もう一人のマリオネット(文庫版)(4) の商品レビュー

さいとうちほ(著者)

2011/09/09

【４巻】二つの劇団による「ジャンヌ！」の合同公演を健は神の人格を抑えつけて画策する。そして芝居を成功させること・七生を手に入れることを宣言する。 七生もまた健に魅かれていく自分におびえていた。　更に判明する、生き残ったのは神だが彼が健を殺したらしいという真相。　舞台の上では演出のために点けられた炎が装置に燃え移り、七生が火刑台に取り残された。健は彼女を助け出した後、炎に９年前の火事の記憶を求め精神世界で神と向き合う…　　進行を急ぐためなのかジャンヌ・ダルクの掘り下げが甘いのが歯がゆい。「美女と野獣」より主人公に解釈のつけられる題材なのに、とこれは単なる好き嫌いか。涼木さんも出番がなくなっちゃってさびしい。　連載が打ち切られるほどつまらなくはないけど、七生も初めのころの勢いや女優としての非凡さがなくなってるし、健と神は真相が迷走して話が停滞しているように感じられた。〈おまけページ　さいとうちほの演劇体験〉　著者、高校演劇部時代のひとコマ。初舞台は『夕鶴』の悪役（男）。翌年、今年こそベルばらを…と同輩３人組で燃えていたら、部長が星新一のマイナー作品に決めてしまった。やる気なしの部員たちがろくに練習もしなかったため、本番で立ち往生してしまった。沈黙の１０分て客もつらかったろうなあ。　ある日の放課後、一年生に呼び出しをくらい「（不真面目も）あんまりですっ！」と責められたそのとき−主演女優イングリット「一生懸命やってるわよ！ひどいわっ！」＋大泣き。気勢をそがれて１年生退場。女優が泣きやむまで教室で青春するさいとーたちでした。