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順列都市(下) の商品レビュー

3.8

27件のお客様レビュー

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2015/04/08

 下巻の展開は、上巻を読み終えた時点での想定とは大きく異なるもので、これはかなりの衝撃だった。マリアとダラムが物語の主軸を担う点は上巻同様に変わらないが、その他の登場人物の物語はそれと交わることなく、並行して進んでいく。そしてより大きな問題が順列都市に出現し、その根本を揺るがす大...

 下巻の展開は、上巻を読み終えた時点での想定とは大きく異なるもので、これはかなりの衝撃だった。マリアとダラムが物語の主軸を担う点は上巻同様に変わらないが、その他の登場人物の物語はそれと交わることなく、並行して進んでいく。そしてより大きな問題が順列都市に出現し、その根本を揺るがす大転換がもたらされる。この意外性こそ、この小説が他の小説とは一線を画す点なのだろう。  認識により世界が変革されるという観念が、本書終盤の鍵となる。悪貨は良貨を駆逐するとは言い過ぎかもしれないが、真実もまた相対的なのだという主張が見え隠れする。これを読んで、以前に聞いた次の話を思い出した。それは経済活動に関する新しいモデルが提唱されると、経済全体がそのモデルに従い始めるという現象があるという話だ。現実は摩訶不思議である。  解説を読み、冒頭の詩がアナグラムとなっていることに気付かされた。曰く、アナグラムこそ塵理論の本質であり、この『順列都市』という小説もまた、塵理論の実践なのだと。世界と認識との関係は、上巻の感想でも述べた形式と内容との関係に当たるだろう。だとすれば、塵理論の言わんとすることは少し理解出来たのかもしれない。

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2015/03/02

下巻。 一気にストーリーが進み、次々と新しい展開が待っている。 SFではあるが、終盤はパニックものの映画を見ているような怒濤の展開に圧倒された。

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2015/01/29

上巻は状況説明や登場人物の紹介に潤沢なページを費やしていましたが,下巻はそれらを踏まえてストーリーを展開していきます。 もう一つの世界に自分を置くような感じで,世界観に酔いしれます。 そこそこ難しいSFなので読みにくさは感じますが,SF慣れしたころにまた読みたい作品でした。 「塵...

上巻は状況説明や登場人物の紹介に潤沢なページを費やしていましたが,下巻はそれらを踏まえてストーリーを展開していきます。 もう一つの世界に自分を置くような感じで,世界観に酔いしれます。 そこそこ難しいSFなので読みにくさは感じますが,SF慣れしたころにまた読みたい作品でした。 「塵理論」についてあやふやな状態で読み進めると辛いので,難しいと感じたらぐぐって解説を見ることをお勧めしますよ。

Posted byブクログ

2014/07/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

上下巻あるうちの「下巻」。こちらに入ると俄然話が進んで一気に面白くなる・・・のだが、最後の半分は「順列都市」内の話になって、いきなり数千年ほど時間がたったりしてしまい、そこにいくともうSFと言うよりはファンタジーになってしまう。 最初読んだ時にはエリュシオンと塵理論の話がさっぱりわからず(というか最初からわかる人は皆無だろう・・・)解説しているサイトを色々読んで、二回目をようやく理解。わからなかったのは、エリュシオンを動かしているハードウェアを停止しているのに「なんで数千年もエリュシオンは動き続けるのか?」ということ。。 で、これを理解する・・というか解釈するためには塵理論が必要なんだけど、これって物理で言うところの素粒子論に近い処がある。たぶん大学で物理を学んだ人にはイメージがわくんだろうけど、塵理論というのはようするに「ある一瞬を切り出しても因果律を無視したあらゆる世界の可能性が含まれている」ということを言っていて、エリュシオンの中で数千年がたってていても、私たちが感じることのできる実時間では数秒もたっていないということなのだ(というかそもそも時間がたつ必要がない。因果律がないので)。 こういった可能性に考えが至ると、結局この話で書かれている不死性というのは時間の近くの仕方による・・という結論が導かれるのだけど、そこまで書くと話が長くなるし、自分でもなにを言ってるかわからなくなりそう。 とにかくほっぽり出した感がある最後と言い、難解さが半端ない作品ではあるが、まるで今のコンピューターの状況をかなり正確に予想していて、一読の価値ありである。

Posted byブクログ

2013/09/22

面白かったが内容が難解すぎておそらく3分の1ほどしか理解できていなかったと思う。しかしなかなか丁寧に説明してくれているため曖昧で大雑把だがストーリーの本質や流れは把握できた。またあとで2、3回ほど読み直したい。

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2012/10/04

 塵理論がわかりにくいとの評判だけど、自分も似たようなことをよく考えてたのですんなり納得できた。  ライフゲームの解説をそこそこ詳しくやっておけば、エデンの園配置とか「発進」のイメージが捉えやすいのかも  突き詰めて考えれば「発進」も必要ないんだよね……。  いっぽう、下巻のキ...

 塵理論がわかりにくいとの評判だけど、自分も似たようなことをよく考えてたのですんなり納得できた。  ライフゲームの解説をそこそこ詳しくやっておけば、エデンの園配置とか「発進」のイメージが捉えやすいのかも  突き詰めて考えれば「発進」も必要ないんだよね……。  いっぽう、下巻のキモである「虫の影響でTVCのルールが変わってしまう」というあたりは、説明不足過ぎで納得いかないのだった。

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2012/06/03

いやー、豪快な話でした。この作者の「宇宙消失」もSF的大ネタを、緻密かつサスペンスフルにまとめあげた名作でしたが、この「順列都市」も、サプライズの連続で堪能できました。 セル・オートマトンとチューリング・マシンのアイデアは知っていましたが、これをVRなどと組み合わせてここまでスケ...

いやー、豪快な話でした。この作者の「宇宙消失」もSF的大ネタを、緻密かつサスペンスフルにまとめあげた名作でしたが、この「順列都市」も、サプライズの連続で堪能できました。 セル・オートマトンとチューリング・マシンのアイデアは知っていましたが、これをVRなどと組み合わせてここまでスケールの大きな話に仕上げるとは。 「宇宙消失」とは、ストーリーや世界観としてのつながりは全くないのですが、「人間の意識が宇宙に影響を与える」というテーマで結びついており、おもしろいと思いました。 読み終えるとがまんできなくなって、早速「万物理論」も読み始めました。これもとても楽しみです。

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2012/05/01

最後のほうはよかった。しかし、どうしても全体を通しては面白いとは思えず。内容なのか、文章なのか。とはいえ上よりは展開も速く読み進めるのはそれなりだった。話の感想としてもいまいちつかめず。である。最後の崩壊する理論ないし理由は自分としては説得力に欠ける。

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2011/05/05

(*´д`*)すーほいSF作品だ。 予想を遥かに超えてた! 人間の想像力にもいろんなレベルがあるけど、これは凄い強度だと思いました。 SF作家はすごいなぁ。 ただ、何度読んでもわけがわからない部分もありました。

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2011/03/26

乱暴にまとめると、創造主(オリジナル)と創造物(コピー)の関係を描いた作品。 SFはアイデアの宝庫であり、新しい技術によって発生するであろう倫理的な問題に取り組むジャンルでもあると感じる。このジャンルはかなり「実用的」な読みが可能。

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