物語が、始まる の商品レビュー
難解、というのともまた少し違う。 とてもわかりやすい言葉で綴られているのではあるが、ぶっ飛んでいる。 こういうのも才能の一つだろうな、と思った。 個人的には最後の「墓を探す」が好き。 姉に親戚や父親がどんどん憑依することを、するりと受容している妹が、小気味よく面白い。
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初期。 初期よりも、最近の方がすきだなぁ。 古臭くて、かっちりした、濃い緑の、晴れ間の現れない、日常。 そんなかんじ。 気になるけれど、引き込まれるけれど、最近の柔らかいことばたちがあまりにすきなもので。
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同じ作者が書いた「神様」がとっても気に入ったので、他の本も読んでみました。 結果、うーん… 表題作、「物語が、始まる」は面白かったけれど、他はちょっとホラー?がかっていて、私には少し合わなかったみたいです。 神様の、くまさんのお話の方がほのぼの、少しせつなくて好きです。
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「雛型を手に入れた」「男の雛型である」「生きている」。 主人公ゆき子は公園で拾った雛型を持ち帰り、育て始める。成長した雛型は雛型ではなくなったので、三郎という名前をつけた。しかし、三郎が現われてから、恋人本城さんとの仲が何だかおかしくなってきた。一方、三郎は人間ではないのに、ゆき...
「雛型を手に入れた」「男の雛型である」「生きている」。 主人公ゆき子は公園で拾った雛型を持ち帰り、育て始める。成長した雛型は雛型ではなくなったので、三郎という名前をつけた。しかし、三郎が現われてから、恋人本城さんとの仲が何だかおかしくなってきた。一方、三郎は人間ではないのに、ゆき子と三郎はいかにも恋人らしくなってくる。 雛型のくせに三郎はいい役を演じている。けっこう切ない。表題作の他、「トカゲ」「婆」「墓を探す」の三篇を収める。ちなみに「婆」は芥川賞候補にもなった作品。 この四篇を続けて読むと、人間の輪郭がぼやけてくる。肉体の輪郭というべきか。木の周りを回りすぎてバターになっちゃったトラの気分。
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川上弘美さんを知ったのは芥川賞受賞作の「蛇を踏む」がきっかけやけど あの独特の世界観が濃密。。不思議で混乱するのに好き。 著者近影を見たら癒し系の美人さんだし。どんな顔してこれ書いてるのか。ますます謎。
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短編集。つかみどころがあるようで、ないようで、やっぱりある。川上氏の書くものは全般そうかもしれない。そういう印象だけが強く残る。 『今はいつだっけ。いつって、今は今よ』
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●物語が、始まる 雛型とゆき子とその恋人本庄さんの奇妙な恋物語 雛型はどんどん人間らしく男らしくなりゆき子とセックスがしたいのに出来ない 雛型はどんどん成長しやがて元の雛型に 最後は切ない ●とかげ 幸運を運ぶ座敷とかげ どんどん大きくなり幸運が欲しいという欲望か...
●物語が、始まる 雛型とゆき子とその恋人本庄さんの奇妙な恋物語 雛型はどんどん人間らしく男らしくなりゆき子とセックスがしたいのに出来ない 雛型はどんどん成長しやがて元の雛型に 最後は切ない ●とかげ 幸運を運ぶ座敷とかげ どんどん大きくなり幸運が欲しいという欲望からどんどん大きくさせる 奇妙で気持ち悪いがこれも面白い。川上弘美さんならではの作風 ●婆 自ら婆と呼ばれることを望む高橋さん 高橋さんと呼べば怒る すみませんではなくごめんなさいじゃないと怒る婆 婆とまり子、その恋人との不思議な関係 ●墓を探す 姉のはる子、妹のなな子に宛てた手紙 ―このたび墓を探すことにいたしました 何とも言えない感じふわふわとした現実的なのか非現実的なのか 物語が、始まるととかげが好きです
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川上弘美さんの短編。 物語が、始まる/トカゲ/婆/墓を探す 不思議な展開もの。 表題作が切ない。現実と非現実の狭間の話し。 でも、私は不思議なストーリーものより、リアルに切ない川上作品の方が好きかも。
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筆者らしい、少し奇妙な感じがする短編集。 具体的に内容についての言及は避けますが、万人受けはしないかもしれないけど筆者ならではの世界観を楽しみたい方にはとてもおすすめ。
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いつも、このちょっと怖い夢みたいな感覚を味わいたくて、この著者の小説を読む。期待は、裏切られない。ちょっと怖いのだけど、それがいやらしくなく自然に書けている川上さんはすごいとおもう。本当に向こうの世界の住人なのかもしれない。
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