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人類がたどってきた道 の商品レビュー

4.3

13件のお客様レビュー

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2024/05/17

20年前の本なので、いまではもっとわかっていることも多いかも。でも読んでいて楽しい本だ。 同じ著者の本で、2022年に出版された新書があるので、先にその本を読むべきかも。 ホモ・サピエンスの最も重要な特徴 「世代を超えて知識を蓄積し、祖先から受け継いできた文化を創造的に発展させ...

20年前の本なので、いまではもっとわかっていることも多いかも。でも読んでいて楽しい本だ。 同じ著者の本で、2022年に出版された新書があるので、先にその本を読むべきかも。 ホモ・サピエンスの最も重要な特徴 「世代を超えて知識を蓄積し、祖先から受け継いできた文化を創造的に発展させていく能力」p.8 「私たちは集団として、五万年以上の時をかけて現在の高度産業社会を築いてきたが、現代の個人は五万年分の知識の多くを一生の間に学ぶことができる。私たちの知的潜在能力とは、それだけ奥深くかつ柔軟なものなのだ。」p.8 「アフリカ起源説は、世界中のすべての現代人の起源は、20万~5万年ほど前のアフリカにあるとする。厳密に広いアフリカの中のどこで誕生したのかはまだ明らかでない。しかしいずれにせよ、私たちの共通祖先が約20万年前にアフリカの旧人から進化し、その後しばらくしてから世界中へ広がった結果、各地の現代人集団が成立したのだ。」p.40

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2021/12/05

さすが考古学、時間の軸がとてつもなく長い。何万年、何十万年という単位で語られる。発掘物がどれくらい前のものなのかを測る測定法の進歩によってもその年代はずれてくるもののようだが、2万年前と思われていたものが実は20万年前の物だった、と言われてもピンと来ない。もはや、1万年を越えると...

さすが考古学、時間の軸がとてつもなく長い。何万年、何十万年という単位で語られる。発掘物がどれくらい前のものなのかを測る測定法の進歩によってもその年代はずれてくるもののようだが、2万年前と思われていたものが実は20万年前の物だった、と言われてもピンと来ない。もはや、1万年を越えるといつでも同じに思えてしまうw環境の変化と食料入手の都合と思われる定住地からの移動も千年単位のようだ。 そんな大昔の人類がそれぞれの時代でどのように過ごしてきたかが、数々の発掘物から推測される。現代のように電機もガスも機械類もないなかで作られる道具、装飾品、絵などからは「原始的で文明も知能も現代人よりはるかに劣る」などとは思えず、自分が思う以上に高度な知識も文化的価値観もあったのではと思わされる。

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2020/03/21

とても良い本。人類史を学ぶ際、最初に読みたい。私たちはそういえば人種ということばに惑わされがちだが、じつはみなホモサピエンスであること。「知の遺産仮説」に基づいて描かれる各地域のホモサピエンス拡散史は、ホモサピエンスが環境にあわせて考えて文化を創造、伝承できたからだという指摘は重...

とても良い本。人類史を学ぶ際、最初に読みたい。私たちはそういえば人種ということばに惑わされがちだが、じつはみなホモサピエンスであること。「知の遺産仮説」に基づいて描かれる各地域のホモサピエンス拡散史は、ホモサピエンスが環境にあわせて考えて文化を創造、伝承できたからだという指摘は重要である。現代人と変わらない知性をもったかれらの活動はとても魅力的に描かれる。 ホモフローレンシスとかは知らなかったので参考になったし、日本の旧石器時代の摩製石斧など勉強になった。

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2021/01/05

この人は書ける。ダイヤモンドの『銃・病源菌・鉄』のおもしろさ。 全体に禁欲的で好感がもてるが、人種っていうかエスニックグループの「誇り」のようなものに言及しすぎているのがちょっと気になる。

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2016/03/06

https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000910282005.html

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2014/05/26

ホモ・サピエンスがチンパンジーと共通の祖先から分かれ世界中に拡散していく過程。 たくさんの研究者たちが、発見された遺跡から「人類がたどってきた道」を丁寧に、慎重に、考察していく様が書かれています。 ぜひ世界地図を広げながら読んでいただきたいです。

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2012/02/22

ホモサピ以外の人類の文化から始めて、文明以前の人類の足跡をたどる話。 前回読んだのは、NHKの取材班の書いたものだったのだけど、これは専門家の書いたもの。さすが本職、本当に見識が広いし、何しろテレビ用にテーマに寄せたりみたいなことはないので、公平に幅広く書いてあるところが好奇心を...

ホモサピ以外の人類の文化から始めて、文明以前の人類の足跡をたどる話。 前回読んだのは、NHKの取材班の書いたものだったのだけど、これは専門家の書いたもの。さすが本職、本当に見識が広いし、何しろテレビ用にテーマに寄せたりみたいなことはないので、公平に幅広く書いてあるところが好奇心をいい感じに満たしてくれて大変良かった。 でも素人には地理と年代が分かりづらいので、もうちょっと図が親切だといいかな。 この筆者は全世界の人類の足跡を辿りつつ、骨子としては旧石器時代のホモサピだからって、いまと何か劣ってるとかそういうことはないんだ、と力説している。むしろ、能力も考えることもやることも、根本的には全く現代人と変わらなかった。そのうえで、ホモサピだけが持つ特殊能力として、発明を積み重ねる、世代を超えて伝承する、文化を作る、ということがあって、5万年の積み重ねの現代がある。確かに、びっくりするような美しい石器の写真なんかを見ると、人間ってあんまり変わらないんだな、と思った。 地球各地で大型の動物を絶滅させるとか、もしかするとネアンデルタール人もかも・・・というように、ホモサピはアフリカを出てからこっち、地球上で他の生き物とまるで違う、圧倒的な影響力を持ってきた。偶然なのかなんなのか、こんな生き物がいるってこと自体、すごく不思議な気がする。。。自分のことながら。

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2012/01/12

歴史の及ばない時代を「大昔」とひとからげにせず、解きほぐしてくれる本。これに人生を掛ける人にはなれないので、たまに教えてもらえれば満足。

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2011/06/12
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

[ 内容 ] 人間の創造性の根源を解き明かす。 文明を築き、ロボットや宇宙旅行までも可能にする私たちの創造性。 この能力ゆえに私たちの文化は発展し、多様化した。 世界各地で進められている遺跡調査から、今、私たちの創造性の起源が見えてきつつある。 私たちの種、ホモ・サピエンスのアフリカにおける進化、そして5万年前に始まった祖先たちの世界拡散という人類最大のドラマを、最新の研究成果に基づいて鮮やかに描出、私たちの由来と、多様な地域文化の成立を解き明かす気鋭の労作。 [ 目次 ] 第1章 ホモ・サピエンス以前 第2章 ホモ・サピエンスの故郷はどこか 第3章 ブロンボス洞窟の衝撃―アフリカで何が起こったのか 第4章 大拡散の時代 第5章 クロマニョン人の文化の爆発―西ユーラシア 第6章 人類拡散史のミッシング・リンク―東ユーラシア 第7章 海を越えたホモ・サピエンス―ニア・オセアニア 第8章 未踏の北の大地へ―北ユーラシア 第9章 一万年前のフロンティア―アメリカ 第10章 予期しなかった大躍進―農耕と文明の起源 第11章 もう一つの拡散の舞台―リモート・オセアニア [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]

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2010/05/17

本書は,ホモ・サピエンスが世界の陸地に拡散していったようすを,自然人類学の成果に基いて描いています。猿人がチンパンジーから分かれたのは 600万年前,猿人から原人が分かれたのは200万年前。そしてホモ・サピエンスがアフリカ大陸のどこかで原人から分かれたのは,20万年ないし5万年前...

本書は,ホモ・サピエンスが世界の陸地に拡散していったようすを,自然人類学の成果に基いて描いています。猿人がチンパンジーから分かれたのは 600万年前,猿人から原人が分かれたのは200万年前。そしてホモ・サピエンスがアフリカ大陸のどこかで原人から分かれたのは,20万年ないし5万年前だそうです。その後,ホモ・サピエンスの一部はアフリカ大陸を出てユーラシア大陸へ向かい,西へ行った連中はクロマニョン人になりました。東に行った連中はモンゴロイドになり,さらにその一部は船でオセアニアに渡り,別の一部はアメリカ大陸へ進みました。 著者は,拡散中のホモ・サピエンスを,わたしたちの同時代人と同等の知性を備えた人間であると見なしています。わたしは古人類についてあまり考えたことがなかったので,アフリカ大陸を出たばかりのホモ・サピエンスといえば,毛むくじゃらで毛皮を着て棍棒を手に「う」とか「あ」とか言ってるという先入観がありましたが,本書によれば,それはまちがいのようです。本書のあと,小林登志子『シュメル』(2005,中公新書)を読んでますと,紀元前八千年代(約1万年前)のイラクの遺跡から,交易の記録に用いられたと思われるトークン(粘土球)が発見されるそうです。交易を記録してるとなると,そこらのサルとは一味も二味も違います。それが1万年前ということですから,ホモ・サピエンスは,6万年ないし5万年前にアフリカ大陸を出た時点で,言葉を話しちょっとした算数ができたかもしれません。ヒゲはどうしてたんでしょうか。本書には,国立科学博物館に常設展示されている,先史時代のホモ・サピエンスの想像復元像が掲載されてますが,その男たちにはヒゲが生えていません。石器で剃れたんでしょうか。 まあ,おもしろい本でした。 ただ,ちょっとした疑問点が残りました。たとえば,こんなくだりです。 ■■■■■ ホモ・サピエンスは,ほかの動物たちとは違い,分布域を広げながらいくつかの種に分化することがなかった。自然環境の異なる新しい土地へ進出するに当たって,身体構造の生物学的進化を待たずに,文化的手段をもって適応できたのである。確かに世界各地へ散った集団は,暮らしている土地に適するよう,身体形質を多少特殊化させた(本書ではそのような例として北方モンゴロイドとポリネシア人について説明した)。しかしそうした特殊化は,程度がわずかで種分化するほどでなかったというだけでなく,第八章でも述べたように,必ずしも拡散当初に起こったものではない。(pp313-314) ■■■■■ 「世界各地へ散った集団は,暮らしている土地に適するよう,身体形質を多少特殊化させた」というくだりは,なにかの比喩であろうとわたしは思います。文字通りに読むと,このくだりは,獲得形質が遺伝されると言っていることになるからです。上の引用部分で記されているように,著者は本書の別の箇所で,北方モンゴロイドとポリネシア人との形質がそれぞれの環境に適していると書いています。北方モンゴロイドについてのくだりは疑問なく読めましたが,ポリネシア人についてのくだりで,わたしは些細なわだかまりを感じていました。 ■■■■■ ポリネシアの人々は概して大柄で筋肉質だ。これまでにたびたび説明したように,熱帯地方では体熱の放散を促進するため,ふつう細身になる傾向があるので,ポリネシア人の体型の進化には,別の特異な背景因子が働いたと考えられる。逆説的だが,その因子は長距離航海中の寒さだというのが一般的な見方だ。熱帯とは言え,海上に出ると気温はぐっと下がる。その上,船の上ではどうしても水しぶきを浴びるので,寒さはかなりのものになる。ニュージーランドの形質人類学者ホートンは,ポリネシア人は熱の発生源である筋肉の量を増やし,かつ大柄になることで,この寒さに適応したのだと考えている。(p304) ■■■■■ このくだりもまた,読もうと思えば,獲得形質が遺伝されると言っているように読めます。しかし,獲得形質は遺伝されませんから,このくだりは,正確には,「大柄でもなく筋肉質でもない者たちは航海中に死亡して,たまたま大柄で筋肉質であった一部の者だけが航海に成功して子孫を残した」と言っているのであろうとわたしは思います。そんなことを言うのは面倒なので上のような表現になったということは理解できますが──たとえば原子力発電を推進する人々が「プルトニウムを燃やす」と言うとき,それが「酸素と結びつける」という意味であると思うひとはいません──,本書は一般向けの本であるだけに,無用の誤解を招く表現が二回も出てくるのはいかがなものかと思いました。

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