そして粛清の扉を の商品レビュー
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サスペンス系のエンターティメントとしては非常に秀逸。緊張感の続く映画のように、時間を忘れて読ませてくれる。 散々評されている通り、バトルロワイヤルを彷彿させるが、扱っているテーマとしては本作品の方が考えさせられる。実のところ、現代社会が直面している現実の問題が元になっているからだ。 本作品が徹底的に演出している「被害者の報復」については、解説にも書かれている通り、現実には肯定されない。なぜ、どう見ても加害者側に救いようのない悪意があるとしても、報復は「やってはいけない」ことなのか? それが単に倫理とか良識の問題であるなら、個人的には糞食らえだと思う。だが、恐らく、報復を許す社会は、ゲーム理論的に不安定であるという意味で実害があるのだ。報復の容認によって、軽率な故意の犯罪を完全に阻止できるのなら良い。しかし、人間が何千万人も集まると、どんなに厳しい罰則にも関わらず、必ず違反者は現れる。一人でも悪者がいると、報復は拡散し、世界全体が血みどろになる。無関係に巻き添えになる人も必ず出てくる。規模が大きくなると戦争を肯定することになる。結果として、自分や自分の愛する人が却って脅かされる世界になってしまうのだ。 多種・多様な人が共に生きるということの本質的な困難さを、改めて考えさせられた。
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解説にもあるが、映画のような構成で、数時間楽しめる作品だった。 所々人物の動作につく美化するような表現が気になった。 スカッとするか、胸くそ悪くなるか、一読あれ。
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「バトルロワイヤル」のような、「告白」のような。 卒業式の前日、学校をジャックした女教師。妹の復讐だとはすぐにわかるが、どうして?何がしたいの?とどんどん読み進めたくなる。 こんなろくでもないクラスってあるのかは、おいといて。
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予備知識無しで読みました。 個人的には好きです。 ん~。終わり方が気になる。 続編があるのかしら?
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夢中で読んでしまったw 中年の女性教師が1ヶ月やそこらで ここまで戦闘力が上がるのは無理がありますし クラス全員が凶悪すぎます それでも、引き込まれて読めたので楽しかった 内容は恐ろしい内容ですけどね
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第一回ホラーサスペンス大賞受賞作。 学級崩壊している3年D組。卒業式を明日に控え、珍しく生徒が勢揃いはしていたが・・・担任である近藤亜矢子の話など誰も聞いてはいない。しかしながら、今日の近藤は何かが違うということを数人は感じ取っていた。そしてその通り、亜矢子は教壇に立つと突然...
第一回ホラーサスペンス大賞受賞作。 学級崩壊している3年D組。卒業式を明日に控え、珍しく生徒が勢揃いはしていたが・・・担任である近藤亜矢子の話など誰も聞いてはいない。しかしながら、今日の近藤は何かが違うということを数人は感じ取っていた。そしてその通り、亜矢子は教壇に立つと突然、サバイバルナイフを見せびらかし「あなた達は人質なんです」と言い放ったのだ。 これは確かにかなりの問題作・・・というか、ホラーだったんだと読み終えてから知った(^^;これでもか!というくらい人が死ぬ。ナイフと死体と銃と血のオンパレード。根底にあるのは自分の娘を殺された復讐なのだけれど、少年犯罪や今の世の中(特に学校問題や保護者に対して)に対する恨みつらみが山ほど。「告白」+「悪の経典」÷2という感じかなぁ。一教師がいきなりそこまで銃を扱えるわけがないとか、生徒全員が犯罪者の集まりで誰一人捕まっていないのがおかしすぎるとか、警察が無能すぎるとか、そういう数々のありえないことに目をつぶれて学校や教師が嫌いな人なら、先の読めない展開に最後までグイグイ読める、きっと。保護者達の扱いが中途半端だったのが心残り。暴力団組長、何かしでかすと思っていたんだけれど。
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テーマ、展開がシンプルで分かりやすいので、リーダビリティは非常に高い。 おそらく誰もが多かれ少なかれ心の裡に内包しているであろう、嗜虐性を刺激してくるあたりが背徳的な悦びにもつながりそうで、そういう意味ではなかなかスパイシーな作品だと思うが、深みはない。 マンガチックにデフォルメ...
テーマ、展開がシンプルで分かりやすいので、リーダビリティは非常に高い。 おそらく誰もが多かれ少なかれ心の裡に内包しているであろう、嗜虐性を刺激してくるあたりが背徳的な悦びにもつながりそうで、そういう意味ではなかなかスパイシーな作品だと思うが、深みはない。 マンガチックにデフォルメされすぎた感のある悪ガキたちが小説のリアリティを惜しくも損ないがちで、物語終盤には若干ミステリー的な要素も示されるものの、全体的に薄い。 敢えて、なのかどうかは分からないが、大映ドラマでおなじみ芥川隆行の声がピタリとハマるかのようなナレーション調の状況描写も、個人的にはどうも興趣を殺ぐ方向に作用してしまっているのではないか、という感じがした。
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冒頭から、バサバサ殺しすぎでしょぉ。 しかも、強すぎる主人公、、、。 最初の方、謎やった。 生徒達が行ってきた悪行と愛する人を奪われた為の復讐。 単独犯やと思って読み進めていったら、意外な裏切り、、、。 もぉ、見事としか言いようがない。 まさか、あの子まで共犯やとは、、、。 驚き...
冒頭から、バサバサ殺しすぎでしょぉ。 しかも、強すぎる主人公、、、。 最初の方、謎やった。 生徒達が行ってきた悪行と愛する人を奪われた為の復讐。 単独犯やと思って読み進めていったら、意外な裏切り、、、。 もぉ、見事としか言いようがない。 まさか、あの子まで共犯やとは、、、。 驚き、、、。
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「バトル・ロワイヤル」が文字通りバトルロイヤルなのに対して、「そして粛清の扉を」は教師一人vsクラスの生徒全員+警察です。教師の圧倒的不利のように思えるけど、この教師なかなか手ごわいです。 一気に読めました。
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最愛の一人娘を事故死させられた女性教師流の復讐劇。教室ハイジャック、刺殺、銃殺、地雷、身代金要求・・・。超綿密に練られた犯罪計画の背後にあるものとは。 すさまじい数の人間が死ぬ。こんなにバタバタとノンストップに人が殺される小説は、珍しい。だが、意外にも読了後は爽快。亜矢子が犯し...
最愛の一人娘を事故死させられた女性教師流の復讐劇。教室ハイジャック、刺殺、銃殺、地雷、身代金要求・・・。超綿密に練られた犯罪計画の背後にあるものとは。 すさまじい数の人間が死ぬ。こんなにバタバタとノンストップに人が殺される小説は、珍しい。だが、意外にも読了後は爽快。亜矢子が犯した事件は、実際には到底許されるべきものではない程恐ろしい犯罪だが、このようなリベンジが企てられてもおかしくない現実社会も同等におぞましい存在に違いない。
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