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ペルシャ湾の軍艦旗 の商品レビュー

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2017/08/18

「クウェートの油田を俺のものにしてやる」と思ったかは定かではないが、 1990年8月1日、今は亡きサダム・フセインのイラクは隣国クウェートへ の侵攻を開始した。 湾岸戦争の幕開けである。戦争自体は多国籍軍のイラクへの爆撃 「砂漠の嵐作戦」や「砂漠の剣作戦」が功を奏して、あっけな...

「クウェートの油田を俺のものにしてやる」と思ったかは定かではないが、 1990年8月1日、今は亡きサダム・フセインのイラクは隣国クウェートへ の侵攻を開始した。 湾岸戦争の幕開けである。戦争自体は多国籍軍のイラクへの爆撃 「砂漠の嵐作戦」や「砂漠の剣作戦」が功を奏して、あっけない速さ で収束した。 この湾岸戦争中、「金は出しても人は出さない」と言われて非難された のが我が日本国である。うぅ…国民一人あたり1万円になる金額を 多国籍軍に拠出したのに…。あ、アメリカはこれをひとり占めしようと したんだぞ…ブツブツ。 さて、戦争終結後である。お金を出したのにクウェートの「サンクス・ リスト」にも載せてもらえなかった日本。多国籍軍に参加した国々 からも冷たい視線を受ける。 そこで日本政府は決断した。そうだ、自衛隊だ。建前上、軍隊じゃない から戦闘行動には参加させることは出来なかったけれど、戦後復興の お手伝いなら出来るっ! とうに記憶から消えかかっている当時の海部内閣は決断した。イラクが ペルシャ湾にばらまいた機雷除去作業に従事させよう。だって、日本は 中東にエネルギーを依存しているのだも。ペルシャ湾を綺麗にしておか ないと、日本のタンカーも危険な目に遭うし、「お前らもなんかしろよ」って 騒いでいる他の国々を抑えられるかもしれない。よ~し、決めたっ! 本書は、海上自衛隊の掃海部隊がペルシャ湾での機雷除去作業を 追ったドキュメントである。 遠洋航海以外では初となる海外派遣である。訓練では勿論行っている ことだが、実践となるとプロ集団もいささか勝手が違う。機雷がないに 越したことはないのだが、仲間の掃海艇が既に発見しているのに、 自分の掃海艇だけがひとつも発見出来ないことに焦りを見せる 艇長がいる。 気温の高いなかでの長時間の作業、加えてイラクが火を付けた 油田からの煤煙。隊員たちを悩ませたのはそれだけではない。 ペルシャ湾のハエと蚊は、ちょっとやそっとじゃ死んでくれない。 ハエ叩きとハエ取り紙の需要が高かったって…。大変だったんだ ろうなぁ。 こんなこぼれ話ばかりではなく、きちんと自衛隊の行動の記録を 追い、隊員たちへのインタビューも豊富だ。 読みようによっては自衛隊礼賛と受け取れるけれど、こういった 活動が国際社会で評価される基準になるんだろうな。 尚、「サンクス・リスト」に日本を入れてくれなかったクウェート だが、東日本大震災の際には無償で原油を提供してくれて いる。有難う。

Posted byブクログ