1,800円以上の注文で送料無料

スター・レッド(文庫版) の商品レビュー

4.4

52件のお客様レビュー

  1. 5つ

    25

  2. 4つ

    18

  3. 3つ

    5

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2024/08/22

若い頃、SFは結構好きで読んでいましたが、この作品はあまりにも壮大すぎて、理解できず、ただただレッド・星の魅力と過酷な運命に翻弄されてました…。文庫化されて、初めてラストまで読めたのですが、作品のスケールが全然つかめてなかったのがよく分かりました。当時はまだ火星に探査機なんか飛ば...

若い頃、SFは結構好きで読んでいましたが、この作品はあまりにも壮大すぎて、理解できず、ただただレッド・星の魅力と過酷な運命に翻弄されてました…。文庫化されて、初めてラストまで読めたのですが、作品のスケールが全然つかめてなかったのがよく分かりました。当時はまだ火星に探査機なんか飛ばせる技術がなかったわけで、火星に「人」がいるともいないとも言い切れなかったからこそ、これほどの宇宙ヒストリーが創作されたのかもしれません。さすがは萩尾望都先生、人類の歴史は、「対話による相互理解」よりも力(=暴力)の対立と支配・収奪、が動かしていることを、何万年経ってどれほど文明が進歩しようとも変え難いことを見通していらっしゃるのですね。そして、異質な存在に対して、排除の圧力が相互理解と共存を吹っ飛ばしてしまうことも。

Posted byブクログ

2024/01/07

萩尾望都の思想が先進的で既存価値観から自由なことにほんとにびっくりする。これが50年近く前に描かれたのか。。。 宇宙空間での永遠の孤独、意識と肉体の乖離や存在の定義、視覚と世界認識などなどSF 設定をとおして哲学が語られていて示唆がある。頭のいい人だったんだろうな。未来を現...

萩尾望都の思想が先進的で既存価値観から自由なことにほんとにびっくりする。これが50年近く前に描かれたのか。。。 宇宙空間での永遠の孤独、意識と肉体の乖離や存在の定義、視覚と世界認識などなどSF 設定をとおして哲学が語られていて示唆がある。頭のいい人だったんだろうな。未来を現在に伝えようとするシーンはインターステラーの本棚のよう。ノーランの40年前にこれがあったのか。この漫画でギリシャ語の数字を覚えた。わたしの知識の大半は漫画からきてる

Posted byブクログ

2023/12/10

中学くらいの時に読んだ作品。 視覚にはいろいろある……と知った作品。『視覚』が自分が見えている形だけではないのは衝撃だった。 超能力も遺伝だから、人類が新たに火星に移住しても同じように能力を得るというのも。設定がハッとさせられるものばかりだった。

Posted byブクログ

2023/07/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

原作があった『百億千億』とは真逆に、『スター・レッド』は主人公と設定だけを考えて結末を決めずに描き始めたそうだ。 脇役で出したエルグが物語をうまくリードしてくれたと振り返っている。 主人公のスター・レッドは、超能力を持った火星人の少女。 名前は星(セイ)で、白髪で赤目…遺伝子突然変異で生まれてきている。 ホワイトタイガーなど地球上の生物でもよく見られるアルビノというやつだ。 実は視力がないのだが、目ではなく透視能力で世の中を見ている。 他にも、読唇術、瞬間移動、念動力など多種多様な超能力を持っている。 萩尾望都さんの描く少女は、世間(男目線の文化)が暗黙のうちに要求する「女性らしさ」を拒否している。 近年ではジェンダーレスとかジェンダーフリーなどの議論が活発になり、法改正を含めて社会常識が変わりつつあるが、45年も前からこのテーマと対峙しているのだ。 生物的に否定できない「妊娠」「出産」の役割分担すらぶち壊して、本作では男性だったヨダカが子供を産む。 『百億千億』は少年マンガ雑誌に掲載されたが、『スター・レッド』は少女コミックで連載された。 絵柄だけ見ると美男美女ばかりなので、当時は(今も?)少年向けの雑誌には不向きだと判断したのだろうが、内容は少女向けというわけでもない。 本作品の驚きの一つは、物語の途中で主人公の星(セイ)が死んでしまうことだ。 だが、萩尾望都さんの頭の中には、そうすることで生まれるストーリー展開が出来上がっていたようだ。 荘厳な宇宙とそこで生きる生命の種の存続について考えさせられるエンディングが素晴らしかった。 萩尾望都さんの作品を3冊読んで、いったん休止にするつもりだったが、『マージナル』も読もうかという気持ちが湧いてきた。

Posted byブクログ

2021/09/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

2006年以来15年ぶりの再読。 本作は「11人いる!」「百億の昼と千億の夜」に続くSF長編で、今後「マージナル」へと。 確かに世界の壮大さと生殖能力が関連しているという意味で、萩尾ワールド。 また生殖能力云々に留まらず性転換という少女漫画的モチーフが出ることで、さらに萩尾ワールドっぽさが増す。 極めつけは「宇宙レベルの孤独」、これが萩尾テーマだろう。 と当時のSFの潮流も何も知らずに書いてみちゃう。 500ページを超える分厚い一巻本を一気読みしたせいか、個人的には、超能力や舞台やがびゅんびゅんと飛ぶなー、と理解できなくはないが実際に体験するほどには迫ってこなかった印象。 70年代後半当時の暴走族カルチャー(?)を取り入れようとする貪欲さ(?)は面白い(萩尾望都って結構流行りを意識してるんだな、と)けれど、それは決して核心に食い込んでこない、とか、セイの認識能力に関するくだりがもっと面白くなりそうなのにな、とか。 セイとエルグが話の中心なのは間違いないのに、活躍する狂言回しがいまひとつモブっぽいのも、やや入り込めなかった理由か。 いや充分面白かったんだけど敢えて言うなら。

Posted byブクログ

2021/08/31

23世紀のニュー・トーキョー・シティで生活をしているレッド・星(せい)は、火星に移住したあと見捨てられた人びとの子孫です。赤い瞳に白い髪をもつ火星人たちは、超能力をつかうことができ、その力を怖れる地球人たちに迫害されていました。 正体をかくして生活していた星でしたが、エルグとい...

23世紀のニュー・トーキョー・シティで生活をしているレッド・星(せい)は、火星に移住したあと見捨てられた人びとの子孫です。赤い瞳に白い髪をもつ火星人たちは、超能力をつかうことができ、その力を怖れる地球人たちに迫害されていました。 正体をかくして生活していた星でしたが、エルグという青年に赤い瞳を見られてしまいます。しかし、彼女が火星人であることを見抜いたエルグは、星に協力して火星に潜入しますが、彼女に不審をおぼえた情報局のペーブマンがそのあとを追います。やがて星は、火星に暮らしている火星人たちに出会いますが、彼らが未来を占ったところ、星は災いをもたらすというお告げが示され、星は彼らのもとからも逃げ出すことになります。 地球人たちに迫害された火星人たちの歴史に心を寄せる星が、彼女たちの能力は人類の退化の証であると主張して彼女を捕らえようとするペーブマンから逃げつつ、地球人と火星人の悲劇的な運命によって翻弄されるストーリーは、読者を引き込む魅力をもっています。ただ、エルグの正体が判明したあたりで、星を取り巻く基本的なテーマはすでに出そろっている感もあり、それ以降のストーリーがやや著者のコントロールのもとを離れてしまったような印象を受けてしまいました。

Posted byブクログ

2021/06/25

1978年s53「週刊少女コミック」連載。第11回ファン投票星雲賞コミック部門受賞。白い髪赤い瞳火星生まれ主人公の壮大な萩尾望都さまスペースオペラ物語。なかなかの難解さでしたが、これが当時の少女マンガに連載させていたことにビックリ。

Posted byブクログ

2021/01/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

連載当時衝撃が走る、当時SF少年だったアタクシは毎週少女コミックを買いむさぼるように読んでいた(キモ) 命をつなぐ事が何より重要な火星人 生命を生み出す火星の拠点を巡る宇宙規模からすれば小さくもある「族=火星人」の気持ちはキセキの勝利を得られるのか?(譲れないのだ) 郷愁・母性をテーマに描かれ、女性を美しく感じます 背景に人類の進化とそれをコントロールする「神」にも見まがう異星人(ゼスヌセル人)が無慈悲に管理する・・・その畏怖への気持ちを掻き立てるのは萩尾望都様の恐ろしい手腕 改めて、火星という環境で進化(ベーブマンに言わせると退化)により得た超能力、色素が薄れ光を捕えない目を補うように超能力が二世・三世と進むにつれ強くなる 一族の最強はテトラ(四世)だが、物語の主人公はペンタ(五世)、星・ペンタ・トゥパールはエルグにより故郷火星に誘われる 宇宙の法則を外れる超能力を畏れる異星人は調査員としてエルグを派遣していたのだが、巨大な精神能力を有する星は火星に恋い焦がれるものの子の星こそ異星人にとり全ての元凶として破壊してきたのだった (火星=赤色螢星=超次元における形の無い生命体=アミの巣くう赤い星) 火星は破壊される 火星人はプロキシマの方へ移ったらしい (どうやって?) そしてエルグも超能力者であるのだが、アミを畏れる異星人のもと能力を封印する角(ユニコーン)を壊し、古えのアミの巣くう星で何かを変える役目をもつようだ 一番古い星に精神を取り込まれた星はヨダカの体に無理やり胎児として入り込みこの世に出生(ジュニア・セイ)する・・・ヘクサ(六世)火星人は未来に何を見せてくれるのだろうか スターレッド、赤い風の吹く、星の生まれた遠いキャラバンはもうない

Posted byブクログ

2021/01/09

生涯初めてから二番目に読んだ本。母が自宅に所蔵していた。生涯初めて読んだ本である手塚治虫『アトムキャット』(秋田書店?)に、主人公の飼い猫が大昔主人に殉死させられた猫の怨霊を打ち倒す話があったが、この物語にもそれと同様に「人間のエゴ」が絡んでいる。地球人たちのエゴに対してエゴで応...

生涯初めてから二番目に読んだ本。母が自宅に所蔵していた。生涯初めて読んだ本である手塚治虫『アトムキャット』(秋田書店?)に、主人公の飼い猫が大昔主人に殉死させられた猫の怨霊を打ち倒す話があったが、この物語にもそれと同様に「人間のエゴ」が絡んでいる。地球人たちのエゴに対してエゴで応じる火星人たち。双方を血で血を洗う争いから解き放とうとする主人公だったが…。もし時雨沢恵一がこの物語を描いたなら、地球人も火星人も「同じ穴のむじな」つまり自分たちの都合しか頭になく、かつそれに自覚のない集団とするだろう。そしてもし、かの男装の旅人が登場するなら、主人公の少女を「無力な中立」つまり双方にとってのいい面の皮として見るだろう。結局、この作品も、時雨沢氏の作品同様「無自覚のエゴ」を描いているように思える。作者の意図は知らないが。

Posted byブクログ

2017/08/30

読み返すたびに圧倒される。思えば火星ものには惹かれてたくさん読んできた。『火星のプリンセス』から『火星の人』まで。多くの作品で描かれる「失われた火星」への郷愁が、故郷や子供時代を偲ぶ気持ちに重なるのかな。それでいうと、この作品はあまりにもそれに満ち満ちていて、つらいくらいだ。 と...

読み返すたびに圧倒される。思えば火星ものには惹かれてたくさん読んできた。『火星のプリンセス』から『火星の人』まで。多くの作品で描かれる「失われた火星」への郷愁が、故郷や子供時代を偲ぶ気持ちに重なるのかな。それでいうと、この作品はあまりにもそれに満ち満ちていて、つらいくらいだ。 ところで『レッド・マーズ』の続編はいつ出るねん。10年以上待っとるけど、ていうか、出るんかい。

Posted byブクログ