竹内好論 の商品レビュー
松本健一 「 竹内好 論 」 アジア主義、民族主義、魯迅 研究など 竹内好の思想をテーマとした本。抑圧されたアジア を前提とした太平洋戦争、天皇制、安保闘争を踏み絵にした思想闘争という感じ あえて大東亜戦争と言うあたり、その戦争の二重性(アジアに対する植民地侵略と米英に対する...
松本健一 「 竹内好 論 」 アジア主義、民族主義、魯迅 研究など 竹内好の思想をテーマとした本。抑圧されたアジア を前提とした太平洋戦争、天皇制、安保闘争を踏み絵にした思想闘争という感じ あえて大東亜戦争と言うあたり、その戦争の二重性(アジアに対する植民地侵略と米英に対する対帝国主義)を強く意識させている 戦中や安保闘争時のアナーキーな状態は理解したが、現代は「抑圧されたアジア」という感覚が薄れてるので、アジア主義に未来思考は感じなかった 魯迅 中野重治「斎藤茂吉ノート」 保田與重郎「万葉集の精神」は 読んでみようと思う 名言 *破壊こそが創造につながる〜無こそが有の根源である *死を含まぬ生は〜すべて無意語である *生は一虚舟〜思想が個人に属するのでなく、個人が思想に属する 思想の根底にあるもの *自己否定し続ける生きかた *他者に学びたい学問の情熱〜最初の他者は 中国及びその民衆 *故郷喪失感と生の存在〜なぜ生きてここに在るのか 共同体を失い、帰るべきところを持たない近代人の悲哀が〜大東亜共栄圏という擬制の共同体を導き寄せた 戦中派は天皇制と向き合っている *天皇制は〜自他を包む場であって、国体〜に立ち向かう精神の力を萎えさせる圧力を持つ超越存在 *日本の社会から共同体がなくならないかぎり、天皇制の根は絶えない 魯迅 現実のなかで進みも退きもせず、自己を激流にまかせ、まかせつつも抗い、抗うことによって自己を洗い出す
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131221 中央図書館 『知の武装』で、佐藤優が、最近の中国と日本の関係を捉えるヒントとして竹内好を見直せばどうか、と述べていたことから、偶然書架で見かけた本書を手にとったもの。竹内について何の知識も持たずに、評伝から読むこととなったわけだ。 現役の評論家が、堅苦しい学術書スタ...
131221 中央図書館 『知の武装』で、佐藤優が、最近の中国と日本の関係を捉えるヒントとして竹内好を見直せばどうか、と述べていたことから、偶然書架で見かけた本書を手にとったもの。竹内について何の知識も持たずに、評伝から読むこととなったわけだ。 現役の評論家が、堅苦しい学術書スタイルではなく人間臭い評伝として竹内の思想形成を表わしたものなので、抵抗なく最後まで読めた。 しかし、ここで用いられる内容や言葉は、安保闘争以降に生まれた世代にとって、あまりにも古臭く、リアルに訴えてくるところがない。歴史を貫く原理が変わったわけではないだろうが、20世紀前半から中盤にかけて社会を把握・説明するために彼らが用いてきた概念や言葉は、もう使用期限が切れている。もちろん、市民/共同体と政治権力との関係構造としては同じと思うが、市民を構成する要素が大きく変質し、彼らによる社会の見立てや言葉遣いも50年前とは異なってきているのだから。 市民やプロレタリアート(死語)と政府、日本と中国、アジアと西欧の関係をどのように個人の行動と折り合いをつけるかは、当時の「知識人」(死語)にとって重要な問題であったわけだが、今はそのようなことを考えるインテリ(死語)は、往時でいう「労働者階級」(今の言葉ではビジネスパーソン)のなかにしかいない。 あと、忘れていけないのは農村共同体に世界の基盤を置く思想が、今はどうなっているのか、今後はどうなっていくのか、という論点だ。
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