スピン・キッズ の商品レビュー
中場利一のスピン・キッズを読んだ。 15歳の主人公「ホウカ」と親友「ピータ」の家出青春ストーリー。 15歳という、1番多感な年頃に、家出の旅路で様々な人と出会い、教えられ、「自分の足で歩く」 という事がどういう事なのかを知り、成長していく過程を見事に描いている。 この2人...
中場利一のスピン・キッズを読んだ。 15歳の主人公「ホウカ」と親友「ピータ」の家出青春ストーリー。 15歳という、1番多感な年頃に、家出の旅路で様々な人と出会い、教えられ、「自分の足で歩く」 という事がどういう事なのかを知り、成長していく過程を見事に描いている。 この2人はいわいる不良少年。髪の毛を銀や金に染め、耳にはピアス。家出の理由は、「なんとなく」。 だが、本当は蒸発したホウカの父親が大阪にいるという情報を耳にしたからだ。 「別に父親に会いたいとは思わないが」と微妙な心境で始まる旅だが、その心は次第に揺れていく。 一方、ピータは元々大阪の人。彼女を置いて一人東京に転校してきたピータはこの家出を機に彼女に 会いに行くことを決意する。そして、目の当たりにした現実。 2人の少年が精一杯ツッパリながらも、立ちはだかる困難を不細工ながらに乗り越えて大人への階段 を一歩一歩と登っていく姿は、平々凡々な青春を過ごした僕にとっては、強く心に沁み込んで来る。 大阪で出逢った「しのぎ屋キーちゃん」黒人なのに大阪弁しか話せない「マライヤ」など、個性豊か な大人たちが2人の少年の成長をそれぞれのやり方で見守っていく。キーちゃんの場合は見守って いるのかどうかはわからないが・・・。 悪ガキを描かせたら、さすが中場利一である。その暴れっぷりは痛快かつ恐ろしく?見事である。 キーちゃんのようなロクてもない大人も然り。中場ワールド炸裂なのだ。 この作品は中学、高校と人生の中でもっとも多感で重要な時期をどう生きるべきかを考えさせられる。 僕は15歳の時、何を見て、何を考えて生きていたのだろうか? 野球漬けの青春だった。ごく普通の家庭に育ち、不自由なく野球に没頭していた。その環境で学んだ 事はたくさんある。しかし、どうだろう。寄り道をしなかった分、人生の選択肢は少ない。 「あれもしたかった、これもやってみたかった」などと今更思うことはどんな道を歩もうと、必ず 誰もが思うことだが、自分の歩いた道に少なからず後悔があることは非常に口惜しい。 「たら、れば、」を言うのはよくない事だとはわかっている。無いものねだりでもやはり羨ましい。 この作品の少年たちのようにやりたい事を見つけ努力すること、またはやりたい事がみつからずとも 必死で考え、悩み、苦しみ生きていこうとする姿は僕の人生に欠けているものを教えてくれた。 今からでも遅くない。自分の人生、がむしゃらに生きてやろうと本気で思える作品だった。
Posted by
「中場利一さんはじめまして」の本です。奈良美智さんの表紙に惹かれて買いました。心がズキズキしました。笑いました。泣きました。好きです。
Posted by
この本に、小学生時代出会わなければ ここまでの読書ライフは無かったね。 そんな、マイライフでの衝撃の一冊。
Posted by
- 1