朝霧 の商品レビュー
『私と円紫さん』シリーズ5冊目にして、文庫で発売されているものでは最後の巻。 主人公「私」は、アルバイトで入った小さな出版社で才能と仕事ぶり、博識を認められ、内定から、無事に社員となる。 学生最後の年の後半から、入社2年が過ぎるまでを描く。 「私」は、本当に生長した。 我が子を...
『私と円紫さん』シリーズ5冊目にして、文庫で発売されているものでは最後の巻。 主人公「私」は、アルバイトで入った小さな出版社で才能と仕事ぶり、博識を認められ、内定から、無事に社員となる。 学生最後の年の後半から、入社2年が過ぎるまでを描く。 「私」は、本当に生長した。 我が子を見るようでうれしい。 しかし、子が育てば親は老いるもので、自分の未来ばかり見ていた18の頃とは違い、親や周囲の大人の変化に心を配るようにもなる。 そして、「縁があれば…」などと思っていたら… そんな都合よくなんて、やっぱりフィクションよね、と思ったところ、そういう流れなら全く自然ではないかと言う、またしても作者にやられた。 私は、男性キャラが登場するたびに、もしかして「私」の相手か?!と、ゲスの勘ぐりをし続けてきた。 皆、ダメだった(笑) が、しかし、今度は進展がありそうである。 この先書かれた方が良いのか、書かれない方が良いのか分からないが、公・私ともに先輩がゴールインしたのだから、『順番』が巡ってくる日もあるのでは? 本屋さんモノや出版社モノを選んで読んできた。 このシリーズは、日常の謎解き物として興味を持って読み始めたのだが、主人公が出版社に就職した結果、出版社モノとしても読めるようになったのが、自分的にひそかに美味しかった。 今回は、詩歌・俳諧の教養書でもあった。 本郷さんの「山眠る」の句が、なんだか心に染みる。 「私」のフォローは「冬来りなば春遠からじ」ということらしい。 本郷さん、疑ってすみませんでした(^_^;) そして、今更言うまでもないが、円紫さんの『人間力』の高さには感動する。
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「私」も社会人に。環境は変わっても円紫さんとの関係は変わらず。相変わらずじわじわ来る面白さ。終わって欲しくない。
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大学生だった「私」も社会人となり、 日常に謎もちょっと変化が出てきた。 続き読みたい気持ちがあるんだけど、このままどう成長してるんだろうと考えるのも楽しいので、ちょっと悩ましい。
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文学の花畑を、そこここに開いた「謎」という花を眺めながら散策する。 リドルストーリーは面白かったです。
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前作の『六の宮の姫君』は文学的要素が強くて難しかったですが、これは初期に戻ったようでさくっと読めました。「私」ももう社会人2年目になっていて、新しい出会いの予感もあり、羨ましくなるぐらい何もかも順調です。『太宰治の辞書』ではその後の進展があるのか。文庫になったら買って読みます。
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久々の連作短編集。社会人となり出版社で働く「私」ですが、学生時代とはまた違った形で成長していく様子が見れます。 短編集の方が円紫さんが登場する場面も多く、私と円紫さんの掛け合いもたくさん見れるので、この形の方が好みです。
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このシリーズは初期が好きだった。「浅学非才」の私にはどんどん難しくなってしまった。円紫さんの神秘性も最初が適度だったし、「私」との関係性に疑問を持つようになる。 文章の綺麗さ、情景の綺麗さ、これで読み進められた。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
朝霧はよかった、ストーリーとしては。 このシリーズを読んでていうことではないんでしょうが、古典の話にあまり興味が持てず、だんだんその要素が大きくなってきていて、読みづらくなってきました。
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主人公は出版社への就職も決まりと始まる短編。 社会に出ると時間の進行が速い。姉の慶事があったと思ったら、数年経ち、姪がいたりする。 先輩女性編集者と話す「源氏物語」とか、なかなか興味深い話がでてくるのが有難い。高校生の光源氏クンが幼女の若紫を連れだして、自分の好みの女性に育て上が...
主人公は出版社への就職も決まりと始まる短編。 社会に出ると時間の進行が速い。姉の慶事があったと思ったら、数年経ち、姪がいたりする。 先輩女性編集者と話す「源氏物語」とか、なかなか興味深い話がでてくるのが有難い。高校生の光源氏クンが幼女の若紫を連れだして、自分の好みの女性に育て上がる。成程、源氏物語は紫の上の物語でもあるんだな。 最後は祖父の若い日の日記にあった暗号。確かにあの素材は暗号に使うのにピッタリ。 恋の予感を匂わせる終わりだが、続篇がありそうな気になるなあ。 表紙のイラストが残念。正直、これはないんじゃないの、と思う。
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