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少年H(上巻) の商品レビュー

3.8

109件のお客様レビュー

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    33

  2. 4つ

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  3. 3つ

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2020/03/25

太平洋戦争のころに神戸で少年時代を送った著者の自伝的小説です。 洋服屋の父、クリスチャンの母、幼い妹、さらに学校の友人たちや近所の人びととの心温まる交流を中心に、軍国主義教育がしだいに強化されていくなかでも懐疑精神をうしなうことのなかった少年の姿をえがいています。 ところで、...

太平洋戦争のころに神戸で少年時代を送った著者の自伝的小説です。 洋服屋の父、クリスチャンの母、幼い妹、さらに学校の友人たちや近所の人びととの心温まる交流を中心に、軍国主義教育がしだいに強化されていくなかでも懐疑精神をうしなうことのなかった少年の姿をえがいています。 ところで、本書の刊行後に、史実における誤りが含まれていることが、山中恒・山中典子『間違いだらけの少年H』(辺境社)によって明らかにされています。本書のストーリーが感動を呼ぶものであるだけに、アジテーションの書という批判を招く結果になったことは非常に残念だといわざるをえません。そういったこともあって、本書はイデオロギー的な文脈のなかでさまざまな評価を受けることになってしまったのですが、そうした事情を度外視するならば、興味深く読むことができる作品だと思います。とりわけ、主人公である少年Hの疑問に耳を傾けながら、自分で考える道筋をさりげなく指し示すHの父が印象的でした。

Posted byブクログ

2019/07/14

学校の課題の関係で読み始めた本ですが、読んでみたら、戦争という新しい分野の本も面白いと感じました。今の世の中に生まれてよかったと思います。

Posted byブクログ

2019/01/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

読みたいと思って早8年。大学の課題をきっかけに読むことを決意した。図書館で借りたが、表紙はボロボロ、めくるたびにミシミシと音がした。虫などが出てくるのでは?と躊躇したが、そんなことはすぐに忘れてしまうくらい面白い本だった。 とにかく主人公のHが魅力的であった。当時は珍しかった洋服屋でキリスト教の家庭だった。だから戦争が深まっていった時、外国人を差別する周りとのギャップに苦しんだり、アーメンと罵られたりと生きづらくなってしまった。しかし、彼はとても生き生きとしていた。学校をこっそり抜けて友達と映画をみたり、広島旅行で大好きな電車をとことん楽しんだり、将校に堂々と発言したり…利発さと行動力、洞察力には感服した。 他の人とは違った境遇で育ってきたことから客観的な視点で当時の日本を見ることができたのだろう。 現在の子供達と同じような生活を送っていたが、ところどころで戦争を感じさせるようなシーンがあった。みんな不満を漏らしながらも徐々に適応していく。戦争が 廊下の奥に 立ってゐた という川柳があるが、まさにその通りだと感じた。少し冷めた目で戦争と関わっていたHも日本が勝ってお菓子がもらえるなどすると、戦争で勝つのもいいなあと思ったり、侮辱されて咄嗟に外国人を差別する発言をしてしまったり、流されざるを得なかった様子が見て取れた。 戦争に対する記述では思っているイメージと違っているところもあった。例えば、物資について。太平洋戦争が始まってしばらくしてから物資が苦しくなったのだと思っていたが、日中戦争時から二宮金次郎像を撤去したり、贅沢品が手に入らなくなったりしていたそうだ。 他にも、中学校の仕組み等は知らないことばかりだった。まず入試。受験をする人が現在より随分少ないものの、居残りをして勉強をすることが義務になっていたりと、受験戦争は昔からあったことに驚いた。 部活動でも戦争の訓練に役立ちそうな部活動がたくさんあり、当時の生活が戦争へと集約されていっている様子が感じられた。 時々当時の価値観ではなく今の作者の価値観で語られているところがあり、現在は不謹慎だと思われることも当時は当然と思っていたのだろうとわかる。 また、時に言い訳がましい表現があり、人間の思想というのはやはり環境に左右されやすいのかなと思った。 戦争時のマインドコントロールなどに興味がでた。「自由からの逃走」も現在読みかけであるが、早く読み進めようと思った。 戦争の日常を描いているという点で「この世界の片隅に」と似ているが、主人公が男性か女性かという点で戦争に対する我がごと意識などが違っているのが面白かった。また、Hは他の人とは違う視点を持っていたが、「この世界の片隅に」のすずさんはあまり持っていない。そこからも戦争に対する引っかかりの具合が違うように感じた。下巻が楽しみである。

Posted byブクログ

2016/11/25

自由に遊んでいた少年時代から、徐々に戦争が近づいてくる 当時の生活の様子とか、少しずつ近づいてくる戦争の足音とか感じられる

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2016/11/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

少年Hの好奇心旺盛な所にドキドキしたり H少年のお母さんに対する思いとか読んでて一緒にイラついたよ(笑) H少年は頭の切れる賢い子だったんだ~ってでも一言多いのよね まぁ素直とも言うが・・・ 下巻の後半の方はH少年の苦しみや苛立ちが凄く伝わる。 下巻はほぼ戦争の話だけど子供の視点だからか全体的に暗くなりすぎずに読める。 が、やはり戦争は怖いと改めて思った。

Posted byブクログ

2015/09/28

Hの育った環境とはあまりにも異なる為共感は出来ないが、Hの親父がマジかっこいいことだけは認める。戦前戦中にこんなリベラルな思想を維持するのは相当大変だったろう。余談だが、妹尾河童さんはよくこんなに昔の事を覚えてるなと感心した。

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2015/09/05

これ、自伝小説? 筆者の子供のころのエピソードがこれでもかという形で語られる小説?エッセー? ほとんどの漢字にルビがふられていて、読みやすいような読みにくいような本になっています(笑) さて、上巻では戦前と戦中のエピソードが語られています。 戦前の人々の暮らしや戦争が始まって...

これ、自伝小説? 筆者の子供のころのエピソードがこれでもかという形で語られる小説?エッセー? ほとんどの漢字にルビがふられていて、読みやすいような読みにくいような本になっています(笑) さて、上巻では戦前と戦中のエピソードが語られています。 戦前の人々の暮らしや戦争が始まってからの様子が赤裸々に語られると同時に、主人公Hの好奇心旺盛な思考、行動が描かれています。 しかし、何よりも驚きは少年Hではなく、その父親。父親の語るメッセージは、あまりに冷静で的を射ています。こんな父親はいないでしょう!! ということで、感動するような物語ではなく、少年Hが感じたこと、経験したことを生き生きとと語る小説でした。 どちらかというと苦手...

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2014/12/24

その時代の風景だけでなく匂いや空気まで感じられる作品。 好きな俳優さんが出演していた映画の原作だったので遅ばせながら読みました。 舞台が神戸と私が知っている土地であるのも大きいが知っている記憶のようにリアルに感じられる文章でした。 下巻をまだ読んでいないので少年Hの日常にじわり...

その時代の風景だけでなく匂いや空気まで感じられる作品。 好きな俳優さんが出演していた映画の原作だったので遅ばせながら読みました。 舞台が神戸と私が知っている土地であるのも大きいが知っている記憶のようにリアルに感じられる文章でした。 下巻をまだ読んでいないので少年Hの日常にじわりと忍び寄る戦争がどのように描かれるか気になります。

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2014/08/16

大学時代(10年くらい前)に一度読んだ本。 とてもおもしろかった、という感想だけ覚えていて、古本屋に売っていたので再度購入。 好奇心旺盛な肇少年。大人がたじたじになるくらいの、なんでなんで攻撃は、大人になっても忘れてはいけない感覚だと、改めて学んだ。 知恵がある人が勝つ。 ...

大学時代(10年くらい前)に一度読んだ本。 とてもおもしろかった、という感想だけ覚えていて、古本屋に売っていたので再度購入。 好奇心旺盛な肇少年。大人がたじたじになるくらいの、なんでなんで攻撃は、大人になっても忘れてはいけない感覚だと、改めて学んだ。 知恵がある人が勝つ。 小学生って、大人が思っているより大人びているんだよな、って思い出させてくれる本。 お父さんの包み込むような優しさにもキュン。映画化の後なのでどうしても水谷豊を想像してしまう。

Posted byブクログ

2014/06/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

少年Hの心の動きがすごく細かく詳細に描かれ、Hに共感しながら、あの時代を過ごすことが出来ます。恐ろしい時代。 「戦争はね、ある日突然くるもんじゃない。小石がパラパラと落ちてきたりするていど。でも実はそれが、戦争が始まる前兆だったことを、後になってから知ることになるの」という河童さんのことばに寒気を覚えます。 Hが感じた「なんかおかしい」ということに、私も気づけるだろうかとはらはらします。今後、起きないとは言い切れない戦争。 奇しくも沖縄戦終結69年の今日、読み終わりました。沖縄では4人に1人が亡くなったというとんでもない戦争。平和は作っていかねばならぬものと肝に銘じます。

Posted byブクログ