天授の子 の商品レビュー
幼くして家族を亡くし…
幼くして家族を亡くした川端康成が従兄の子供を養女に迎える話などを収録したエッセイ集。
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幼少の頃、両親と祖父…
幼少の頃、両親と祖父母を亡くした孤独な主人公の養女民子への愛情をえがいている。
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作者が生前に単行本収録を見送った作品を、死後数年後にまとめた作品集。 当時の読者にとっては垂涎の幻の作品たちだったのだろう。 未収録ってことは失敗作なのかといえば、そんなことは全然ない。 むしろ未完であることや、作者の身内を慮ってだろう。 だが川端にとって「小説の完結」って概念がそもそも怪しいし、慮るならそもそもなんで書いたの。 ■故園(未完) 1943年連載開始。40代で養女を迎えた顛末を記す。 《私が門口をあけるなり、えらい足音で駆け出して来た子供は怒って顔を真っ赤にして「おそいなあッ」と叫ぶと、両手の握りこぶしを肩まで振り上げて、私を殴るように抱きついた。》 12歳である。 実際の事情はいろいろあるだろうけれど、若い娘の生命を愉しみたいという欲望がなかったとは言えまい。 「古都」の息子の嫁という例もあるし。 で、同時に興味深いのは、養女の境遇に思いを巡らすうちに、自分自身の過去の回想にもなり、全体として「私的記憶論」のようになっていること。 些末な記述だが、「作中人物の私をいやな人間に書」くんだとか。 結構核心的な創作論だと思う。 ■東海道(未完) ※1943年「満州日日新聞」に連載開始。 ちょっとハードルが高そうで未読。 ■感傷の塔 戦後の作。 戦争中文通をしていた複数の女性読者への手紙、というてい。 これは大変美しい作品だと思う。 ■天授の子 「故園」の6年後。 養女・民子の母・時子の危篤に、まずは自分が、続いて妻と民子が来る。 冒頭、語り手・定家(さだいえ)はペン・クラブ会長として広島行き。 惨禍に背中を押される思いがしたと、結構スレスレなことを思いつつ、時子の大阪へ。 ここ実は定家が幼いことに住んでいたあたりなので、自然と自分の少年期も思い出される。 で、民子は6年間実母と交流が薄かったという件。 同時に妻の流産続きの件。 結構入り組んでいる上に散漫な話なのだが、面白い作品だと思った。 てか大いに自分(の身内)を切り売りしてんなー。 ◇解説 佐伯彰一 ◇覚書 川端香男里(養女政子(=民子)の夫) ◇年譜
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#読了 東海道 川端康成 (「天授の子」所収) #英語 では Tokaido (The Way East) by Yasunari Kawabata 東海道をめぐる古典文学の話。未完に終わる。実朝と義尚について、川端の筆で読みたかった。
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この小説は、表題の「天授の子」のほかに「故園」「東海道」「感傷の塔」が収録されています。 「故園」は、著者の少年時代の回顧録。「東海道」は、京と地方との行き来する有名人を著者なりの解釈で語っています。「感傷の塔」は人間の時間を扱い。「天授の子」は養女の民子と戦後の作家業界の事が書かれています。
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