愛人 の商品レビュー
こちらの作品、ブクログに登録した日は、2015年2月18日ですが、レビューを書いていなかったので、本日(2021年7月5日)書きます。 著者、マルグリット・デュラスさん、どのような方かというと、ウィキペディアには次のように書かれています。 マルグリット・デュラス(Margue...
こちらの作品、ブクログに登録した日は、2015年2月18日ですが、レビューを書いていなかったので、本日(2021年7月5日)書きます。 著者、マルグリット・デュラスさん、どのような方かというと、ウィキペディアには次のように書かれています。 マルグリット・デュラス(Marguerite Duras, 1914年4月4日 - 1996年3月3日)は、フランスの小説家、脚本家、映画監督。 ヌーヴォー・ロマンの作家の一人に数えられることもあるが、キャリアの点でも作風の点でもヌーヴォー・ロマンの枠内には収まらない。 この本の内容を、適当なところからコピペすると、 18歳でわたしは年老いたー。あの青年と出会ったのは、靄にけむる暑い光のなか、メコン河の渡し船のうえだった。すべてが、死ぬほどの欲情と悦楽の物語が、そのときからはじまった…。仏領インドシナを舞台に、15歳のときの、金持の中国人青年との最初の性愛経験を語った自伝的作品。センセーションをまきおこし、フランスで150万部のベストセラー。J・J・アノー監督による映画化。
Posted by
ずっと気になっていた作品。仏領インドシナを舞台に、15歳の時の、金持の中国人青年との最初の性愛経験を語ったデュラスの自伝的作品。溢れ出るようなイマージュが重なり合いながら、引いては寄せる波のように繰り返される回想。母のこと、兄たちのこと、初めて知った性と愛とが情緒豊かに綴られてい...
ずっと気になっていた作品。仏領インドシナを舞台に、15歳の時の、金持の中国人青年との最初の性愛経験を語ったデュラスの自伝的作品。溢れ出るようなイマージュが重なり合いながら、引いては寄せる波のように繰り返される回想。母のこと、兄たちのこと、初めて知った性と愛とが情緒豊かに綴られている。デュラスの文章は詩のようにとても美しい。その美しさはもう二度と返らない過去の、甘美なヴェールを纏い、眼差す記憶の奥で誘うように軽やかに翻り、揺れている。他の作品も読みたい。
Posted by
この作品は映画でセンセーショナルな反響があったと記憶していますが、こうやって原作を読むとこれは年寄り婆さんの遠い昔の思い出に耽った繰り言ですね。(笑) 少女時代に彼ー愛人とひたすら性愛に溺れた日々の感傷に耽るみたいな感じですかね。 ただ、マルグリット・デュラスの少女時代はかなり...
この作品は映画でセンセーショナルな反響があったと記憶していますが、こうやって原作を読むとこれは年寄り婆さんの遠い昔の思い出に耽った繰り言ですね。(笑) 少女時代に彼ー愛人とひたすら性愛に溺れた日々の感傷に耽るみたいな感じですかね。 ただ、マルグリット・デュラスの少女時代はかなり悲惨だったようで、当時生まれ住んでいたベトナムでは父が早くに亡くなり母が土地投資に失敗し、母や上の兄からはモラハラ紛いのことをされていたようです。 なので家庭的な要請や自己逃避など複雑な背景があったように思いますが、金持ちのちょっと気弱な中国人男性に目をつけたのもある意味必然だったのかもしれないですね。 15才のマルグリットは、三つ編みに縁の平らな男物のソフト帽をかぶり金ラメの靴をトレードマークにして男を誘惑し周囲の気を惹く術を心得ていたのでしょう、これに金持ちの愛人の黒塗りリムジンで学校に通っていたとはかなり異様な光景でみんなさぞ近寄り難かったでしょうね。(笑) 年老いたデュラスはそうした孤独な日々と愛人との関係がふつふつと思い出される境地になったのでしょう。 この本では年寄りの昔ばなしよろしく、時空間がころころと変わるだけでなく、自分自身の主語でさえ、私だったり彼女だったりと主観と客観も入れ替わったりするわ、話が愛人と思っていたら友達の話だったりその親の話だったり、そうかと思うと兄の話になっていたりと状況がすぐに変わるので読みづらいことこの上ないですが、こうしたデュラスのごちゃ混ぜの記憶が怒濤のようになって思い出されるのを文章化するのはさぞ大変だったでしょうね。 生々しい少女時代の過去を題材に、ある意味、内面を見つめ直し、熱量や香りや匂いまでもそのままに赤裸々な描写で文学にまで昇華させるところなどはさすがとしか言いようがないですが、ここまでくると、もはや年寄り婆さんの自慢話の域に達しているかもしれません。(笑) 原作の方はデュラスの複雑な心境を淡々と描写していましたが、映画の方はエロティックな方で話題だったように思います。 ぜひ映画の方も鑑賞してみたい。(笑)
Posted by
1984年ゴンクール賞受賞作品。 1992年発行の文庫本が本棚に積まれてました…(;'∀') 1929年のフランス領インドシナ。 関係も家計も破綻した家庭の貧しいフランス人少女が 華僑の中国人青年と愛人関係を持つようになる。 しかし、人種差別的にはフランスが...
1984年ゴンクール賞受賞作品。 1992年発行の文庫本が本棚に積まれてました…(;'∀') 1929年のフランス領インドシナ。 関係も家計も破綻した家庭の貧しいフランス人少女が 華僑の中国人青年と愛人関係を持つようになる。 しかし、人種差別的にはフランスが強く中国は 弱い立場なので少女の家族を含んで非常に ゆがんだ関係が築かれる。 日本では1992年に映画が公開されました。 映画のちょっと妙な服装をした少女と イケメンだけどおどおどした中国の青年、 よどんだメコン川がはっきりと思い出されます。 友人と観に行きました。懐かしいなぁ。
Posted by
映画を2〜3回観てから読んでみた。本の方が間に今現在の描写が何度も出てくるので、回想感が強い分ちょっとあっちこっち気が飛んでしまうかも。 読んでも観てもお話のような運命の出会いだよなぁと思う。男はロリコンでもなさそうだし、むしろ15歳という歳に似合わず大人びている彼女に一目惚れし...
映画を2〜3回観てから読んでみた。本の方が間に今現在の描写が何度も出てくるので、回想感が強い分ちょっとあっちこっち気が飛んでしまうかも。 読んでも観てもお話のような運命の出会いだよなぁと思う。男はロリコンでもなさそうだし、むしろ15歳という歳に似合わず大人びている彼女に一目惚れしたんだろう。その男が大金持ちで彼女は家が貧乏で苦労している…なんて。なんてドラマみたいなの!交際?している間は淡々と付き合って深入りはしないようにしていたけれど、最後の客船での涙は愛していたから流れたのよねぇ。それでもあの当時もう2度と会えないかもしれない距離に帰ってしまったことは、彼女にとっては忘れられる、思い出にできる機会ではあったよな。全てをサイゴンに置いてきた。 読み終えた今、あたしはホーチミン(サイゴン)に居て、この地で映画も本も目を通せて良かった。異常と言っても良いスピードで経済発展をしたサイゴンにインドシナの面影はもう無く、港も寮の建物も残っては居るけれど映画のソレでは無い。映画撮影当時、色補正やセットの作り込みはしているだろうけれどあの時が1930年代を辛うじて感じ取れる最期の時だったのではと思う。
Posted by
作者の自伝的小説。少女の愛と死、情念と苦悩の物語。作者は、作者自らの経験をもって、生きることがいかに愛と死に近く狂気に満ちているか詩情豊かに描いている。読者を作者の心酔する「美」の世界に誘う。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
映画を見てから読んだので、印象が違って驚いた。愛人(ラマン)と呼ばれたのが男の方だったのが一番の驚きだった。15歳の少女からラマンと呼ばれる青年の微細さ。男はいつも女の前では弱いのかもしれないが。これを読んだ後で映画を観ればまた違った印象になっただろう。
Posted by
植民地時代の仏領インドシナ。 貧困家庭の白人の娘と裕福な黄色人種の青年。 そもそも始まりからして歪んでいて、 それは愛として結実できる代物ではなく、 熟んで倦んだ。 昇華できない情欲の関係は 娘の心と若さを削り取っていくしかなかった。 とてもフランス的な自叙伝。 私は好きだった...
植民地時代の仏領インドシナ。 貧困家庭の白人の娘と裕福な黄色人種の青年。 そもそも始まりからして歪んでいて、 それは愛として結実できる代物ではなく、 熟んで倦んだ。 昇華できない情欲の関係は 娘の心と若さを削り取っていくしかなかった。 とてもフランス的な自叙伝。 私は好きだったけどね、 こういう救いがないけど抜け出せないような どうしようもない話は。
Posted by
フランス領インドシナで生きるフランス人の主人公の、中国人青年との性愛を中心に描いた自伝的小説。 植民地の中でフランス人としては最下層におり生活に困窮しているため、中国人青年と関係を持つのはある種生活のためであるという義務感と、どれだけ困窮しようとも自分は白人であり黄色人種の中国人...
フランス領インドシナで生きるフランス人の主人公の、中国人青年との性愛を中心に描いた自伝的小説。 植民地の中でフランス人としては最下層におり生活に困窮しているため、中国人青年と関係を持つのはある種生活のためであるという義務感と、どれだけ困窮しようとも自分は白人であり黄色人種の中国人青年とは違うのだという差別意識とが綯交ぜになって感情が複雑なまま、一つだけ確かなのはその青年との悦楽のみ。決して青年を愛してはいないと、自分に、彼に言い聞かせながら関係を持ち続けていた主人公が、はたと自分の本心に気づく瞬間のやるせなさにぐっときた。
Posted by
p.180「そしていまようやく、彼女はその愛を見出したのだった。 ちょうどのちに、死を横切って、下の兄の永世を見出したように。」 散文詩とでも言うのか、あざやかな言葉と影像の塊によって描かれた小説。インドシナの地で、貧困と憎しみで結び合わされた家族と、思春期の変わった少女と...
p.180「そしていまようやく、彼女はその愛を見出したのだった。 ちょうどのちに、死を横切って、下の兄の永世を見出したように。」 散文詩とでも言うのか、あざやかな言葉と影像の塊によって描かれた小説。インドシナの地で、貧困と憎しみで結び合わされた家族と、思春期の変わった少女と、中国の青年との出会い。 植民地・肌の白い・人種の違い・プライドとコンプレックスといった感情と歴史的背景を完全に理解することはできなかったが、溢れ出るかの地の情緒とコラージュされた映像、とても印象的な小説だった。
Posted by