説経・小栗判官 の商品レビュー

近藤ようこ(著者)

2020/08/24

熊野信仰と「死と再生」が印象深い説教「小栗判官」は、全容が掴み切れていない思いがあり、機会があると読んでしまいます。近藤版小栗は原作に沿って忠実に描かれたとのことですが、照手が餓鬼阿弥の車を引く絵は彼女の靭さ凛々しさに溢れた出色の場面です。深泥ヶ池の美女とは蛇体と知ってからも小栗は情交を深めるとする解釈は納得でした。「費長房や丁令威は鶴の翼に宿られました。云々」の照手の口上は民俗学的な解釈が知りたいですね。説教節の原点に触れる最良のコミックでした。