映画は語る の商品レビュー
淀川氏の映画評や紹介は、いかにもその映画の監督や役者らしさが出ているシーンや演技を紹介して、こんなところも楽しんでくださいねというスタイルで貫かれていたが、ときにはあの独特なスマイルを浮かべながらドキッとするほどキツイことをいうことがあった。たとえばヴィスコンティの 『地獄に堕...
淀川氏の映画評や紹介は、いかにもその映画の監督や役者らしさが出ているシーンや演技を紹介して、こんなところも楽しんでくださいねというスタイルで貫かれていたが、ときにはあの独特なスマイルを浮かべながらドキッとするほどキツイことをいうことがあった。たとえばヴィスコンティの 『地獄に堕ちた勇者ども』 を 「日曜洋画劇場」 で紹介したときは、 「怖いですね、恐ろしいですね、腐ったゲルマンの臭いがしますね」 と言ってのけたのを聞いたことがある。 本書は最晩年の、それも山田宏一氏という得難い聴き手を得た淀川氏が遠慮会釈なしに思うところを存分に語り尽くした対談集である。したがって伝説的な大女優でもあのバカ女優となり、大監督と称されている人たちが映画をここまでダメにした犯罪人となり、また逆に評判のよいとはいえないプロデューサーが映画の大恩人となるなど、常日頃、氏が思っているところを腹蔵なく語っているので、「腐ったゲルマンの臭い‥‥」 風の忌憚のない発言が次から次へと飛び出してくる。 その意味では、本書は映画の歴史とその裏表について氏が活き活きと物語る後世への遺産というべきものであろう。
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映画は淀川さんの人生そのもの。映画を語るときの淀川さんの監督や俳優だけにでなく映画そのものに対する愛情がひしひしと伝わってくる一冊。
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