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半島を出よ(下) の商品レビュー

4.2

126件のお客様レビュー

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  3. 3つ

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2009/10/04

和書全店週間ベスト6位(5月16日〜5月22日) 報道ステーションでも取り上げられた、今話題の本。

Posted byブクログ

2009/10/04

内容:北朝鮮の反乱軍が福岡を占領する話。 感想:まず村上龍が言っているように、この小説は北朝鮮側の語り部が必要だったと思う。でないと面白くない小説になった気がする。しかし同時に「それは無理だと思った」そして「書き終わってできたかどうかはわからない」と彼は言っている。結論から言うと...

内容:北朝鮮の反乱軍が福岡を占領する話。 感想:まず村上龍が言っているように、この小説は北朝鮮側の語り部が必要だったと思う。でないと面白くない小説になった気がする。しかし同時に「それは無理だと思った」そして「書き終わってできたかどうかはわからない」と彼は言っている。結論から言うと本当に無理だった。半分ぐらいしかリアルに感じられなかった。北朝鮮人への描写に今ひとつのめり込めない。日本人の延長線上にいてるんだよなあ・・・。取材という努力で最大限想像しているもの、ある種の客観性の強いものと受け取ってもいいけど、そうなると今度は他の部分(たとえば少年たちのシーン)と合わない。結局、北朝鮮コマンドを語り部にしたことで、地の文が客観と主観のバランスを失って変な感じになっちゃってる。でも面白いと言えば面白い。日本政府の描写とかはかなり痛快で痛烈な皮肉だと思うし。本当に面白い。繰り返しになるけど、北朝鮮人を語り部にしたことで物語性が痩せるかなくなるかの二択になってしまったんだと思う。ネタの面白さはいいけど、『五分後の世界』の圧倒的な構築力と息づまるような描写力を知っている多くの読者にとっては、ちょっと満たされなかったのでは?でも、読む価値はある。どうしようもない現代小説を思えば、もう断然面白い。あとどうでもいいけど、なんていうか宗田理のぼくらシリーズを思い出した。

Posted byブクログ

2009/10/04

この作品は主に上巻で軽く描いた社会不適豪奢の少年たちを中心に描かれる。彼らが北朝鮮の占領軍を“敵”と認識し、自らの破戒衝動をぶつける相手として選び実際に行動を起こしていく様を、北朝鮮側や福岡市民の視点を挟みつつ断続的に描く。そこには福岡を救うというようなヒロイックな感情は微塵も無...

この作品は主に上巻で軽く描いた社会不適豪奢の少年たちを中心に描かれる。彼らが北朝鮮の占領軍を“敵”と認識し、自らの破戒衝動をぶつける相手として選び実際に行動を起こしていく様を、北朝鮮側や福岡市民の視点を挟みつつ断続的に描く。そこには福岡を救うというようなヒロイックな感情は微塵も無く、仲間たちで一つのイベントを成就させるというような興奮とカタルシスを求めるが故の行動というわけでもない。感情が未発達でコミュニケーション不全の少年たちが黙々とテロを行動に移していく様が何の理由付けも無く描かれるのみだ。その代わり、彼らが不幸な出自を持ち生き延びる為の攻撃性を身につけつつも社会から弾かれていたという部分は執拗にプッシュされる。その為、読み終えてみると「国家の危機を社会的弱者の若者が救う」という、若い読者にとっては溜飲が下がりっぱなしのフェアリーテイルになってしまっている

Posted byブクログ

2009/10/04

上巻を読み終えそうなんで、慌てて近所の小さな本屋に下巻を買いに行った。漫画とエロ本しか充実していない本屋なんで大丈夫だろうかと思ったが、ダヴィンチコードと並んでこの本も上下巻共に平積み。やはり話題の本なんだな。  下巻に入って加速度が増します。福岡の人と朝鮮人の交流がかすかに...

上巻を読み終えそうなんで、慌てて近所の小さな本屋に下巻を買いに行った。漫画とエロ本しか充実していない本屋なんで大丈夫だろうかと思ったが、ダヴィンチコードと並んでこの本も上下巻共に平積み。やはり話題の本なんだな。  下巻に入って加速度が増します。福岡の人と朝鮮人の交流がかすかに出てきて、その結果朝鮮人が変わる事を司令官達は恐れていきます。  この本は、久しぶりに「早く結末を読みたい」という思いと「終わらないでほしい、この物語世界にずっと浸っていたい」という思いの共存に引き裂かれながら読んだ本でした。  あまりにも現実感がありすぎて、本を読んでいない間も、遠い福岡のことを心配していたりして、逆にテレビのニュースで普通に福岡で車が民家に飛び込んだというニュースに何か違和感を感じたりしていました。  この本、構成が何かに似ているとおもったのですが、昔読んだラリーニーブンとジェリーパーネルの「降伏の儀式」に似ていると感じました。  「降伏の儀式」は、象に似た異星人に地球が侵略されて、地球政府(というか主に米国ですが)が何も対応策が討てなくて、そうするとまったく期待されていなかった外れ者達が大活躍して侵略に勝ちます。(降伏の儀式では、その外れ物がSF作家達というところが秀逸なのですが) 半島を出よでも、まさかという終わり方をします。こういう終わり方は好きです。でも、この物語世界がもう少し続いたらどうなったか、そういうストーリーにも少し興味があります。 「見ろ、カネシロは部屋と廊下の死体と血の海を示した。これがおれがずっと夢に見てきた世界なんだ。他にはもうどこに行ってもこんな世界はない。やっと見つけたんだ。だからおれはここに残る。自分でここを始末する。おれの世界だからおれが自分で壊すんだ」 帯にも書いてあるこの台詞を読んだとき、涙が出てきました。

Posted byブクログ

2009/10/04

イシハラグループ大活躍で文句なしの☆5つ!個々のキャラクターがとても魅力的。彼等のような間に流れるものを本当は友情と言うけれど、そこに全く重きを置かないところが潔く、心地よい。 世良木がとってもかっこいい!

Posted byブクログ

2020/07/15

国民もメディアも主体的な外交という概念そのものが希薄だった。黒田も、北朝鮮か中国が日本を攻撃したら自動的に米軍が反撃してくれるのだろうと何となくそう思い込んでいた。日本の代わりに米軍が戦ってくれるような錯覚があった。考えてみれば、そんなお人よしの国があるわけがない。(p.184)...

国民もメディアも主体的な外交という概念そのものが希薄だった。黒田も、北朝鮮か中国が日本を攻撃したら自動的に米軍が反撃してくれるのだろうと何となくそう思い込んでいた。日本の代わりに米軍が戦ってくれるような錯覚があった。考えてみれば、そんなお人よしの国があるわけがない。(p.184) 四人は、酒ではなくウーロン茶やポカリスエットを飲みながら、何も話さずにただソファに座っている。煙草を吸うわけでもないし、音楽を聞くわけでもないし、テレビや雑誌を見ているわけでもない。世間の常識からすると、決して楽しそうに見えない。だがこれもタテノという人に教えてもらったのだが、楽しいというのは仲間と大騒ぎしたり冗談を言い合ったりすることではないらしい。大切だと思える人と、ただ時間をともに過ごすことなのだそうだ。(p.493)

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