孤宿の人(下) の商品レビュー
「ほう」はかわいい。「ほう」はあたたかい。なんとなく,「ほう」には周五郎の「さぶ」に通じるものがある。
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「宇佐」や「ほう」の純粋な気持ちが、痛いくらい伝わってきます。二人がどうなるのか、上巻に負けないくらいのドキドキ感が味わえます。 この世の中、「正しき事」はいったい何なのか・・・、それを痛感させられる作品だと思います。
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今までの宮部みゆきさんの無理に合わせていたような時代小説とは少し違う。舞台が江戸ではなく瀬戸内海に面した丸海藩であることも関係しているのかもしれない。庶民の生活とは直接関係ない、でも密接に関係ある、国とか将軍とか藩とか怨念とか面子とか、そういう形ないものに翻弄され死んでいく登場人...
今までの宮部みゆきさんの無理に合わせていたような時代小説とは少し違う。舞台が江戸ではなく瀬戸内海に面した丸海藩であることも関係しているのかもしれない。庶民の生活とは直接関係ない、でも密接に関係ある、国とか将軍とか藩とか怨念とか面子とか、そういう形ないものに翻弄され死んでいく登場人物たち。あまりにも簡単に当たり前のように死んでしまうことに気持ちがついていけない。 大義名分のまえでは庶民の暮らしなんて吹いてとぶもの、という狙いは分かるけど後味は良くない。
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切ない。ほんとうにただもう、それだけ。 宮部さん巧いよなあ………!!自分には逆立ちしても構築できない。 そしてこの本はジャケ買いにも値すると思う。本の内容をよく表してて、本を閉じたときにハッとさせられる。
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悪霊とまで恐れられる加賀殿を巡って悪い噂が飛び交い、揺れ動く藩内の思惑… 天災も含めて大変な事態が続き、ずいぶん悲しいことの多い話でした。 晴れた空と明るい海のイメージが最後に残り、哀しいけれどもどこかにさわやかさもあります。 ほうに接した人たちの温かい思いが印象に残っているから...
悪霊とまで恐れられる加賀殿を巡って悪い噂が飛び交い、揺れ動く藩内の思惑… 天災も含めて大変な事態が続き、ずいぶん悲しいことの多い話でした。 晴れた空と明るい海のイメージが最後に残り、哀しいけれどもどこかにさわやかさもあります。 ほうに接した人たちの温かい思いが印象に残っているからでしょうか。
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前編では状況説明や、事件の序盤が多く描かれていたが、後編では事件が大きく動き出すため非常に面白い部分があった。 ほうの純粋さが周囲の大人を巻き込んでいく、加賀様に対してもそれが変わらずにいる。その純粋さが巻き起こす奇跡が非常に感動的で思わず泣いてしまった。
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帯より『その男は“悪霊”と恐れられた! 涸滝の幽閉屋敷に下女として住み込むことになった少女ほう──。丸海藩の内紛が起るなか、“悪霊”と恐れられた男と無垢な少女の魂の触れ合いが……。 哀切の結末。少女ほうの叫びが雷雨を切り裂く! 心を揺さぶる感動巨篇!』
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生まれた頃より不遇の子、「ほう」。 由来は阿呆のほうと名付けられ、周りの大人たちからは邪険にされる毎日。 でも、物覚えは悪くとも、その素直な頑張りやの性格を愛し、思ってくれる人々も徐々に現れる。 そんなある日、運悪く廻り廻ってほうは涸滝の屋敷で下女として働くこととなる。 この屋...
生まれた頃より不遇の子、「ほう」。 由来は阿呆のほうと名付けられ、周りの大人たちからは邪険にされる毎日。 でも、物覚えは悪くとも、その素直な頑張りやの性格を愛し、思ってくれる人々も徐々に現れる。 そんなある日、運悪く廻り廻ってほうは涸滝の屋敷で下女として働くこととなる。 この屋敷、実は幕府の罪人・加賀のいる讃岐国丸海藩の幽閉された場所である。 加賀が流されてきた直後から、コロリが発生したりと様々な災厄に見舞われており、人々は、「加賀は人外の悪鬼である」恐れられていた。 そんなお屋敷で働き、ほうは噂の人物加賀と会話したり、手習い・算盤などを教えてもらうことになった。 噂の人物、加賀の真相はいかに!? 過酷な環境でもいつも一生懸命なほう、悪鬼と恐れられていながら、ほうに対しては優しさの感じられる加賀、ほんのきっかけで知り合っただけなのに、ほうのことを本当に心配してくれる気のいい宇佐といった人物たちがとても魅力的。 そして、加賀が恐れられるに至ったストーリーや各お家の勢力争いなどの背景といったものも絡んでくるため、物事のうまく行かない世の中の条理を感じた。 悲しくて泣けるお話だけれど、ちょっとした人々の優しさなどがとても心に響く話でもあった。 噂の真相にも要注目!! とても面白かった♪
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加賀様のお屋敷で働くほうはある日加賀様と対面することになる。一方宇佐のいる町では、人々は次々に発生する雷害や疫病を加賀様の祟りと怯えて暮らしていた。人が次々と死ぬので嫌だなと思いつつ、しっかり泣かされました。自分の力ではどうにもならない苦境に立たされた時人はどうするのか、何を守る...
加賀様のお屋敷で働くほうはある日加賀様と対面することになる。一方宇佐のいる町では、人々は次々に発生する雷害や疫病を加賀様の祟りと怯えて暮らしていた。人が次々と死ぬので嫌だなと思いつつ、しっかり泣かされました。自分の力ではどうにもならない苦境に立たされた時人はどうするのか、何を守るのか。ほう、宇佐、加賀様、渡部、啓一郎、和尚、登場人物それぞれの決断がよくわかるし、だから一層悲しくもある。でも、悲しいだけじゃなく最後にはちゃんと希望もある。これでもか、これでもかと大人に辛い目に遭わされて来た無垢なほうが、最後の最後で加賀様から戴いたものは感動的でした。一場面、一場面がきちんと描きこまれていて、心に残る名セリフ、名シーンがあって、また読み返したくなる傑作。
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から四国・讃岐にたどり着いた。時を同じくして、地元の小藩に、大罪を犯したという幕閣の大者「加賀殿」が配流される。これをきっかけに、藩内で陰惨な毒殺事件が発生。拡大する騒乱の中で、ほうと加賀殿の運命が奇妙に絡み合っていく。 かなりの社会派小説。
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