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逝きし世の面影 の商品レビュー

4.2

140件のお客様レビュー

  1. 5つ

    54

  2. 4つ

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  3. 3つ

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文庫化前から評判のよ…

文庫化前から評判のよい本で、文庫化されたときにはメディアでも取り上げられていました。近代化によって滅んでしまったひとつの『文明』としての日本の姿を、外国人の記録などの史料をもちいて再現しようとした労作です。分厚いですが、とても読みやすい本です。

文庫OFF

明治の御一新はたしか…

明治の御一新はたしかに得るものは大きかつたが、同時に失ふものもまた大きかつた。古き良き日本といふ概念は我々は聞くことがある。しかしそれの具体例となると思い浮かべることは至難である。この『逝きし世の面影』は外国人がみた美しき日本の姿を緻密に丁寧に追つて行く。

文庫OFF

2024/06/15

幕末から明治初期に来日した外国人の視線を通して、江戸時代後期に存在し、失われつつあった文明の姿を描こうという一冊。 欧米由来の「近代化」によって日本の精神世界が変質したこと、特に「ヒューマニズム=人間中心主義」の導入による変化を描く終盤はとりわけ興味深い。たとえば「東海道中膝栗毛...

幕末から明治初期に来日した外国人の視線を通して、江戸時代後期に存在し、失われつつあった文明の姿を描こうという一冊。 欧米由来の「近代化」によって日本の精神世界が変質したこと、特に「ヒューマニズム=人間中心主義」の導入による変化を描く終盤はとりわけ興味深い。たとえば「東海道中膝栗毛」を例にとって、現代社会から見て江戸時代の人々の精神性が異質であることを示す部分など。 そこまで読み進めればかなり興味深いのだが、前半は「外国人が日本で驚いたこと」のまとめサイトみたいな記述が多くて退屈である。 著者は「失われた文明」と、ベースにある文化を区別して論じているというのだが、その区別は私には不分明に見えるので、そのような感想になる。 著者自身は「私の一貫した主題が現代という人類社会の特殊なありように落ち着かぬ自分の心であった」「私の関心は自分の『祖国』を誇ることにはなかった。」と書いて(平凡社ライブラリー版 あとがき)、この本が呼び起こした反応に対する違和感を表明しているけど、この本の書き方だとそういう反応(日本賛美的な?)を喚起するのも無理はないと思う。

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2024/04/17

江戸から明治初期の日本を旅した外国人から見た日本の姿をその人たちの言葉を集めて伝える歴史書。 人物の紹介→コメントの繰り返しで忙しい年度末の仕事の忙しさもあいまって全然進まず、半分でアウト…。 負けたみたいで悔しいが、私には合わないということで次の本に進みます。

Posted byブクログ

2024/04/05

開国後に訪日した外国人の書き記した文献や絵画から当時の日本を眺めることができます。 現代の日本人はストレス過多で、人の目を気にして自分の気持ちを押し殺しながら日々の糧のために生きていると感じているのですが、 この本に書かれた日本人は愛嬌があり寛容で働きながらも祭りや季節の行事を...

開国後に訪日した外国人の書き記した文献や絵画から当時の日本を眺めることができます。 現代の日本人はストレス過多で、人の目を気にして自分の気持ちを押し殺しながら日々の糧のために生きていると感じているのですが、 この本に書かれた日本人は愛嬌があり寛容で働きながらも祭りや季節の行事を楽しんでいて、何やら違う民族の話を聞いてるような感覚になります。 けれども、本来そう言った気質があったということは、現代日本人にも素質はあるのではないか?と希望を見出せるのではないでしょうか。 困難なことでもその中から独特な発想で解決を導き出したり、遊びが好きな気質などがそれに当たるかと。 昔に戻ることはできませんが、目指すことはできます。過去称賛ではなく、良いものに目を向けそれを伸ばしていく。本書からはそんなきっかけが得られるかもしれません。

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2023/12/26

2005年、平凡社ライブラリー。 元は1995年から週刊エコノミストに連載されたもので著者は熊本在住、市井の研究者だという。 幕末明治の外国人による日本見聞記を邦訳、原著も含めて広く渉猟し、当時の日本人、とくに庶民の人と暮らしそして社会を描きだたもの。 良いことばかりではないこ...

2005年、平凡社ライブラリー。 元は1995年から週刊エコノミストに連載されたもので著者は熊本在住、市井の研究者だという。 幕末明治の外国人による日本見聞記を邦訳、原著も含めて広く渉猟し、当時の日本人、とくに庶民の人と暮らしそして社会を描きだたもの。 良いことばかりではないことを意識しつつ、いかに平穏で美しく豊かな社会であったか。それは一つの文明であったとし、自身もその時代に生きたかったと。テーマに分け14章に描き出す。 章立ては次の通り。第1章ある文明の幻影、第2章陽気な人びと、第3章簡素とゆたかさ、第4章親和と礼節、第5章雑多と充溢、第6章労働と身体、第7章自由と身分、第8章裸体と性、第9章女の位相、第10章子どもの楽園、第11章風景とコスモス、第12章生類とコスモス、第13章信仰と祭、第14章心の垣根。 とても良い本だとおもうが、巻末の解説が、戦後の左翼インテリが云々と無関係に述べ、せっかくの清涼な読後感を台無しにしている。

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2023/08/28

膨大な外国人から見た幕末から明治の変革期の日本人のありようの資料から、現代の日本人が失った子供のような無邪気な好奇心、他者との垣根の低さ、情熱、身体の逞しさなどが伝わり、文明とは時代と共に移り変わる部分もあることが生き生きと伝わってきた。個を大事にする文化が明治以降に入ってきて、...

膨大な外国人から見た幕末から明治の変革期の日本人のありようの資料から、現代の日本人が失った子供のような無邪気な好奇心、他者との垣根の低さ、情熱、身体の逞しさなどが伝わり、文明とは時代と共に移り変わる部分もあることが生き生きと伝わってきた。個を大事にする文化が明治以降に入ってきて、良い面もたくさんある反面、失われた生命力とでもいうか、素朴な生きる力があったのだと気付かされ、現代を振り返って見ると若者の自死の増加など複雑な想いが湧く。

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2023/06/24

渡辺京二は亡くなったときも、熊本日日新聞に「小さきものの近代」を連載中だった。92歳だった。ずっと気になりながら積読だった本を、哀悼の意を表して読んだ。幕末から明治初頭、西洋人は日本に来て何を感じたのか。百以上の文献をもとに感想をありのままに紹介している。そんなに昔は良かったのか...

渡辺京二は亡くなったときも、熊本日日新聞に「小さきものの近代」を連載中だった。92歳だった。ずっと気になりながら積読だった本を、哀悼の意を表して読んだ。幕末から明治初頭、西洋人は日本に来て何を感じたのか。百以上の文献をもとに感想をありのままに紹介している。そんなに昔は良かったのかという反論も承知の上で、本人はことさら江戸時代を美化しているわけではない。それでも『幻のえにし』では、「江戸時代は情があり、日本人はみな機嫌がよかったのよ。お互い気を使って、いかにしてこの世から不愉快なことを減らそうかとしていて、西洋人がびっくりした くらいだったのよ。」と語っている。日本人のもっとも芳しい精神が逝ってしまったのだ。う~む。宿題を残してくれましたね。 (Recommended by Satsuki Tanaka)

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2023/05/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

江戸から明治期に日本を訪れた外国人が日本に関して著した書物を、テーマごとに紹介する。 もっとも、単に外国人の日本評を紹介するだけではなく、日本の知識人にありがちな文明開化以前の日本に関する否定的な評価に対する批判や、オリエンタリズム批判に対する批判を目的としている。 知識人の文章にありがちな、冗長で過剰な表現や比喩がやや鼻につく。

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2023/05/03

江戸時代の日本の文明について書かれた本。前近代が近代に移行する直前の爛熟した文明について、当時の外国人の記述など資料を紐解きつつ解説している。現代の我々とは地続きでありつつも異質であり、当時の異邦人のように江戸文化を楽しめる本である。現代人の忘れてしまった人間らしい生き方を教えて...

江戸時代の日本の文明について書かれた本。前近代が近代に移行する直前の爛熟した文明について、当時の外国人の記述など資料を紐解きつつ解説している。現代の我々とは地続きでありつつも異質であり、当時の異邦人のように江戸文化を楽しめる本である。現代人の忘れてしまった人間らしい生き方を教えてくれるところもあり、示唆に富んだ本である。

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