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黄色い目の魚 の商品レビュー

4.1

394件のお客様レビュー

  1. 5つ

    141

  2. 4つ

    131

  3. 3つ

    81

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2022/08/02

感想 鋭い感性を持ち他人と対立してしまう2人。みずみずしさだけでなく、不安定な心が漏れ出ることもある。美しいだけでないありのままの若さを描く。

Posted byブクログ

2022/07/08

叔父の通は、漫画家でイラストレーター。その通の世話をしに行くとともに、絵を描いているのを見ているのが好きなみのりは、部屋に入り浸る。みのりは、中学の同級生と反りが合わず、いつもぶつかっていたが、一人だけ自分のことを頼ってくれる友達美和子がいた。その友達のことをある日「好きじゃない...

叔父の通は、漫画家でイラストレーター。その通の世話をしに行くとともに、絵を描いているのを見ているのが好きなみのりは、部屋に入り浸る。みのりは、中学の同級生と反りが合わず、いつもぶつかっていたが、一人だけ自分のことを頼ってくれる友達美和子がいた。その友達のことをある日「好きじゃない。嫌い」と言ってしまい、翌日から美和子は学校に来なくなってしまった。 画家で実の父の「テッセイ」の家に行く少年。絵とその魅力に囚われてしまった、少年と少女のオムニバス形式の短編集である。短編集とは言うものの、あれ?同じ人じゃない?ときがつくまでしばらくかかる。ストーリーは実は一貫しており、最後まで一つの話だ。 いやあ、良かった。普段ならあんまり好きではないと言ってしまいそうな作品だが、ストーリーの絶妙なスピード感と、絵に惹かれる2人の高校生の心理描写のみずみずしさが、独特のグルーヴを作っているように感じる。 もともとは2作目にある表題作のみだったとのことだし、1本目のテッセイの話に関しても、それぞれ独立した短編としても出来は良い。 後半になってくると、それぞれのストーリーをつないでいかないといけなくなり、必要以上にサッカーにこだわったり、高校生が酒を飲んだりという話が多くなって、少々もたついた印象は受けた。また、終盤には予想通りの問題発生であるが、それもウヤムヤのまま終わってしまった。ウヤムヤの純文学にするでもないところは好感が持てる。 読者の心理状態によって、単に退屈な高校生の日常と感じるか、フレッシュな感覚を覚えるかは異なってくる作品だろう。一度読んで言うほど面白くなかったなと思っても、別の日には違った印象を持ちそうな一冊だ。

Posted byブクログ

2022/07/04

再読、相変わらず全く覚えていませんでした。。。 が、ちょっとキツい、この内容は。 何となく近頃よく見かける青春もの(っていうのかな?)の映画みたいで、読むに堪えないところもなくはなく。 そもそも絵とサッカーが全然リンクしてこないし、アルコールをがばがば飲ませる描写も奇妙。別にモラ...

再読、相変わらず全く覚えていませんでした。。。 が、ちょっとキツい、この内容は。 何となく近頃よく見かける青春もの(っていうのかな?)の映画みたいで、読むに堪えないところもなくはなく。 そもそも絵とサッカーが全然リンクしてこないし、アルコールをがばがば飲ませる描写も奇妙。別にモラルに反していても当方、全然構わんのですが、全部が不自然なんですよね、本作。 すいません、戯言ばかりで。お年寄りは退場すべきということですね。

Posted byブクログ

2022/09/02
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

これは読んでいてちょっと痛かった、心がひりひりするほど瑞々しい16歳の物語である。 『黄色い目の魚』 佐藤多佳子 (新潮文庫) 佐藤多佳子さんはとても好きな作家さんだ。 文章がとてもいい。 波長が合う気がする。 動きのないシーンの心の動きは、書かれていないことまで見えるよう。 登場人物たちの心の中身が風景のように鮮やかに見えて、気持ちの変化が、色を変え温度を変え、まるで季節が移ろうように描き出される。 一つ一つの言葉が情景にはまって、それがとても心地いい。 16歳の木島悟と村田みのりが主人公である。 一章目「りんごの顔」は、赤ん坊のときに一度会ったきりの父親“テッセイ”に、10歳の悟が会いに行く話。 二章目「黄色い目の魚」は、叔父の“通ちゃん”にしか心を開かない中学生の頃のみのりの話。 そして三章目では、二人が高校生になり、クラスメイトとして出会う。 二人に影響を与えている大人、テッセイと通ちゃん。 彼らはどちらも“絵を描く人”だ。 しかし、世間一般の常識から少しはずれた大人でもある。 テッセイはもう、この世にいない人だ。 悟と会った次の年に死んでしまう。 なのに、この存在感はなんだろう。 佐藤多佳子さんの小説には、必ずハッと胸を突かれる心に焼き付く光景がある。 例えば、『しゃべれどもしゃべれども』の三つ葉と十河がたたずむ冬木立、『五月の道しるべ』の摘んでしまった禁忌のつつじがどす黒く積もる自転車のカゴ、『神様がくれた指』の夜中に目が覚めた辻が昼間の香水の匂いを感じるあの三沢屋敷のシーン。 そして今回、あまりに強烈なイメージで、読み終えた今でも頭を離れないのは“テッセイの部屋”だった。 夜、電気をつけた瞬間、目に飛び込んできたテッセイの部屋の光景。 壁は隙間もないくらいびっしりと油絵で埋め尽くされている。 床もソファーの上もテーブルの上も本棚の上も冷蔵庫の上も。 絵に押しつぶされそうな異様な空間。 そうやって私自身がテッセイに影響を受けながら物語を読むせいだろうか、この“感じ”がいつもどこかにあって、“絵を描く人”が対象物を見る心の目が澄んでいればいるほど自身に不幸をもたらしてしまうような怖さや、その暗い部分のちょうど裏側にある人を惹きつけてやまない美しさや、何かものすごくそういう言葉にできない不安定な空気を、この物語は纏っていると思う。 みのりを描きたいと思う悟と、絵を描く悟に惹かれるみのり。 描き、描かれることで、二人は心を通わせる。 恋とも少し違う、二人だけにしか通じない時間を共有し、友達のこと、サッカーのこと、周りの大人たちのこと、いろんなことに一つ一つ丁寧につまづきながら、彼らは成長していくのだ。 16歳の生々しい語りで物語が進んでいるにもかかわらず、湘南の海辺の町が舞台だからだろうか、全体の印象は、さらっとしていて涼やかだ。 「秋の夕暮れは、もう、どこもかしこも青いインクみたいに冷たくひたひたと静かで、バスが行っちまってから、俺はしばらくその場を動かずに、遠ざかるエンジン音とかすかな海鳴りに耳を澄ませていた。」 いいねぇ…… 淡い絵の具で優しく描かれた水彩画みたい。 絵を描ける人ってかっこいいな。 通ちゃんもテッセイも。 悟も。 テッセイはずっと悪者にされていたけど、最後の方はちょっといい感じになっていてよかった。 だってテッセイのりんごのデッサンからすべては始まったんだものね。 作者はあとがきで、今回オールダーたちが寡黙になってしまったので、いつか彼らのことを書きたいと言っていた。 読みたいですね。楽しみだな。 “子供”に相対する形の“大人”像ではなく、それぞれの歴史や思いをちゃんと背負って生きている素敵な大人たち。 子供の話を書くときに、いつもきちんと大人も大事に書いてくれる、佐藤多佳子さんはそんな作家さんなのだ。

Posted byブクログ

2022/05/31
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

優しい目だけど、どこか痛むような目で笑う似鳥ちゃんに憧れの気持ちがある、!そこそこ好きだったかもしれないこの話 。 「本当に大事なことを口に出したりする時は、いつだって苦しい。」

Posted byブクログ

2022/04/10

絵を描くことが好きな木島と絵を観ることが好きな村田みのり。家族、部活、将来。それぞれが色々な問題を抱えながら生きている。そして、絵を通して繋がる二人。 独特の一人称による文体が最初は慣れなくて読み進めるのに骨を折ったが、二人が係り合うところから一気に話は加速。 若者の瑞々しさ、痛...

絵を描くことが好きな木島と絵を観ることが好きな村田みのり。家族、部活、将来。それぞれが色々な問題を抱えながら生きている。そして、絵を通して繋がる二人。 独特の一人称による文体が最初は慣れなくて読み進めるのに骨を折ったが、二人が係り合うところから一気に話は加速。 若者の瑞々しさ、痛みが表現されている。

Posted byブクログ

2022/04/01
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ぐいぐい読めました。登場人物ひとりひとりが個性的でとても良かった。木島くんかっこよ...でも木島くんと似鳥ちゃんがアレしたのはヤダツタナ。それも若さか。木島くんとみのりちゃんには末長く幸せでいてほしい。

Posted byブクログ

2022/03/20

序盤、かなり特殊な主人公2人からの視点で語られることもあり、少し読みづらかった。 独特な表現・着眼点で面白かったのだが。 しかし、その2人が交差してくる中盤からは、面白さが大爆発。 止まりませんでした。 久しぶりに没頭できる小説に出会えた気がするし、心に残る恋愛小説だったなと...

序盤、かなり特殊な主人公2人からの視点で語られることもあり、少し読みづらかった。 独特な表現・着眼点で面白かったのだが。 しかし、その2人が交差してくる中盤からは、面白さが大爆発。 止まりませんでした。 久しぶりに没頭できる小説に出会えた気がするし、心に残る恋愛小説だったなと思う。 これを中高生の頃に読んでいたら、もっと衝撃的な出会いとして、心に残っていただろう…

Posted byブクログ

2022/01/01

みのりも悟も、似てはいないんだけど、まっすぐな心と眼を持っている。まわりから見たらちょっと風変わりな2人かもしれないけど、2人とも、自分の大切にしたいと思うものを大切にしたまま大人になって欲しい。 よかった

Posted byブクログ

2022/01/04

キライなものばかりだったみのりの気持ちも、マジになることに臆病だった木島の気持ちもすごくわかるから、二人のことがとても大好きになった。 大人になりきれない二人が自分の中の「好き」な気持ちに前向きになれた終わり方がとても良い。 誰かを大切に想う気持ちがとても丁寧に描かれていて、温か...

キライなものばかりだったみのりの気持ちも、マジになることに臆病だった木島の気持ちもすごくわかるから、二人のことがとても大好きになった。 大人になりきれない二人が自分の中の「好き」な気持ちに前向きになれた終わり方がとても良い。 誰かを大切に想う気持ちがとても丁寧に描かれていて、温かい気持ちになれた。

Posted byブクログ