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流しのしたの骨 の商品レビュー

4.2

434件のお客様レビュー

  1. 5つ

    181

  2. 4つ

    134

  3. 3つ

    75

  4. 2つ

    12

  5. 1つ

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心地よい

タイトルだけ読むと「ホラー?」と思いそうですが、違います。 日々の出来事をやんわりと受け止めながら、周囲に流されることなく生きている宮坂家の人々の話。全体を包むように、ゆっくりと流れてる時間が心地よい一冊。

yama

2024/09/07

心温まる家族の物語 家族皆が味方で、肯定し合う姿に惹かれました。 普段の何気ない会話や習慣の表現から、各々の感情や季節の情緒が読み取れて、美しかった。 繰り返し読みたい本です。

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2024/08/21

残酷だと思う出来事がいくつかあったけど、それは世間と自分の中にある当たり前のせいだと気づいた。そこに悪意が介在してなければ色んな生き方があって良いとも思う。 正しい事が何かわからないけど、正しく生きたいね。

Posted byブクログ

2024/08/14

あとがきを読んで、確かに『家族ルール』というものは面白いよなあと感じた。 隣の家の人、親友、恋人、どれだけ近い場所にいる人間でも、家族という輪はまた別の次元にある集まりのように思う。 宮坂家の不思議な登場人物たちも、家族の輪の中を覗いているから不思議と思うのであって、個人と接した...

あとがきを読んで、確かに『家族ルール』というものは面白いよなあと感じた。 隣の家の人、親友、恋人、どれだけ近い場所にいる人間でも、家族という輪はまた別の次元にある集まりのように思う。 宮坂家の不思議な登場人物たちも、家族の輪の中を覗いているから不思議と思うのであって、個人と接したらその不思議は途端に見えなくなる(形を変える)と思う。 穏やかな気持ちになる本でした。

Posted byブクログ

2024/07/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

お母さんがなぜ夫のいない時だけ化粧をし、帰ってくる前に落とすのかついに分からなかった。そよちゃんが離婚した理由やわたしが大学を嫌っていた理由も分からなかった。流しのしたの骨についても。これがタイトルになるのかあ… ふわふわしていて因果関係もよく分からなかったけど、その地に足をあえてつけない居心地の良さがよかった。

Posted byブクログ

2024/04/29

子供に薦める小説を探していて、久々の再読。 江國香織さんの言葉選びのセンスが素晴らしい一冊。 雨の日の雰囲気を「すーん」とすると表現したり、じょんじょんじょんと歩くなど、その言葉選びの巧みさで独特な感性の家族の話がとても素敵な家族に見えてしまう。 本書と「きらきらひかる」は、...

子供に薦める小説を探していて、久々の再読。 江國香織さんの言葉選びのセンスが素晴らしい一冊。 雨の日の雰囲気を「すーん」とすると表現したり、じょんじょんじょんと歩くなど、その言葉選びの巧みさで独特な感性の家族の話がとても素敵な家族に見えてしまう。 本書と「きらきらひかる」は、高校生の時に出会ってからもう何度と読み返している。

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2024/04/11

2024.4.11 読了。 東京の片隅にある宮坂家の4人姉弟と両親の6人家族の物語を三女のこと子の視点で描いた小説。 戦争も政治もお金の心配もないように感じさせる宮坂家の日常が静かに描かれている。日々は進み年齢の変化も書かれているのに、どこか全く知らない星で生きている一家の様...

2024.4.11 読了。 東京の片隅にある宮坂家の4人姉弟と両親の6人家族の物語を三女のこと子の視点で描いた小説。 戦争も政治もお金の心配もないように感じさせる宮坂家の日常が静かに描かれている。日々は進み年齢の変化も書かれているのに、どこか全く知らない星で生きている一家の様子を覗き見ているような不思議な感覚だったが、「我が家ルール」のように他の家では日常ではないことがツラツラと綴られていた。 3人のタイプも違う姉(と母)を見て育つ末っ子の弟・律はきっとこれから育っていく中でも要領良く生きていきそうだなぁ〜なんて想像してしまった。

Posted byブクログ

2024/04/06

とても好きだった! 登場人物誰に共感できるというわけでもないし、展開のある物語でもないんだけど(実際はいろいろ事件は起きているが)、江國さんのあとがきにもあるように、本当に人の家庭をずっと見させてもらってる感じ。 家族のあり方いろいろだし、家族の中の個人もいろいろで、こういう...

とても好きだった! 登場人物誰に共感できるというわけでもないし、展開のある物語でもないんだけど(実際はいろいろ事件は起きているが)、江國さんのあとがきにもあるように、本当に人の家庭をずっと見させてもらってる感じ。 家族のあり方いろいろだし、家族の中の個人もいろいろで、こういう家族もきっといるよねどこかにと妙なリアリティを持たせる文章だった。 外の人間だった他人と結婚することで見える自分の家族独特の雰囲気とかルールとか、それゆえ感じる新生活での違和感とかも、あるよねきっと、と思って。だけどまたそこからどちらかがどちらかに合わせたりぶつかりあったり折り合いつけながら、新たに家族ルールが出来上がっていくので、面白いし素敵な事だと思いました。

Posted byブクログ

2024/03/28

なぜか、サザエさん一家の10年後ってこんな感じだろうかと。本来大事件のはずのそれぞれの出来事が家族の中で薄まって結局ばらばら。解決策はほったらかしって事で チャンチャン!全てが未解決

Posted byブクログ

2024/03/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

先月だったかな。何年振りかに再読。 以前読んだときは、ホリーガーデンと同じくらい、ずっと持っておきたい本だ、と思っていたけど、今読んだらそれほどでもなかった。けど、江國さんのつくりだすこのお話の静けさがとても好き。特別おおきなことが起こるわけではないけれど、コトコトとお料理をつくるときの良い音がする、というか。ときどきこのお話の世界に触れたくなりそうだなと思った。 こと子と深町直人との関係性がとてもうらやましく、わたしもこんなパートナー欲しいなあと思った。 好きなシーン 空気の澄んだ、ぱりっとした朝。そのドーナツ屋は駅の反対側なのだけれど、私はバスに乗らずに歩いた。線路をくぐるかがちの地下通路をぬけると、風景がきゅうにひらけて動きだす。ビデオの一時停止ボタンを解除したときいたい。たくさんの色、たくさんの音。木とか風とか、歩いている人とか。停めてある自転車に、日ざしが反射してまぶしい。 私は浮き浮きしていた。朝はいつも機嫌がいいのだが、それだけじゃなく、こんなふうに近所で深町直人と待ち合わせをしていることが楽しかったし、お天気がいいことも、ドーナツを食べることも嬉しかった。 「おはよう」 店のなかはあかるくて居心地がよく、ドーナツとソーセージロールとコーヒーの匂いがする。ガラス窓にはピンク色のロゴマーク。 「おはよう」 深町直人はカウンター席でにっこり笑った。乳白色のトレイには、少しだけ油のしみたパラフィン紙と、(おそらくは二杯目の)コーヒーの、なみなみと注がれたカップがのっている。 「いい天気だね」 穏やかに言い、私が衿巻をはずし、オーバーをぬいでまるめて隣の椅子に置くあいだ、深町直人はたのしそうにそれをみていた。私の好きな、冷蔵庫色のトレーナーを着ている。 私はオーバーのポケットからだした財布だけを持ち、自分のドーナツを選びにいったん入口のほうへいきかけたが、思いついてひきかえし、 「もう一度食べたら?」 と誘ってみた。深町直人はほんの一瞬不思議そうな顔をしたが、すぐにあっさり微笑んで、うん、と言って立ち上がった。私はとても嬉しかった。自分でも思いがけないほど嬉しくて、ドーナツのガラスケースに向かって欠けだしそうになっておどろいた。深町直人はやさしい。 時間は、こういう場所ではきまってとろとろと眠たげに、お湯がわくようにしずかに流れる。私たちは、それぞれ買ってきたドーナツ(私は3つ、深町直人は2つ)をたくさんのコーヒーと一緒に食べながら、思いつくままに脈絡もなく話をし、微笑んだりみつめあったり、ときどき窓の外を眺めたり黙ったりしながらすごした。深町直人といるときの、遠いような近いような感じが好きだった。 「コーヒーでも買ってこようか?」 深町直人は言い、私が返事するよりも早く立ち上がっていた。私は石段に腰掛けたまま体をねじり、ななめ後方にある自動販売機に目をこらして物色する。 「ピコーのミルクティがいい」 わかった、と言って、深町直人は走っていった。 私は空を見上げた。 青くて、冬らしく澄んでひきしまり、雲の美しさを際立たせている1月の空。そのままそっくりかえると背中と頭がごつごつとつめたかったけれど、目の中が全部空になった。起き上がって罐入りのミルクティをのむ。おしりの下には週刊誌。ここにすわるとき、深町直人がごみ箱からさがしだして敷いてくれたものだ。 私は、しま子ちゃんにも深町直人がいればいいのにと思った。こんなふうに晴れた日の公園で、隣にすわって一緒に罐のお茶をのめる男のひとがいればいいのに。しばらく会えずにいたあとで、ちょっと背がたかくなったようにみえる男のひと。ちゃんとあたたかい恰好をして、やあひさしぶりって言う言い方が自然で、ポケットから固くて甘い袋菓子をだしてくれる男のひと。 「気持ちがいいね」 両手をうしろについて軽く上体を反らし、足首で交差させた両脚をのばして深町直人が言った。 「どうしようか、これから」 私はこたえなかった。もう少しこのままでいたかった。でもそれを言えば、空気が微妙に変わってしまいそうでいやだった。このままこのまま、完全なこのままがよかったのだ。深町直人は目をふせて、まるで私の気持ちがわかったみたいにひっそりと口をつぐんだ。ふいてきた風を、私たちは二人ともまつ毛の先でうけとめる。

Posted byブクログ