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アースダイバー の商品レビュー

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99件のお客様レビュー

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2014/12/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

対と矛盾のバランスがある本。 こういう考え方、好きです。 都市と下町、金とエロ、人工物と自然界、現世と死者、見えるものへの安心と見えないものへの恐れ、安定と変化、有と無。すべてが今あるもの。今あるものは、過去からの積み重ねの上にある。 ー金魚好きは怪物への憧れという潜在意識。 ー意味から離れて商業化した酉の市。 ー高台と沼地、乾いた土地と湿った土地のの入り交じる部分に性産業等が根付く。 ー都市計画で歴史の文脈・人の憩いである自然が失われてゆく不安。逆に未だ、都心部にもぽつんと池とかが残っている安心。 ー東京の中心は皇居でなく富士山だった。 ー現在の天皇のお住まいは、中心部だけど見えない森(皇居)の中。街に住み時々森へ通われていた歴代とは違う。 などなど... 著者の個性も強いので時々掛け合いしつつ、特に東京に住まれている人は楽しく読めそう。

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2014/11/11

中沢新一によれば、都市とは自由の場であるという。 都市の出発点は多くの場合「市(いち)」にあるが、市こそはモノを日常のしがらみから解き放って交換する場所であった。 そこでは、文化と文化が出会い、古い関係が解消されて、新しい関係がつくられるのだった。 そのような場所から発展して...

中沢新一によれば、都市とは自由の場であるという。 都市の出発点は多くの場合「市(いち)」にあるが、市こそはモノを日常のしがらみから解き放って交換する場所であった。 そこでは、文化と文化が出会い、古い関係が解消されて、新しい関係がつくられるのだった。 そのような場所から発展してきた都市は、今でも確かに自由の場としての面影をとどめている。 人々は地縁、血縁その他のしがらみを捨てて都市に集まってくる。 「自由」というと、なんだか青い空に鳩が飛びたち、子どもたちが両手を大きく広げて立っている、みたいなイメージがあるが(笑)、それは実は幻想だということがよくわかる。 自由の本当の姿は、例えば灰色の雑踏や、地下鉄のホームで嗅ぐ鉄サビの匂いの中にあるのかもしれない。かつて「東京砂漠」と呼ばれた場所に。 浅田彰は、昔ニューアカブームの先鞭をつけた著書「構造と力」の最後に砂漠のイメージを置いた。 湿った風は後ろ髪を引き、しがらみの中へと人を引き戻す。むしろ砂漠の乾いた砂粒となって逃走するのだ、と。 そうしてみれば、都市とは砂漠であり、そのことによって自由の場であるということになる。 そこで気になるのは、今教育を語るとき、ひとつのキーワードとなりつつある「地域コミュニティの再生」という問題だ。 例えば、核家族化の進行の過程で、「地域ぐるみで子どもを育てる」という風土が失われ、母と子が孤立してしまったということがある。 だから、地域コミュニティを再活性化することこそ、袋小路に入ってしまった教育を再生するための方法論だというわけだ。 しかし、もし都市という場が自由の場であり、世俗のしがらみから解き放たれる場であるとするならば、都市におけるコミュニティの再生などありえないということになる。 都市にかつて存在したコミュニティが崩壊したのではなく、都市化ということとコミュニティの崩壊ということは、もともとひとつの出来事だったということだから。 それでは解決の道筋はないのか。 中沢新一は、都市の自由を「私有」の概念が浸食しているという。 例えば、「庭」だ。 中沢新一によれば、庭とはもともと「人間を超越した原理や力の支配している、自由と平等のゆきわたった空間」を意味したという。 都市の原点である市場は、貨幣の正義の下にすべてのモノが等価交換される「市庭」だったのであり、法廷とは、法の正義の前にすべての者が平等に裁かれる「法庭」であった。 しかし、近代になって「私有」の概念が一般的になるとともに、庭は塀で囲われ、他人が入りこめない不自由な場所となった。 唯一、都市の中で今でも自由を保っているのが、植木鉢が並ぶ「路地庭」だと中沢新一はいう。 それは、個人が作った庭でありながらも、行き交う人々によって共有される風景なのだ。 共有できる庭を持つこと。もしもそれが可能なら、まだコミュニティ再生の望みはあるかもしれない。 自由でありながら、個に閉じこもらないこと。関係性に縛られず、それでいて孤立しないこと。 この議論はまだまだ抽象的だが、発展性がありそうだ。

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2014/01/13

近くにいくつか大きな公園があり、よくジョギングに行くがある公園だけとてもリラックスが出来るので不思議に思ってたら、この本にそのあたりの地域の成り立ちが書かれておりなんとなく納得出来た。 気のせいかもしれないが、ここまで細々と具体例が書かれてあるので個人的には信じようと思ってます。...

近くにいくつか大きな公園があり、よくジョギングに行くがある公園だけとてもリラックスが出来るので不思議に思ってたら、この本にそのあたりの地域の成り立ちが書かれておりなんとなく納得出来た。 気のせいかもしれないが、ここまで細々と具体例が書かれてあるので個人的には信じようと思ってます。 ちなみに妻はどの公園の雰囲気も変わらないと言ってます・・・

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2013/11/17

「自然の怪力」あの震災を思い出させる一文の中にその言葉はあった。しかし本書が震災前に書かれていたことは別に驚くことではない。つまりは、自分たちが住んでいる場所は常にあやふやでぐらついている、まるで大鯰の背中の上のようなところなのであって、大きな災禍が訪れる前であろうが後であろうが...

「自然の怪力」あの震災を思い出させる一文の中にその言葉はあった。しかし本書が震災前に書かれていたことは別に驚くことではない。つまりは、自分たちが住んでいる場所は常にあやふやでぐらついている、まるで大鯰の背中の上のようなところなのであって、大きな災禍が訪れる前であろうが後であろうがその事実は揺るぎない。しかし都市化の中でその記憶は埋葬されていき忘れられる。 古代地図を観て巡るフィールドワークの中で、そういった断片を掘り起こし、野生の力で溢れる世界を白日の下に今一度さらした本書は重要な意味があると思う。

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2013/10/05

東京都内の各所を、縄文時代の地形と比べ、起源を探る本。 一見自然発生的にできているようにみえる街も、地理的、宗教的な要素が混ざって今の姿になっていることを認識できる。 こういう見方をすると街歩きも楽しめそう。

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2013/08/23

学術書として読み始めたが、どうにも胡散臭さが拭いきれない。 縄文時代と現代を直接リンクするという発想は面白いが、縄文時代の地形(陸か海か)がその土地の在り方に影響を与えているという考えは、おとぎ話と言われても仕方あるまい。 新たな視線/発想というものはそういうものなのかもしれない...

学術書として読み始めたが、どうにも胡散臭さが拭いきれない。 縄文時代と現代を直接リンクするという発想は面白いが、縄文時代の地形(陸か海か)がその土地の在り方に影響を与えているという考えは、おとぎ話と言われても仕方あるまい。 新たな視線/発想というものはそういうものなのかもしれないが。

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2013/08/15

東京は縄文時代にフィヨルド状海岸で、海と陸が入り組んでいたということから、新宿、渋谷、赤坂、芝、上野、浅草その他各地の特長を解き明かしていく手法は見事です。乾湿の入り乱れた新宿が街の特長になっている!。また岬があった場所が芝、上野であった! そして過去の海岸沿いに神社、寺、墓地な...

東京は縄文時代にフィヨルド状海岸で、海と陸が入り組んでいたということから、新宿、渋谷、赤坂、芝、上野、浅草その他各地の特長を解き明かしていく手法は見事です。乾湿の入り乱れた新宿が街の特長になっている!。また岬があった場所が芝、上野であった! そして過去の海岸沿いに神社、寺、墓地などがあるというのは確かにそれらの場所が移動しづらく、2000年近く変わっていないだろうということは納得がいきます。坂の町、東京の過去を探ることは非常に趣があります。そして町の中心は富士山だったということは、江戸時代までであれば自然なこととして受けとめられることです。また「死」と密接に関連した芝にある東京タワーは「タナトスの塔」だと看破してますが、スカイタワーの隅田はどのように表現されるのか、興味深いところです。芝に、紀州から鈴木姓が多数住みつき、その中で鈴木九郎が新宿・角筈に室町時代に財を築いた!?まるで「ニーベルンクの指輪」の世界です!なお、著者の親しい叔父は有名な日本歴史学者・故・網野善彦氏。

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2013/07/26

<印象に残ったところ> カイツブリが潜って、泥を取って世界を作ったという話。(絵本になりそう) 新宿の湿った部分=蛇女の話。 明治神宮の昔話=ぐにゃぐにゃの隠れキリシタン 東京タワーはあの世とつながる岬 地下鉄がエロい 金魚・盆栽・枯山水 死に近い人=奇抜な恰好をする=青山×ファ...

<印象に残ったところ> カイツブリが潜って、泥を取って世界を作ったという話。(絵本になりそう) 新宿の湿った部分=蛇女の話。 明治神宮の昔話=ぐにゃぐにゃの隠れキリシタン 東京タワーはあの世とつながる岬 地下鉄がエロい 金魚・盆栽・枯山水 死に近い人=奇抜な恰好をする=青山×ファッション×墓地 銀座=上方から来た銀職人の街 最も田舎から遠い 浅草=アメリカ+浅草寺(開帳してくれない仏様=ストリップ) 上野はもう東京タワーともう一つの「サっ」東北、異文化との交流点 秋葉権現の神様は空を飛ぶ精霊 火をコントロールー現代は電波をコントロール 下町の相撲=自然と一体化 天皇制の矛盾 「わたしたちの日本文明は、 キノコのような粘膜のように、 グローバル文明の造りだすものを分解し、 自然に戻していくことをめざしている、多少風変わりな文明です、」 <感想> 中沢さんナイス変態!

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2013/07/14

 東京の地理はまったく不案内ですが、地図が付いていのでなんとか理解できました。高尚なブラタモリのようでした。

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2013/05/16

 新宿は淀んだ空気の街だなぁと思っていた。夜には湿った欲望が沼の底のように絡み合い、昼は昼で物欲や名誉欲や知識欲が目に見えるほど渦巻いている。  本書は、東京のあらゆる「土地柄」を、縄文時代の地理をヒントに読み解いていく本である。  その土地の記憶を、原初の日本人が住んでいたこ...

 新宿は淀んだ空気の街だなぁと思っていた。夜には湿った欲望が沼の底のように絡み合い、昼は昼で物欲や名誉欲や知識欲が目に見えるほど渦巻いている。  本書は、東京のあらゆる「土地柄」を、縄文時代の地理をヒントに読み解いていく本である。  その土地の記憶を、原初の日本人が住んでいたころまでさかのぼり、現代の地理にオーバーラップさせる。すると、土地や人々の営みは、驚くほどにその土地の記憶に影響を受けていることがわかる。  たとえば新宿は、高台で昔から陸地だったところと、昔は海の底だったところとがある。高台には伊勢丹や紀伊国屋が立ち並び、かつて海底だった場所は歌舞伎町になって性風俗が隆盛している。  新宿に限った話ではなく、東京という土地は縄文時代には海と陸地とが複雑に絡みあうリアス式海岸の最前線だったそうで、「かつて海だった土地」「かつて海岸だった土地」が至る所にあるそうだ。そして必ずと言っていいほど、現代にもその影響が残されている。  人間が人間らしく生きることの本質は、合理性を排した場所にあるのかもしれない。パワースポットブームの今だからこそ、自然の大きな法則を今一度見つめてみる必要があるのかも。  とりあえず、これを読んだら散歩に出かけてみよう。

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