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薔薇密室 の商品レビュー

4.2

24件のお客様レビュー

  1. 5つ

    7

  2. 4つ

    9

  3. 3つ

    3

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2013/01/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

2つの視点で描かれる薔薇の僧院をめぐる幻想ミステリー。 WW1-2のドイツ・ポーランドが舞台。 グロテスクになりすぎない退廃的な耽美さで綴られる筆力に圧倒されて頁を繰ってしまう。 つきつめすぎた純粋さが痛々しい。 ユーリクとミルカのほの甘い交流にキュンときてる暇もなかった。 皆川作品は2作目ですが、いずれも筆力がすごい… そんで設定の時間軸なんかが密で読んでて頭パーンってなりそう。

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2012/08/24

読了に長くかかりました。 まさか約一ヶ月かかるとは…。 前の二つの世界大戦期、ポーランドとドイツを舞台にした話です。 情愛のようなものが欠落しているコンラートの述懐から始まった一章の最後、一人称と文体が変わって二章に移る。様相はがらりと変わって、キュリー夫人に憧れるポーランド人...

読了に長くかかりました。 まさか約一ヶ月かかるとは…。 前の二つの世界大戦期、ポーランドとドイツを舞台にした話です。 情愛のようなものが欠落しているコンラートの述懐から始まった一章の最後、一人称と文体が変わって二章に移る。様相はがらりと変わって、キュリー夫人に憧れるポーランド人の少女が語り手となる。 そして物語の時代は大戦の暗い時期に突入し、変調の頻繁な音楽のように、めまぐるしく進んでいく。 語り手が錯乱しているのか怪奇が実際に起きているのか、そこを疑いながら読んでしまうと頭がこんがらがってしかたがない。 だからなかなかすいすい読むのが困難だったのだが、おもしろい話だった。 ユーリクとミルカが再会できずに終わってしまったのは悲しいという他無いが……。 正直、この時代の欧州のことを私はまだ最近知りつつあるだけで、ポーランドのことも無知だった。キュリー夫人の出身地も知らなかったし。その点、勉強になったし興味深い一冊だった。 ジョークでポーランド人が馬鹿にされるのは多分この頃学問を制限されたからだし、奴隷という意味の英語slaveの語源はスラヴ人のことだということを知った。 薔薇の若者の描写は美しかったが、ユーリクとミルカの境遇には胸が痛んだ。 物語を必要とするのは不幸な人間。胸にチクリとするが、納得もできる。

Posted byブクログ

2011/12/18

この長さを、まるで飽きさせずに読ませる筆力はもう。 化け物クラス。 視点はころころ変わるし、「だ、誰? あれ? この人はあの人?」という展開に戸惑うが、とにかくぐいぐい惹き込まれる。 夢と現の境が曖昧、という設定でこの長編を書き切るとは。 破綻がないところが本当にすごい。 史...

この長さを、まるで飽きさせずに読ませる筆力はもう。 化け物クラス。 視点はころころ変わるし、「だ、誰? あれ? この人はあの人?」という展開に戸惑うが、とにかくぐいぐい惹き込まれる。 夢と現の境が曖昧、という設定でこの長編を書き切るとは。 破綻がないところが本当にすごい。 史実をこんなにも濃密に捉え、豊饒な物語として紡ぎ出しているその世界観に圧倒。 どこからどこまでが創作で、どこからどこまでが現実なのか…… 登場人物とともに、読者も惑う。 もちろん皆川先生ならではのモチーフも満載。 薔薇とか。畸形とか。少女。少年。美青年。 もっと救いのない結末を予想していたので、このラストには力強さと希望を感じた。ホッとすらした。 ユーリク……!!;;

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2010/11/14

戦時下のポーランド、ドイツを舞台に、虚構と現実とが混じり合う。好きな人は好きだろうけど、嫌いな人は嫌いだろう。薔薇と美と狂気が描かれていて、最後まで真実が分からない作品。

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2010/08/22

いやあ,おもしろかった。正直この作品を読むまで,皆川氏は存じ上げていなかった。かなりの大御所なのにw しかし,それこそ時間が経つのも忘れて一晩で読了した。一気に皆川氏のファンになった。こういうおどろおどろしさ,でも乱歩ほどしつこくなくて,読み終わった後に何となく残る清々しさが不思...

いやあ,おもしろかった。正直この作品を読むまで,皆川氏は存じ上げていなかった。かなりの大御所なのにw しかし,それこそ時間が経つのも忘れて一晩で読了した。一気に皆川氏のファンになった。こういうおどろおどろしさ,でも乱歩ほどしつこくなくて,読み終わった後に何となく残る清々しさが不思議。

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2010/01/28

とにかく耽美! だってのっけから「薔薇と美青年を融合させる実験」って……ああこれぞ皆川作品。素敵だ~。しかもアンデルセン「雪の女王」だの映画「カリガリ博士」だの、要素要素がとことんツボをついてきてるし。これはたまんない。 あまり「ミステリ」と思って読まないほうがいいかなあ。複雑に...

とにかく耽美! だってのっけから「薔薇と美青年を融合させる実験」って……ああこれぞ皆川作品。素敵だ~。しかもアンデルセン「雪の女王」だの映画「カリガリ博士」だの、要素要素がとことんツボをついてきてるし。これはたまんない。 あまり「ミステリ」と思って読まないほうがいいかなあ。複雑に絡み合う各パートが終盤になって結びついてくる様はたしかにミステリなんだけど、あまり身構えない方が「おおっ!」と思わされるかも。とりあえずはこの幻想の雰囲気に呑み込まれろ、と言いたい一作。

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2009/12/23

直接話の内容と関わる話でなくて誠に恐縮だが、この本を読んでまず最初に思ったのが、「70歳を超えた老女が書く話か、これが!?」という驚き。 年代記(クロニクル)とも呼べる大河のようなストーリー、時空の巧みなカットバック、そして何よりも作品全編を通して散りばめられた幻想的かつ狂気的...

直接話の内容と関わる話でなくて誠に恐縮だが、この本を読んでまず最初に思ったのが、「70歳を超えた老女が書く話か、これが!?」という驚き。 年代記(クロニクル)とも呼べる大河のようなストーリー、時空の巧みなカットバック、そして何よりも作品全編を通して散りばめられた幻想的かつ狂気的な世界観。 舞台設定は20世紀前半のヨーロッパ(主に東欧)なんだけど、時間的にも感覚的にももっともっと遠いファンタジーの世界での出来事かのような錯覚を読んでいて覚える。

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2009/10/04

09/03/11読了 「不幸な人間には物語が必要だ」文中に出てくるけど、皆物語を持っている。物語を作ろうとする男が少し半端だったかなあ。

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2012/10/06

男娼が一番エロかった。 ヨリンゲルみたいなキャラが好きです。 実は一番最初に読んだ博子先生の本でした。 それから、私はずっと夢の中です。

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2009/10/04

『死の泉』『総統の子ら』と同じく、第三帝国期のドイツ。 美形と畸形と変態博士が心ゆくまで縦横無尽に飛びまわり、閉ざされた世界で、うるわしく退廃的に腐り行くのでございます。 今回のメインアイテムは薔薇!! 咲き乱れるよー! ・・・と言いたいけど、物語としては『冬の旅人』などにくらべ...

『死の泉』『総統の子ら』と同じく、第三帝国期のドイツ。 美形と畸形と変態博士が心ゆくまで縦横無尽に飛びまわり、閉ざされた世界で、うるわしく退廃的に腐り行くのでございます。 今回のメインアイテムは薔薇!! 咲き乱れるよー! ・・・と言いたいけど、物語としては『冬の旅人』などにくらべると、やや小粒かな。そのぶん、耽美度は高いかと。 萌えキャラも、特にはなし。あえて挙げるならユーリクとか?  それよりも、前記の皆川作品を読んでいる人ならば、心の準備はできているハズ。 物語の精髄は騙し騙りにウソ八百!  さあて、今回はどこで我々読者を陥れているのかな!? 今度こそだまされんぞー!!(※ダマされます。)

Posted byブクログ