実践の倫理 の商品レビュー
初めて講義で使ってみたが、翻訳の問題を抜きにしても難しいんじゃないかと思う。動物の利益や中絶、安楽死の問題など、トピックごとの章立ては一見とっつきやすいが、作為や不作為、二重結果、動機と帰結の問題など重要な議論が通りすがりに紹介されるため、どの議論が倫理学的に重要なのかがわかりに...
初めて講義で使ってみたが、翻訳の問題を抜きにしても難しいんじゃないかと思う。動物の利益や中絶、安楽死の問題など、トピックごとの章立ては一見とっつきやすいが、作為や不作為、二重結果、動機と帰結の問題など重要な議論が通りすがりに紹介されるため、どの議論が倫理学的に重要なのかがわかりにくい。 とはいえ、利益の平等な配慮についてのシンガーの見解が理解できれば、動物の問題、中絶の問題、安楽死の問題などを一貫した立場で議論していることがわかり、すごい本であることは間違いない。第三版の翻訳では誤訳(かなり正確だが、やはり少し残っている)や誤字が直ることを期待している。
Posted by
http://lib.s.kaiyodai.ac.jp/opac/opac_details.cgi?amode=11&bibid=TB10075779
Posted by
[ 内容 ] 倫理や道徳を人種上の少数派の処遇、女性に対する平等、食糧や研究のための動物の使用、自然環境の保全などの実践問題に応用し、「公平主義」に基づいた理論を展開。 原著第2版を翻訳した91年刊の新版。 [ 目次 ] 倫理学について 平等とその意味するもの 動物に平等を 殺...
[ 内容 ] 倫理や道徳を人種上の少数派の処遇、女性に対する平等、食糧や研究のための動物の使用、自然環境の保全などの実践問題に応用し、「公平主義」に基づいた理論を展開。 原著第2版を翻訳した91年刊の新版。 [ 目次 ] 倫理学について 平等とその意味するもの 動物に平等を 殺すことのどこが不正なのか 生命を奪う(動物;胚と胎児;人) 富める者と貧しい者 内部の者と外部の者 環境 目的と手段 なぜ道徳的に行為するのか [ 問題提起 ] [ 結論 ] [ コメント ] [ 読了した日 ]
Posted by
シンガーはオーストリア系ユダヤ人亡命者の子供で、祖父母のうち3人がナチの強制収容所で死んでいる。 ドイツ人は今もなお、自分たちの過去へ対処すべく苦闘しているし、ドイツの過去は理性的理解をほとんど拒むものである。しかし安楽死をめぐるドイツでの議論のいくつかの局面では、ナチズムに対す...
シンガーはオーストリア系ユダヤ人亡命者の子供で、祖父母のうち3人がナチの強制収容所で死んでいる。 ドイツ人は今もなお、自分たちの過去へ対処すべく苦闘しているし、ドイツの過去は理性的理解をほとんど拒むものである。しかし安楽死をめぐるドイツでの議論のいくつかの局面では、ナチズムに対する常識的反対の域を超えて、それ自体がナチズムを可能にしたメンタリティそのものではないかと思えるようなある種の狂信的な響きがあった ナチスが優生学を実施したためにドイツでは遺伝工学になんらかの仕方で関係するものはすべて、ナチスの連想によって汚染されている。
Posted by
- 1