村田エフェンディ滞土録 の商品レビュー
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土耳古で美しく成り立っている異文化の関係性にじんわりくる。 最後はいつ読んでも泣いてしまう。複線というにはあまりにも自然で、体験記なのではと思うような本。そんなわけはないのだけれど。
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日常を淡々と描いていて、面白いが大きな展開もなく進んで言ったので、ちょっと退屈な感じを途中までしていたが、終盤ぐっとくる。最後まで読み終えるとすべてのエピソードが愛おしく思える。派手さはないが、いう小説だなと思う。「家守綺譚」の世界ににも繋がるのがまた面白かった。
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この独特の空気!濃厚な異国の匂い(香りではなく)に悪酔いしそうになりながら、けれど最後まで一気に読み切ってそして泣きそうになった。明治の終わりごろ土耳古の地に集まった母国を異にする人々。そして起こる国同士の諍い。主義も主張も思いもあずかり知らぬ世界に住む鸚鵡が、(鸚鵡にとって)無意味な争いの中でうんざりしたように「It's enough!」と叫び、傷ついた村田に「友よ。」と叫ぶ。人間が長い歴史の中で失くしたものを進化と呼ぶか、あるいは退化と呼ぶか。それが強く心に残る。今も答えは見つけられずにいるのだけれど。
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「家守綺譚」→「村田エフェンディ滞土録」の順に読むとより面白い. 【内容】 第一次世界大戦前,国家間の交流が盛んになり始めた頃のトルコにて, トルコ文化研究のために招聘された日本人学者,村田と同居するドイツ人,ギリシャ人,トルコ人,イギリス人,オウムとの異文化交流. 始め,異文化交流や思想の違いといった物語が悠然と流れていたところに, 途中,怪異が加わるなど「家守綺譚+異文化交流」風に更に面白くなったが, 最後,第一次世界大戦が始まり,急に切ない話になった. 【感想】 情景描写が丁寧で,当時のトルコにいるような錯覚をした.(トルコに行ったことはないが) ところどころに挿絵があるのだが,村田がトルコを離れる時の,見開きで描かれたトルコの港が本当に綺麗で,トルコに対する名残惜しさと別れの寂しさから,自然とため息が出た. 日本に戻ってから,仕事の忙しさに疲れていく様や友人の訃報がこれでもかと切なくさせる.最後「友よ!」と叫ぶオウムには泣きそうになった. 誰かがオウムを見るとこの本を思い出すと言っていたけど,そのとおりだと思う.(オウムを見る機会はあまりないけれど)
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古い読書記録より。 「家守綺譚」のサイドストーリー的小説。 日本人考古学者がドイツやギリシャの学者たちと共同生活を営むトルコの家の描写には、 行ったことはないけれど、かの国の土ぼこりや乾いた日の匂いまでも感じます。 ラスト付近が本当にはかなくて、折角異国の人と結べた絆が戦争によ...
古い読書記録より。 「家守綺譚」のサイドストーリー的小説。 日本人考古学者がドイツやギリシャの学者たちと共同生活を営むトルコの家の描写には、 行ったことはないけれど、かの国の土ぼこりや乾いた日の匂いまでも感じます。 ラスト付近が本当にはかなくて、折角異国の人と結べた絆が戦争によってあっけなくひきちぎられていくさまは見ていることらの胸にも迫るものがありました。当時だと、おいそれと違う国に分かれ戦うもの同士が仲良くしたりできなかっただろうから、余計に・・・。
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『家森綺譚』がよかったのでこちらも読んでみた。 こちらもあっという間に読んでしまった。 下宿に暮らす人たちがお互いを敬う姿や、 壁に浮き出る牡牛や山犬、狐に火竜といった 不思議な存在が『家守綺譚』同様、物語に奥行きを与える。 前作はその不思議さに雨や湿度を感じたけれど、 こちらはトルコが舞台であり、明るさを感じた。 そしてはるばる海を渡ってやってきた鸚鵡と 下宿屋の女主人からの手紙…。 いい作品を読んだと思う。
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2012年17冊目。 220頁。 京橋図書館で借りる。 ≪本文引用≫ p.26 人は過去なくして存在することは出来ない。 p.30 いや、神も生まれ、進化し、また変容してゆくのです。その共同体の必要ン応じて。そしてその社会が滅びたとき、祖の神も共に滅びるのです。神というのは祈る人間があってこその存在、つまり関係性の産物ですから。
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トルコのアジアとヨーロッパの空気が混ざった雰囲気がとてもよくでていて、さながら自分が本当に旅行しているのではないかと思うくらいその場の空気を感じられた。 古代を想い、未来を紡ぐ、そんな考古学のエネルギーが軸にあり、個性的で神秘的な出来事が起こるのだが、まとまっており読みやすい作品...
トルコのアジアとヨーロッパの空気が混ざった雰囲気がとてもよくでていて、さながら自分が本当に旅行しているのではないかと思うくらいその場の空気を感じられた。 古代を想い、未来を紡ぐ、そんな考古学のエネルギーが軸にあり、個性的で神秘的な出来事が起こるのだが、まとまっており読みやすい作品だった。 ある時間を共に過ごした友の顛末は静かに胸を打ち、涙なくしては読めなかった。
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トルコを舞台に日常を繰り広げる青年のトルコ滞在記。彼の周囲の様々な国の人々、出会った街の風景や事象、それらを通して青年が思考する様はあたたかく、時に物悲しく、そしてどうしようもなく愛おしい。文化、歴史、人々のかぎりない連鎖と出会いが、ささやかだが確かなものとして、ここには描かれて...
トルコを舞台に日常を繰り広げる青年のトルコ滞在記。彼の周囲の様々な国の人々、出会った街の風景や事象、それらを通して青年が思考する様はあたたかく、時に物悲しく、そしてどうしようもなく愛おしい。文化、歴史、人々のかぎりない連鎖と出会いが、ささやかだが確かなものとして、ここには描かれている。
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途中まで、実在した人の、本当の滞在記録だと思って読んでいました…。 それほど、街並みや人々の心理などが、とても描写豊かに書かれています。 最後はじんわりと涙が出ます。
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