墜落遺体 の商品レビュー
ブクログの献本で送っていただき、初めて改めてこの事故の壮絶な詳細な記録を知った。涙なしには読めなかった。あとがきに「命の大切さ」「家族の絆の大切さ」が語られているように、改めて大切なことを思い起こさせてもらった。現場で身元確認作業にあたった警察官の奮闘がまざまざと迫って喜怒哀楽が...
ブクログの献本で送っていただき、初めて改めてこの事故の壮絶な詳細な記録を知った。涙なしには読めなかった。あとがきに「命の大切さ」「家族の絆の大切さ」が語られているように、改めて大切なことを思い起こさせてもらった。現場で身元確認作業にあたった警察官の奮闘がまざまざと迫って喜怒哀楽がそこにあったことが伝わってくる。この悲劇を伝えることの意義は一人の人間の命がいかに崇高な絆で結ばれているかを思い出させるためにあったのだと、改めて、著者の訴えている通り生きている者たちは受け継ぎ生きることへの感謝を実感していかなければならない。それがこの事故の被害者への最大の冥福を祈ること、また残された家族のために私たちができることなのだと思うから。この作品を読んで良かったと思う。生きていることを当たり前に思っていてはいけないんだと思った。
Posted by
「墜落現場」に続いて、結局こちらも読んだ。 タイトル通り、日航機123便墜落事故で亡くなった方たちの遺体についてのノンフィクション本。 墜落現場や現場から遺体を探して安置所へ運ぶまでの話はほとんどなくて、あくまで安置所になった体育館での話がメイン。警察官、医者、歯科医、看護師の葛...
「墜落現場」に続いて、結局こちらも読んだ。 タイトル通り、日航機123便墜落事故で亡くなった方たちの遺体についてのノンフィクション本。 墜落現場や現場から遺体を探して安置所へ運ぶまでの話はほとんどなくて、あくまで安置所になった体育館での話がメイン。警察官、医者、歯科医、看護師の葛藤と闘いの日々。 五体が揃った完全遺体はほとんどなくて、ほとんどの犠牲者はばらばらになった状態で、例えば右手だけとか、前頭部が欠損した顔と首の皮にかけてとか、文章で読んでいるだけでも想像を絶するような姿の描写が隠すことなくされていて、腐っていく遺体の臭いやわいてくる蛆についてもきちんと描かれている。 だから読んでいるだけで辛くなったり気分が悪くなる人もいるかもしれないけれど、これが現場の人たちが見た事実なのだということは分かる。 遺族はどんな形であっても亡くなった大切な人を連れて帰りたいと願う。それがたとえ骨の一つや歯の一本であっても。 事故から数ヶ月が過ぎてようやく身元が判明して遺族に渡った遺体もある。 日本人はとても真面目な気質である、という国民性も、かなり関係していることが分かった。国や宗教によっては「この事故の状況なら亡くなったでしょう。そして神の元に行ったのですから遺体は探さなくてもいいです」という外国人もけっこういたそうなので。 一人でも多くの遺体を、それがたくさんに分かれてしまった部分であっても、遺族の元に返したい。関わった多くの人たちは、その思いだけを元に、自らもギリギリの状態でその日々を闘い続けた。 そして今現在でも遺族と働いた人たちの間で個人的な交流がなされていると知って、人と人の縁を思って胸が熱くなった。 一応私も生まれてはいたけれど全く記憶には残っていない事故のことを、発生から30年のこの年に詳しく知れて良かったと思う。 読んでいて辛くなったけれど、読んで良かった。
Posted by
かつてない規模の航空機事故における遺体確認班長である著者による、当時の記録。 読んでいるうちに何度も涙があふれてきた。 離断し炭化し、また猛暑により腐敗し始めたご遺体に真摯に向き合い、家族のもとへ返そうと一心不乱に働き続けた関係者たち。 突然乗客を襲ったであろう恐怖、遺された者の...
かつてない規模の航空機事故における遺体確認班長である著者による、当時の記録。 読んでいるうちに何度も涙があふれてきた。 離断し炭化し、また猛暑により腐敗し始めたご遺体に真摯に向き合い、家族のもとへ返そうと一心不乱に働き続けた関係者たち。 突然乗客を襲ったであろう恐怖、遺された者のやりきれない怒りや悲しみ、そしてなにより自分の命を削りながら回収された遺体の確認、清拭を寝ずに行った警察や医師、歯科医師、看護師たち。。想像を絶するような状況のなか、出来る限りの、あるいはそれ以上のことを行われたことが伺える。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
この本を読んで死生観が変わりました。 日航機墜落事故の身元確認に当たった警察官の方が書かれたドキュメントです。 事実を克明に描写されていて、一気に読んでしまいました。 死がどんなにはかないものか、そして日本人の死に対する誠実さが伝わりました。 事件を知らない世代の方にも是非読んでもらいたい本です。
Posted by
あれから30年。今年は何かと「○○から何十年」が多いですが、日航機事故からもうそんなに経過したのかと、驚きを禁じ得ません。 1985(昭和60)年8月12日。あの日は本当に暑い日でした。わたくしども家族は、父親の郷里である鹿児島県を目指してゐました。一行は飛行機で行く訳ですが、...
あれから30年。今年は何かと「○○から何十年」が多いですが、日航機事故からもうそんなに経過したのかと、驚きを禁じ得ません。 1985(昭和60)年8月12日。あの日は本当に暑い日でした。わたくしども家族は、父親の郷里である鹿児島県を目指してゐました。一行は飛行機で行く訳ですが、わたくしは飛行機よりも汽車が好きなので、一人別行動でブルートレイン「富士」の客となつてゐました。時間がかかり過ぎるので一日早く出発し、翌日現地で落合ふことになつてゐたのです。 わたくしは予定通り宮崎で「富士」を降り(当時は宮崎止)、日豊線で都城へ、志布志線で志布志へ、更に大隅線に乗換へて目的地の吾平で下車しました。鹿児島県肝属郡吾平町(現在は鹿屋市に編入されてゐます)。吾平は「ごへい」ではなく「あいら」と読む難読地名であります。 吾平駅は有人駅で、若い駅員が地元の人たちの話相手をしてゐました。そこで会話を盗み聞ぎしてゐると、どうやらどこぞで飛行機の墜落事故があつたらしい。飛行機で移動した家族の事がちらと頭を霞めましたが、その場は聞き流してゐました。ところが、集合場所へ行つてみても、既に到着してゐる筈の家族がゐないではありませんか。現地の親族に連絡を取つても、「まだ来てゐない」との返事。この時は首筋に冷たいものを感じ、急に不安に苛まれたのであります。今と違ひスマホですぐニュースを確認することなど出来ないので、焦燥感は募るばかり。 実際には約一時間後に家族は到着し、胸をなでおろした次第。空港で色色買物をし、時間を喰つてしまつたらしいのです。 その夜、親戚宅のテレビで改めて事故の詳細を知つた訳であります。 個人的な事を語り過ぎました。『墜落遺体』の件です。 発行時に大変な反響を呼んだので、本書をご存知の方も多いでせう。この歴史的事故の犠牲者は520名。その遺体の身元確認の責任者として捜査にあたつたのが、著者の飯塚訓でした。したがつて本書には日航機事故に関する詳細な経緯や事故原因の考察などは出てきません。ひたすら「遺体」に関する記録であります。 520の遺体のうち、五体満足で残されたのはほんの一握りで、そのほとんどは切断されてゐたさうです。中には、腹の皮一枚で辛うじて上下半身が繋がつてゐた遺体も。それらのバラバラ遺体をすべて身元確認し、可能な限り人体の形に復元する。その上で遺族に引き渡すといふ手順。無論この作業は尋常ならざる困難さを伴ひます。 何よりも時間との戦ひ。ただでさへ猛暑の時季。遺体は腐乱が進みます。猛烈な悪臭。蛆が湧きます。発見時、既に半ば白骨化してゐる遺体すらあつたさうです。年齢性別も不明な遺体が多く、血液型を調べるなどして時間がかかつてしまふ。遺族とのいざこざも起きます。責任を感じた日航側も、良かれと思つて手や口を出すが、それが却つて足を引張る結果になつたりします。 現場の警察官、医者、看護師はこの戦場で127日間、戦ひ続けました。皆がそれぞれの立場で、最後の一人に至るまで真摯に遺体に向き合つたのです。携つた方々には頭が下がりますが、責任者にして本書の記録者、飯塚氏は本当に社会的意義のある仕事をされたと思ひます。この記録は風化させてはならぬと考へ、30年の節目にここに取り上げる次第であります。 出来るだけ多くの人が目を通されんことを望み、本日はご無礼いたします。 http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-550.html
Posted by
慟哭、錯乱、無惨。全遺体の身元はこうして確認された!! 「遺族の極限の悲しみ、想像を絶する修羅場」を描きつくしたと、朝日新聞等で絶賛されたベストセラー、待望の文庫化。この事故を風化させてはならない!! 1985年8月12日、群馬県御巣鷹山に日航機123便が墜落。なんの覚悟も準備...
慟哭、錯乱、無惨。全遺体の身元はこうして確認された!! 「遺族の極限の悲しみ、想像を絶する修羅場」を描きつくしたと、朝日新聞等で絶賛されたベストセラー、待望の文庫化。この事故を風化させてはならない!! 1985年8月12日、群馬県御巣鷹山に日航機123便が墜落。なんの覚悟も準備もできないまま、一瞬にして520人の生命が奪われた。本書は、当時、遺体の身元確認の責任者として、最前線で捜査にあたった著者が、全遺体の身元が確認されるまでの127日間を、渾身の力で書きつくした、悲しみ、怒り、そして汗と涙にあふれた記録。生と死のはかり知れない重さが胸に迫る!
Posted by
ただの肉片、骨片と成り果てたものを もういちど「ひと」として送り出すため 奮闘した方々の記録です。 生まれて間もない赤ちゃんや、生まれてこれずに お母さんのお腹から飛び出て亡くなってしまった子も その生命がある間、どれくらいの幸せを振りまいてきたのだろう、ああ、意味のない命って...
ただの肉片、骨片と成り果てたものを もういちど「ひと」として送り出すため 奮闘した方々の記録です。 生まれて間もない赤ちゃんや、生まれてこれずに お母さんのお腹から飛び出て亡くなってしまった子も その生命がある間、どれくらいの幸せを振りまいてきたのだろう、ああ、意味のない命って本当に無いのかもしれない、そう思えるようになりました。 死生観が変わりました。 つらい状況を淡々と記録した本で読むのがきつい人もおられるかと思いますが、ひとの極限の美しさと極限の醜さを映しだした、大切な一冊になるのではないかなと思います。
Posted by
日航機墜落事故の遺体処理現場の本。 本当に、過酷な状況、激務でギリギリの中で精一杯力を注いでいる様子が描かれている。現場で働く人たちには、いつでも頭が下がる。 私には、特に赤十字関係の方の献身的な働きぶりが心に残った。 遺体に関する日本の遺族と外国の遺族の考え方の違いの描写が印象...
日航機墜落事故の遺体処理現場の本。 本当に、過酷な状況、激務でギリギリの中で精一杯力を注いでいる様子が描かれている。現場で働く人たちには、いつでも頭が下がる。 私には、特に赤十字関係の方の献身的な働きぶりが心に残った。 遺体に関する日本の遺族と外国の遺族の考え方の違いの描写が印象深かった。現場で働いていた方はとても遺体を尊重し丁寧に扱っていた様子が読み取れた。
Posted by
日航機が落ちてから、いかにして警察が動いたのか。遺体収容後、遺体確認までの流れを警察関係者だった著者がまとめたものです。 自衛隊、警察だけではなく、歯科医、医師、看護師などの医療関係者の行ったことに絶句です。 内容は悪くありませんが、私が本当に知り得たかったことはこの本では得られ...
日航機が落ちてから、いかにして警察が動いたのか。遺体収容後、遺体確認までの流れを警察関係者だった著者がまとめたものです。 自衛隊、警察だけではなく、歯科医、医師、看護師などの医療関係者の行ったことに絶句です。 内容は悪くありませんが、私が本当に知り得たかったことはこの本では得られませんでした。
Posted by
日航ジェット機墜落事故、毎年ニュースで聞くけれど、単なる文章の情報としてしか認識していなかった。この本は、事故の遺体確認、引渡しを担当した方の手記で事故の凄まじさを知るにはとてもオススメということなので、読んでみた。 遺体の状態の描写がまずはきつい。遺体を人として扱う医師や看護...
日航ジェット機墜落事故、毎年ニュースで聞くけれど、単なる文章の情報としてしか認識していなかった。この本は、事故の遺体確認、引渡しを担当した方の手記で事故の凄まじさを知るにはとてもオススメということなので、読んでみた。 遺体の状態の描写がまずはきつい。遺体を人として扱う医師や看護師や警察関係の方の誠意にぐっときた。 一点興味深かったのは、遺体に対する宗教間の違いの記述。遺体を家へ連れて帰りたい、という気持ちはキリスト教?にはあまり見られないのだとか。 日本人はなにか特定の宗教を信仰する、という気持ちが薄いというけど、死や、遺体に対する敬意をみるとそんなこと問題にならないな、と感じた。
Posted by