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ボクが十番勝負する理由 の商品レビュー

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2010/05/06

田村由美さんの漫画は、常に人間に対する暖かい視線があるように思う。 そんな暖かさが、特にクローズアップされているような気がして、この「龍三郎シリーズ」は大好きだ。 刑事のパパと、元女優のママ、そして弟の玉三郎の4人家族で暮らす龍三郎は、子どもにしては(子どもだから?)とて...

田村由美さんの漫画は、常に人間に対する暖かい視線があるように思う。 そんな暖かさが、特にクローズアップされているような気がして、この「龍三郎シリーズ」は大好きだ。 刑事のパパと、元女優のママ、そして弟の玉三郎の4人家族で暮らす龍三郎は、子どもにしては(子どもだから?)とても鋭い視点で様々なものを見る。それが結構物事の本質を突いていて、大人の私もぐっと来る。 今回の「十番勝負」は、実際の龍三郎シリーズの応用版といったところで、龍三郎たちが原始時代や平安時代、メルヘンワールドなど舞台をさまざまに変えた中で活躍するのだが、そこで伝えられる内容は、親子の愛情だったり、恋心だったりと、とても身近で、とても大切なことばかりだ。 そういう根源的な、大切な感情を伝えられる漫画家さんは、最近とても少なくなった気がするので、私は田村先生の存在はとても貴重だと思うし、10代の人たちにぜひ積極的に読んでほしいと思う。 ちなみに、私が本書の中で一番好きなのは「暁のレース日記」。 人生をレースにたとえ、ひたすらゴールを目指して人を蹴落とすレースって、いったいなんだろう?としっかり考えさせてくれる構成は、さすがの一言です。

Posted byブクログ