獏園 の商品レビュー
高丘親王が若干アレな東南アジア諸国を経めぐってどっかへ行く話の一つのピックアップ。 六十過ぎたぢい様がお供を引き連れて、寝ると美魔女がちんちん弄ひながらぞくぞくする話をしてくれる昔の夢をと言ふ話の中で、1970年代の、どっかの家で、TVでは西遊記とかやってて、婆ちゃんとガキが炬...
高丘親王が若干アレな東南アジア諸国を経めぐってどっかへ行く話の一つのピックアップ。 六十過ぎたぢい様がお供を引き連れて、寝ると美魔女がちんちん弄ひながらぞくぞくする話をしてくれる昔の夢をと言ふ話の中で、1970年代の、どっかの家で、TVでは西遊記とかやってて、婆ちゃんとガキが炬燵に入ってる絵を見せられると謎の納得感が出る。 他、結構面白い。
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ホラー・ドラコニア少女小説集成、巻の5。最終巻です。 澁澤龍彦の小説「高丘親王航海記」の中の一章「獏園」。 高丘親王は実在の人物であり、それをモデルに書かれたお話である。 時は平安時代初期。……遠い昔に学校の歴史の授業で習った覚えのある「薬子の変」に関わるひとびとが出て来る。 ...
ホラー・ドラコニア少女小説集成、巻の5。最終巻です。 澁澤龍彦の小説「高丘親王航海記」の中の一章「獏園」。 高丘親王は実在の人物であり、それをモデルに書かれたお話である。 時は平安時代初期。……遠い昔に学校の歴史の授業で習った覚えのある「薬子の変」に関わるひとびとが出て来る。 騒乱にその名前をつけられた藤原薬子は平城上皇の愛妾であった。この事件により出家した上皇の第三王子が高丘親王である。彼もまた仏門にはいり、空海の高弟となった。 そして六十七歳になった高丘親王は、865年に中国の広州の港から、ともを3人連れて天竺を目指し出発した。これは史実どおり。 幻想的小説「高丘親王航海記」はここから幕をあける。 スウィフトの「ガリバー旅行記」のように、異国をめぐりつぎつぎと不思議で奇妙な体験をする高丘親王一行。 ときには大蟻食い(オオアリクイ)と会話をし、ときには犬頭人に出くわし、またときには蜜人採りに出かけて空を飛ぶ。 あまりにも頓狂なできごとばかりで、いっそユーモラスに思えるところもガリバー的だ。そして笑ってばかりいられぬ所も。 獏園は動物園の一角の獏舎のようなものだが、そこは特別の目的のために重要視されている場所であった。 憂鬱症の王女の治療のため、よい夢を食った獏の肉を用意しなければならないからだ。 「わるい夢はとんと見たことがありませぬ」という高丘親王は、獏によい夢を食わせるため獏園に連れてこられる。 そして獏園で王女をかいま見た親王は、なんとも奇妙なものを見ることになる。 この少女小説集成の中でも格段の、目もくらむような妖しい少女愛のシチュエーションが展開する。 そんな強烈なシーンがあればこそ、物語の一部分であるこの一冊「獏園」だけ味わっても楽しめるとは思う。 しかし、この少女に重ねられたイメージが「薬子」であることが重要なのは、「高丘親王航海記」を最初から読めばわかるはずなのだ。 親王は父・上皇の愛人である薬子と幼少時、親密な時間を過ごした。(たぶん澁澤設定) 親王にとって薬子は、母であり、永遠に結ばれぬ恋人であり、自分のためだけに存在する少女であり…それを親王が自分の中から汲み上げていく様が旅先の情景と重ねあわされていくのだ。 母、肉体を超越した恋人、自分のために存在する少女、これらのモチーフは澁澤龍彦が好んで取り上げるテーマと重なる。 これらのテーマを背負わされながら、親王は生々しい肉欲そのものの情景にあっても、生臭い俗っぽさに堕さない。 しかし出家の身にしては好奇心が旺盛すぎる、人間としての色気があふれんばかりの、五十代にしか見えない六十七歳。 まさに澁澤龍彦その人という気もしてくる。 そんな親王と少女の感応(誤字じゃないですよ)シーンは、この後の物語もふくめて非常に味わい深いものである。 そして挿し絵! ふたたび登場の山口晃である。 彼の虚実がたくみに絡まり合った作風は、このお話に本当にぴったりだ。 過去と現在が次元の壁を越えて融合する様は、「高丘親王航海記」という作品の特色の一つでもある。(「獏園」にはあまり出てこないが) それを分かっていても、なお驚きの挿し絵をぶっ込んでくる山口晃の才気と茶目っ気!感極まって拍手を送りたくなった。ブラボー! この絵のためだけでも、この本を読む価値はあります!すばらしい! (念のため。R18です) さて、この「ホラー・ドラコニア少女小説集成」シリーズを5巻まで読み終えての感想と言えば… 悪夢もあったけど、最後に見せてもらった夢はとても楽しい夢だった(「高丘親王航海記」全部あわせて)。 澁澤龍彦の要素を一冊ごとにたどってゆき、最後にその総決算ともいえる作品でシメられたのは、とても満足。 (今回は巻の3「淫蕩学校」はパスしました。「ソドム百二十日」は2年前に読んでいたし、サドには食傷気味なので…また機会があれば) そしてまた現代芸術家たちの作品は、どれも世界と対峙しているような強さがあって素晴らしかった。 こういう企画がまたあれば、ぜひ触れてみたいと思う。
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澁澤龍彦「高丘親王航海記」の中の一節を切り取ったもの。山口さんの画と澁澤さんの文章が絡み合って、すごく不思議な空間になっている山口晃さんの、現代と過去、日本と外国が一緒の不思議な絵はこの本で知りました。日本橋三越の広告、槙原敬之のCDジャケットも書いてる。画集欲しいな。
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