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「三島由紀夫」とはなにものだったのか の商品レビュー

4.1

25件のお客様レビュー

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2012/06/23

おもしろい論考です。難しいことを平明な文章で語らせたら橋本さんは本当に巧い。三島は全作品読んだわけではないのですが、幸い本書で取り上げられているいくつかの作品は既読で、何とかついて行けました。こうなると「豊饒の海」シリーズ読みたいですよね〜。三島の文体が装飾過剰なのは「それはそん...

おもしろい論考です。難しいことを平明な文章で語らせたら橋本さんは本当に巧い。三島は全作品読んだわけではないのですが、幸い本書で取り上げられているいくつかの作品は既読で、何とかついて行けました。こうなると「豊饒の海」シリーズ読みたいですよね〜。三島の文体が装飾過剰なのは「それはそんなもの」とアッサリ考えていて深く追求したことはなかったのですが、「真実を隠すために言葉を尽くさずにはいられなかった」とは。ここまで微分された考察を提示されると唸ってしまいます。余談ですが、カバーデザインもユーモアというかシャレがきいてて素敵です。「春の雪」は妻夫木くん主演で映画になってましたが、ほかの三作品は映画にして下さらないんですかね…行定監督。

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2013/01/16

橋本治が、三島由紀夫という異彩を放つ作家の依拠する論理(ロジック)の特異性を、各作品のテクストから丹念に読み込みながら解き解していきます。特筆すべきは、ほとんど他の文芸評論家の引用や孫引きもなく、ひたすら自分の言葉で 「三島由紀夫」論を展開している点です。作家論が成功しているか否...

橋本治が、三島由紀夫という異彩を放つ作家の依拠する論理(ロジック)の特異性を、各作品のテクストから丹念に読み込みながら解き解していきます。特筆すべきは、ほとんど他の文芸評論家の引用や孫引きもなく、ひたすら自分の言葉で 「三島由紀夫」論を展開している点です。作家論が成功しているか否かは読み手の判断に依るでしょうが、少なくとも原典を読みたくなるかどうかという意味では素晴らしい出来栄えの一冊です。

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2011/07/18

橋本治の「『三島由紀夫』とはなにものだったのか」(新潮社 2002年)を読んで(全体の20%しか読まなかったが)ホッとしたところである。 三島由紀夫は1925年に生まれ1970年に死んでいる。 私は彼の著作を殆ど読んでいない。彼は文学者としてスター作家であり常に時の人であった...

橋本治の「『三島由紀夫』とはなにものだったのか」(新潮社 2002年)を読んで(全体の20%しか読まなかったが)ホッとしたところである。 三島由紀夫は1925年に生まれ1970年に死んでいる。 私は彼の著作を殆ど読んでいない。彼は文学者としてスター作家であり常に時の人であった。ましてやあの死にざまである。多少の本読みであり1935年生まれの私が”読んでいない”のは、よほどの”読まない”意思を反映している。 しかしこれほどの大文学者の著作を読まないことについて、常に”それでいいのかな”、”かたくなな独りよがりではないのかな”の思いも無くはなかった。 今、ホッとして、敢えて三島を読まなかった私の感性も捨てたものではないと密かに自賛している。 橋本治のこの著作の内容をここで紹介することはしないが、彼も三島を読まなかったのだそうだ。理由は自分を文学者と思わなかったから。しかし物書きとしてこの本を書くにあたってはすごい読み込みをしている。「豊穣の海」だけでも3度も4度も。 そして「三島は日本がこのように変わっていくことを全く洞察していなかった。」と言っている。 ~~~~~~~~~~~~ 私が橋本治の「『三島由紀夫』とはなにものだったのか」を読んだのは「三島」への関心からではなく、ちょっと前に彼の「小林秀雄の恵み」を読んだからである。 この本のテーマは小林の「本居宣長」である。 私にとって「本居宣長」はいかにも気になる本であった。書棚にあって、過去何度か読みかけては途中で挫折する本であった。 「小林秀雄の恵み」が「本居宣長」を扱っていることを知って、これを読めば少しは判るかなと思ったのであった。 私に判ったのは「本居宣長」はクソ真面目人間小林秀雄の独りよがりの著作で、本物の本居宣長は桜偏愛の歌詠み人間であったことである。小林のおかげで古事記に却って勿体が付いてしまった。 橋本治は「小林秀雄の恵み」を書くにあたって「本居宣長」を10度も読んだのではないか。橋本が書くまで小林に噛み付く人間はいなかった。凄い物書きだ。 その橋本に「三島・・・」があるのを知って読んだのだった。 ~~~~~~~~~~~~ 今私は日本の世界的大作家であるM・Hを読まない。 いや、それでも2,3冊は読もうとして買ったことはあるのだが、どうしても読み進められないのである。どうしてか判らないが読めない。 望むらくは何年かたって、橋本治がM・Hについて解題してくれることである。そして”読めなくて当然だよ”と言ってもらいたい。

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2011/05/01

橋本治って頭いい! 難しいことをわかりやすく伝えるのって本当に頭のいい人、だと思う。 三島由紀夫という大変興味深い人について、橋本なりの評価をわかりやすく伝えてくれる。 そーよねー、とか私は違うなーとか、そう思いながら読めます。 が、三島すべてを読み込んであるわけではないの...

橋本治って頭いい! 難しいことをわかりやすく伝えるのって本当に頭のいい人、だと思う。 三島由紀夫という大変興味深い人について、橋本なりの評価をわかりやすく伝えてくれる。 そーよねー、とか私は違うなーとか、そう思いながら読めます。 が、三島すべてを読み込んであるわけではないので、きっと楽しさは半分なり、かもな。

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2010/10/11

三島由紀夫に対する橋本さんの批評に驚きました。私も三島由紀夫さんの作品をいくつか読んでいますが、あまり深く考えずに読んでいて不思議な物語だな程度しか認識していませんでした。同じ文章を読んでいるのにこの解釈の違い、なんか恥ずかしい気持ちがしました。

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2012/12/15

自分がこれまで読んだ三島論のなかで最も面白かった [目次] 第1章 『豊饒の海』論(二人の三島由紀夫―檜俊輔と南悠一;『金閣寺』の二人 ほか); 第2章 同性愛を書かない作家(松枝清顕の接吻;同性愛を書かない作家 ほか); 第3章 「女」という方法(三島由紀夫の「戦後」;囚われ...

自分がこれまで読んだ三島論のなかで最も面白かった [目次] 第1章 『豊饒の海』論(二人の三島由紀夫―檜俊輔と南悠一;『金閣寺』の二人 ほか); 第2章 同性愛を書かない作家(松枝清顕の接吻;同性愛を書かない作家 ほか); 第3章 「女」という方法(三島由紀夫の「戦後」;囚われの人 ほか); 終章 「男」という彷徨(不在の後;認識が「死ね」と言う ほか); 補遺 三島劇のヒロイン達(『喜びの琴』事件;杉村春子から水谷八重子へ ほか)

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2009/10/04

昨日、知人の名古屋今池、神無月書店で購入。前の日、他の書店で文庫で購入迷い、次の日。橋本治は『あのイラスト』以来 ニット編み。『生きる歓び』、『源氏物語』等、常にぶれず.逆にしばしば浮ついた気の自分のナビゲーションになります。

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2009/10/04

三度読み返して、そのたびにやるせなくなる評論です。著者は三島作品を深く読みこむことで三島由紀夫特有のロジックを把握し、そこから、「なぜ『三島由紀夫』は死んだか?」「『三島由紀夫』とはなぜそうしなければならない人物だったか?」という問いに答えを与えていきます。その過程は面白く、読み...

三度読み返して、そのたびにやるせなくなる評論です。著者は三島作品を深く読みこむことで三島由紀夫特有のロジックを把握し、そこから、「なぜ『三島由紀夫』は死んだか?」「『三島由紀夫』とはなぜそうしなければならない人物だったか?」という問いに答えを与えていきます。その過程は面白く、読み応えがあります。しかし、著者の読み取る三島のロジックは、ずいぶん悲しいものです。 「三島由紀夫」とは何者だったのか、の答えはしっかりと出されています。しかし読むときにはかなり体力を使いました。

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2009/10/04

「すごい」の一言。筆者の三島作品に対する思い入れと愛を感じたのは私だけでしょうか?ここまで深く作品を洞察して三島由紀夫の表現したかったことを詳細に読み取る(あくまで橋本氏の見解であり、真実かどうかはわかりませんが)ことができたのは橋本氏の中に、三島由紀夫に共感できる本質があったか...

「すごい」の一言。筆者の三島作品に対する思い入れと愛を感じたのは私だけでしょうか?ここまで深く作品を洞察して三島由紀夫の表現したかったことを詳細に読み取る(あくまで橋本氏の見解であり、真実かどうかはわかりませんが)ことができたのは橋本氏の中に、三島由紀夫に共感できる本質があったから、ではないかとまで邪推してしまうほどに深く深く掘り込んで解説してあります。 頭の良い人って、、、すごい。

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2009/10/04

なにぶんここまで分厚い評論を読んだことがなかったのでだいぶ時間を掛けた。が、それ相応に得たものは大きい。自分はあまり賢くないので三島の言いたいことをすべて曖昧模糊にとっていたが、筆者のおかげで的確な言葉を与えられ、三島文学における理解がさらに深まった。

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