風味絶佳 の商品レビュー
これは本当に、素晴らしい。 一番好きなのはあとがきなんですけどね。 あとがきで涙ぐんだのなんて初めてだよ!
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自宅で読了。「アトリエ」「夕餉」が好きだった。「夕餉」を読んでいると、料理で彼の身体を作っているという食事と人の生生しさを感じる。
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本は後書きから読む私。作品を読む前の印象と、読んだ後の後書きに受ける印象の違いがあるほど楽しめる。すべての作品に余韻を感じるまさにタイトルにぴったりな一冊。
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表題作は映画をちらっと見たことがあったので、ファンキーおばあちゃんはそのまま夏木マリのイメージで読めました。グランマかっこいい…でも自分の身内だったらたまらんかもしれん。 「憐れみに肉体が加わると恋になる。そこには、かけがえのないもの哀しさが生まれ出づる。」っていうフレーズにちょ...
表題作は映画をちらっと見たことがあったので、ファンキーおばあちゃんはそのまま夏木マリのイメージで読めました。グランマかっこいい…でも自分の身内だったらたまらんかもしれん。 「憐れみに肉体が加わると恋になる。そこには、かけがえのないもの哀しさが生まれ出づる。」っていうフレーズにちょっとティンと来たのでメモ。相手への同情心とか憐みからくる恋愛のえもいわれぬ嗜虐心と愛おしさみたいなのはすごく面白かった。 しかし最後の「春眠」にはたまげた。すごい後味
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映画を先に見て、原作はどんなものかと読んでみた。 短編集だと聞いていたので、さぞかし映画は膨らませたのだろうと思ったが、原作のイメージを損なわず、かつドラマチックに膨らませてあったので 映画は映画でよかったように思う。 個人的には夕餉が一番心に残った。 自分の心情に近い部分がい...
映画を先に見て、原作はどんなものかと読んでみた。 短編集だと聞いていたので、さぞかし映画は膨らませたのだろうと思ったが、原作のイメージを損なわず、かつドラマチックに膨らませてあったので 映画は映画でよかったように思う。 個人的には夕餉が一番心に残った。 自分の心情に近い部分がいくつかあったからだと思う。 この短編集は、所謂ブルーカラーが多くでてくるが あとがきを読んで、元々はそれがテーマなのだと知り納得。 人の仕草や言動など、ふとしたことで「いいな」と思うものを 『風味』と表現しているところが面白い。 あとがきまで含めて、『まさに風味絶佳』で終わるところに この短編集が『風味絶佳』というタイトルで刊行されている意味を知る。 非常にまとまりのある、完成された作品で、 ここまで読み応えのある短編集は久しぶりに読んだように思った。
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日陰の労働ともとれる、肉体を駆使した仕事に就く人々にひっそりとスポットを当てて綴られるお話たち。 “肉体をつかう”というたくましい仕事とは対極に、まどろむような恋愛模様が滔々と。 いつものことながら、ああどうしたらこんなことばがうみだせるのだろう、とためいきものでした(´∀`)
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6つの「恋愛」をテーマにした短編集。 恋愛っていっても、「愛しているよ」とひたすら囁くようなベタベタラブラブしたものではなく、 愛しさ・狂気・支配欲…みたいなものが複雑に絡まっている感じがして面白かったな。 あと、男が皆肉体労働者という共通点はあるね。 とくに >夕...
6つの「恋愛」をテーマにした短編集。 恋愛っていっても、「愛しているよ」とひたすら囁くようなベタベタラブラブしたものではなく、 愛しさ・狂気・支配欲…みたいなものが複雑に絡まっている感じがして面白かったな。 あと、男が皆肉体労働者という共通点はあるね。 とくに >夕餉 夫のもとを飛び出して、清掃作業員の彼に料理を作ってあげる女の話。 好きな男のために料理をつくる、と聞くと(自分がやったことはないから)、なんて甲斐甲斐しいのだろう、と思うと同時に、自分と別次元の人に思えて仕方がない。 だが「私の作るおいしい料理は、彼の血や肉になり、私に戻ってくる」―最初にこの一文を読み、衝撃を受けたね。 「彼の体は私が作る」こういう思いで料理を作るひともいるのかと。 世の男が「俺の彼女or妻って健気だなぁ」と思って食事をしているその瞬間にも、彼の体は女に作られていき、その女に支配されていく…あぁ、男衆が哀れで仕方がないのう。 いやはや、料理=相手の肉体を支配という図式はこれっぽっちも頭になかったな。 彼に尽くしている、一生懸命な女の子のふりをして、胃袋、体の中から相手を支配する・・・やってみたくて仕方がないですなwと、共感してしまうのが女の怖さでもあるww 今のうちに料理能力を上げよう。 >風味絶佳 志郎の祖母は、70を超えた今もなお、現役の「女」である。 助手席には男を乗せるし、20代の女の子と「ガールズトーク」(言葉の響きは可愛いけれど、きっと男にきかせられないくらいえげつないのだろう)に花をさかせることができる。 つっかけでなくてミュールをはくところなど、立派な「女」だし、このおばあちゃんの個性が強くて面白い! 「1日に1度さみしいと思うことって、人を愛するこつだろう?」 意地っ張りで寂しがり屋な私に響いた言葉。 自分の弱さを正当化できるからという気がしないわけでもないけれどw 寂しくて弱いからこそ、ひとがいると安心するというか。 「たったひとりにだけ、いやといいは同じ意味になるんだよ」 嫌よ嫌よも好きのうち、とは言うけれど。 一度嫌っていってもそれでも男なら強引にいけー!! ただし2度めのいや=本当にいやかも…見極めが難しい。 「シュガー&スパイス。」 優しいだけの男はだめ!! 2年ほど前、高校の友達とこのネタで盛り上がったけれど、ここからきているのねー。思わず笑ったw テストステロン値の問題で、優しさとたくましさは両立しないというけれど、優しさの中にも厳しさはほしいよね。 甘いことしか言わないって、相手と本気で向き合っていない証拠だし。 小説ってやっぱり面白い。 自分にはない「感覚」が知れるから。 山田詠美、きっと魅力的なんだろうな。 恋多き女性らしいけれど、いつかこの人にご教授願いたいね。
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このタイトルを見ると、困ったことに映画の印象がとても強く、どうしてもエリカ様と柳楽優弥くん主演の映画のCMが頭に浮かんでしまいます(映画そのものは見てないんですが)。でも映画にはまったく関係なくそのうち読もうと思っていた作品でした。それがついこの間文庫化され、「おおそうだった、こ...
このタイトルを見ると、困ったことに映画の印象がとても強く、どうしてもエリカ様と柳楽優弥くん主演の映画のCMが頭に浮かんでしまいます(映画そのものは見てないんですが)。でも映画にはまったく関係なくそのうち読もうと思っていた作品でした。それがついこの間文庫化され、「おおそうだった、これ読みたいと思ってたんだ」と思い出し、図書館で借りたのでした。 文庫になったんだから買って読めって感じですが、最近金銭的にも、家の中の本のスペースもいよいよキツくなってきたので、もちろん本当は買って読みたいこと山の如しなんですが、迷わず「これは買おう!」と思うもの以外は、図書館にある本ならなるべく買わずに借りるよう心がけています。いくら安価な文庫といっても読みたいものを全部買っていくと莫大な金額になるもので……。 それで気付いたんですが、図書館で借りるとすぐ読むというのも大きな利点ですね。自分で買うと、すぐ読んじゃうのはなんとなくもったいない気がして寝かせておくことが多く、そのうちそのまま寝かせっぱなしになってしまったりもする。ところが図書館で借りると期限がありますから絶対そのときに読みます。だから積読防止にもなるし、さらに新刊を、文庫化を待たずしてタイムリーに読めるということもあるし、一石三鳥なんであります。借りて読んでも気に入ると買うこともありますけど。 さて、この本、短編集だったんですね。読むまで知りませんでした。「間食」、「夕餉」、「風味絶佳」、「海の庭」、「アトリエ」、「春眠」の6編が収録されております。わたしが借りた本は<水ぬれ>というシールを貼られ、背は剥がれかけ、中の紙はきれいに波打っていてチョット読みづらかったんですが、内容はどれもグッド。 山田詠美さんの作品は、高校生くらいのときに、確か『ぼくは勉強ができない』とか『放課後の音符』あたりを読んで、それ以来ずっと読んでいなくて、大人になってから『PAY DAY!!!』を読んだくらいでした。そして今、本書を読んだんですが、「あれ、この人こんなにうまかったけ」と思いました。正直、これまでは山田詠美さんの良さがわかっていませんでした。だからあまり読んでこなかったんだと思います。でもこれを今回読んで、初めてこの人の作品の魅力がわかったような気がします。 どの短編もほんとに良かったんですよねぇ。全部、甲乙つけがたいです。短編集なのにこの余韻。余韻なんてほとんど長編にしか感じないわたしには珍しいことです。なんだろう、なんか、心の弱い部分を突っつかれちゃった感じ。文字通り胸がギュッと締め付けられ、でもどことなくあったかくて安心感があって。本当の優しさって何だろう、という疑問に対する答えが、これを一冊読み終えた後に少しずつ見えてくるような。これを読むと人に優しくなれるような気がします。 ちなみに好きだと思った人物は、「間食」の寺内と、表題作「風味絶佳」のグランマ。映画ではグランマは誰が演じたんだろうと思ったら、夏木マリさんでした。本を読んだときのイメージとはちょっとずれてはいましたが、あーなるほどとすぐ納得できましたわ。 わたしが読んだのは単行本なので、最下行の書誌情報は単行本のものですが、リンクは文庫のが貼ってあります。 あーーー、キャラメル食べたい。それも森永ミルクキャラメル(ハイソフトも好きなんだけど)。今度買ってこよう。 読了日:2008年6月1日(日)
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6つの話が入った作品集。「アトリエ」という話のなかで、主人公が奥さんに『ゆんちゃん』と呼ばれて、『じゃあ、おれも麻子のこと、あーちゃんとか呼ぼうかな。ちっちゃい子供たちみたいで幸せな感じがする』っていうのが凄くいい!そこだけ凄く覚えていて、何がどう良いのか上手く言えないけど、その...
6つの話が入った作品集。「アトリエ」という話のなかで、主人公が奥さんに『ゆんちゃん』と呼ばれて、『じゃあ、おれも麻子のこと、あーちゃんとか呼ぼうかな。ちっちゃい子供たちみたいで幸せな感じがする』っていうのが凄くいい!そこだけ凄く覚えていて、何がどう良いのか上手く言えないけど、その雰囲気がすき。どの話も幸せだらけで、だけど結構身近に感じられると思う。
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丁寧に描かれるいとおしく甘かったり、 しっかりと苦かったりする、なまなましく軽やかな恋愛の断片。断片集。 話によって、というより、描かれている人物によって文体が変わる。文章きれい。 王道の純文学。独特の語彙とテンポが作り出すエイミーワールド。 「間食」 私は雄太のような男があま...
丁寧に描かれるいとおしく甘かったり、 しっかりと苦かったりする、なまなましく軽やかな恋愛の断片。断片集。 話によって、というより、描かれている人物によって文体が変わる。文章きれい。 王道の純文学。独特の語彙とテンポが作り出すエイミーワールド。 「間食」 私は雄太のような男があまり判らない。 だけどはじめてなるほど、と思った。かもしれない。共感はできないけど。 寺内との会話や、寺内の言葉がどれも素敵だった。 雄太のそばに寺内みたいなのがいてよかったなぁ、となんとなく思った。 「夕餉」 美々ちゃんのように幸福に正直で健気な生き方は素敵だ。 食べることが基本、というのもそう。 細かく丁寧に織り込まれている料理とゴミ分別の描写が楽しい。 ぺちゃんこになってしまった人が、単純だけど強い力で、 誰かを求めながら、自ら前を向いて立ち上がろうという話は 人間が持つ強さのような、ささやかでシンプルだけど とてもあたたかい感動を教えてくれるなぁ。 「風味絶佳」 表題作、これが一番好き。 テンポよくかわいく苦い、恋愛の真髄がぎゅっと詰まってる。 日本のお菓子、極上のミルクキャラメル。 少年少女が、初めて恋の甘さと苦さを知って一歩大人になる話は、 エイミーの十八番の一つだけど、どれも、にこにこしてきゅうとしてちょっとほろりとする。 グランマ、夏木マリだったんだね。ぴったりすぎ! 顔を思い出したくも無い人の顔を、いくつか思い出してしまった。 「海の庭」 変な言い方なのは承知で言うけど、ものすごいレベルの高い恋愛の描写だと思った。 大人の初恋のやりなおし。少女の目を通しているところが、絶妙。 もう海からは随分離れた場所で、 濡れた砂が太陽で乾いてぱらぱらと腕から落ちていく感触を思い出す。 「アトリエ」 おおお、怖い。怖かった。愛情が作るもの・こわすもの。 愛しいのも優しいのも温めるのも暖かいのも、二人の世界に篭ると 歪んでも気付かないのかな。アトリエ。 山田詠美のですます調の文章が凄い好きだから、文章は一番好き。 「春眠」 生きることと恋は同意ではないけれど 恋をすると、生きることが別の意味をもつよなぁ、と思った話。 かわいい。切ない。最後にこの話を持ってきたのはすごいなぁ。
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