの最新があったわけで、この時代からも、 『不便で思い通りにならないもの』に対する欲求があり、 分からない事、に対する神秘性が守られた世界って、どんな時代にも 存在する感情なんだな、と改めて痛感しました。 久しぶりにミステリーを楽しく読めました。 また島田荘司氏の同シリーズを読んでみたいですね。

Posted byブクログ