だれが「本」を殺すのか(下) の商品レビュー
上巻にも増して、良書信仰のようなものがぷんぷん感じられて、だんだん読むのがつらくなった。取材相手に対しての不満点は具体的で感じの悪い書き方だけど、じゃあどうすべきなのかとかがほとんど書かれていないのもアンフェアに感じる。ルポだからそれが当たり前なんだろうけど。
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上巻のレビューでは本の中身に触れていなかったので、ここで書いてみよう。 小さい頃から、注文した本がなかなか到着しないのに辟易していた(2週間で来れば早い方だったものね‥‥)。書店での品揃えには全く期待が持てなかったし、最近はぶらりと本屋で本を探すことなどしなくなってしまった(...
上巻のレビューでは本の中身に触れていなかったので、ここで書いてみよう。 小さい頃から、注文した本がなかなか到着しないのに辟易していた(2週間で来れば早い方だったものね‥‥)。書店での品揃えには全く期待が持てなかったし、最近はぶらりと本屋で本を探すことなどしなくなってしまった(置いてない本を探したって無駄足だもんね)。オンラインの書店・在庫検索(池袋ジュンク堂)に飛びついて、その便利さを享受しているのが今の私なのである。もちろん買う前に、まず図書館で借りて内容に探りを入れているのだが(そうクソもミソも一緒に買えるかいな)。 それはともかく、上のような“書店”観を持っている私には、この本で描き出された業界の実態は成程と思わせるような内容だった。私が感じてたことを裏づけているじゃないかと。そして、そんな自業自得の「出版不況」を図書館やブックオフの責任にするんじゃねえ! ‥‥とも、出版業界への月並みな批判をひとつ書いておこう。 「本」を殺すのは、日本人全体(つまり読者)の問題も関係している。すなわち文化に対してどう接するのかということ。実は「本」と同じような文化的危機が他にも進行しているとしか思えないところがあるのだ。本もダメ、音楽もダメ、映画もダメ、アニメもテレビ番組もダメ‥‥てなことになったら、日本に残ってる文化は何なのよって。日本語は? 社会常識は? 余談──本の中では佐野眞一氏の個人的見解も多く含まれており(特にそれは「本」の内容・価値に関することが多い)、それ全てに賛成することは出来ない。私は「本」以外の芸術(音楽・映画など)をこよなく愛する者であり、そうした多くの芸術に接するには絶対的価値など存在しえないことを知る必要があるからだ。「本」が人の成長に不可欠であることを認めつつも、私は「本」だけ読んでいれば充分などという幻想を抱くことは出来ない。
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