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白い雌ライオン の商品レビュー

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27件のお客様レビュー

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2012/07/04

スウェーデンの片田舎で起きた犯罪と南アフリカで密かに進行する要人暗殺をうまく絡めて上質なミステリーに仕上げるマンケルの腕は確か。 魅力的な脇役も多く、病んでいくヴァランダーを心配しながらページを進めていたら、700ページがあっという間。 展開がサスペンスっぽくなっているので、いつ...

スウェーデンの片田舎で起きた犯罪と南アフリカで密かに進行する要人暗殺をうまく絡めて上質なミステリーに仕上げるマンケルの腕は確か。 魅力的な脇役も多く、病んでいくヴァランダーを心配しながらページを進めていたら、700ページがあっという間。 展開がサスペンスっぽくなっているので、いつもよりは物語に動きがあって派手だ。 たまにはこんなヴァランダーもいい。

Posted byブクログ

2012/11/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

スウェーデンの南端の街、イースタを舞台にしたヴァランダー警部シリーズ第3作。ヴァランダーは、不動産業を営む女性の失踪事件を担当する。やがて彼女は遺体で発見されるが、その近くの民家では謎の爆発事件が起き、不可解な遺留品が発見される。一方、遠く離れた南アフリカでは、とある陰謀が動き始めていた―。 ようやく読み終わりました。文章は読みやすいのですが、何せ分厚い。電車の中で読もうと思っても、バッグが小さいとうっかり持ち歩けないのです。 警察小説というよりは、国際謀略小説ですね。スケールが大きい。田舎警察とはいえ、イースタは国境に近い交通の要所なのですね。ミステリを期待すると「ちょっと違う」と思うでしょう。最初にヴァランダーが担当していた失踪事件の真相は、第2章でさっさと種明かしされてしまいます。第3章から後は、ヴァランダーと旧ソ連工作員の対決になり、そこに娘のリンダも巻き込まれていきます。 南アの陰謀事件の方は、首謀者の思惑通りになりかけますが、ほんの偶然の出来事から事態は急展開。そして最後の場面で、冒頭に起きた失踪事件に関するちょっとした謎が明かされます。この「謎」のことはすっかり忘れていましたが、風呂敷を畳むというより落穂拾いのようなラストが良かったと思います。謀略の嵐を過ぎて、ヴァランダーも田舎警察の警部に戻ったのだな……と、ちょっと安心。 ところで、前作『リガの犬たち』に登場したバイバ・リエパが名前だけちらりと出てきましたが、彼女の再登場はあるのでしょうか。

Posted byブクログ

2012/03/19

スウェーデンのミステリ。 警部クルト・ヴァランダーが主人公のシリーズ3作目。 ここから分厚くなってます。 イースタはスウェーデン南端の田舎町だが、交通の要衝にあるため、国際的な事件も起きうる。 思いも寄らぬ南アフリカの陰謀に巻き込まれる。 南アフリカでの人種問題をさかのぼるプロ...

スウェーデンのミステリ。 警部クルト・ヴァランダーが主人公のシリーズ3作目。 ここから分厚くなってます。 イースタはスウェーデン南端の田舎町だが、交通の要衝にあるため、国際的な事件も起きうる。 思いも寄らぬ南アフリカの陰謀に巻き込まれる。 南アフリカでの人種問題をさかのぼるプロローグから、重厚に書き込まれています。 国際的なベストセラーになった理由がわかる気がしました。 ヴァランダー個人は妻に出て行かれたのはもう諦めたが、次の一歩は踏み出せず、落ち着かない精神状態。 ストックホルムに住む娘のリンダが心配でいつも会いたがっているのだが、なかなか上手くいかない。 捜査のためにストックホルムに出向くと、リンダがすっかり大人の女性になっていることに気づかされる。 画家の父親はすこし呆けかけているような兆候もあるのだが、家政婦と結婚すると言い出して、ヴァランダーを焦らせる。 ごく普通の主婦が3日、行方不明に。 おそらくもう死んでいるだろうと感じながらも口には出せず、捜査に取り組む署員。 捜査していくと主婦にも意外な側面があったりはするのだが。 ヴァランダーは事件にのめり込むことで突破口を見つけるタイプ。 容疑者の一人と深く関わることになる。 南アフリカ共和国での出来事も緊迫していて、迫力。 ひどい人種差別が長く続いた後、変化が訪れようとしているが、それに対する抵抗も大きい。 権力を握るボーア人(オランダ系入植者)の生活ぶりがリアルなので、ネルソン・マンデラ暗殺を狙う動きも説得力があります。 1993年発表当時、マンデラが27年間の投獄から釈放されたという時期から隔たっていないリアルタイムだったことも、力のこもっている原因かも。 ソ連の崩壊も、世界を動かしていたのですね。 南アフリカからは遙かに遠いスウェーデンがなぜ関わるか、ということにも理由はちゃんとあるのです。 暗殺のために雇われた殺し屋マバシャは、アフリカのズールー族の出。 異国をさまよう男の心象風景に深みがあります。 ヴァランダーの家族まで巻き込んだ対決と銃撃戦へ。 作者は何年もアフリカに住んで仕事をしていた経験があり、帰国後にスウェーデンの人種差別が悪化していると感じたとか。 それも実感を伴った描写に繋がっていると思います。 2004年9月翻訳発行。

Posted byブクログ

2011/08/11

ヴァランダー刑事3作目。2作目に続いてこれも舞台が壮大。田舎町の殺人から南アの秘密結社のマンデラ暗殺計画、と無理なく繋がっていきます。著者のアフリカへの造詣の深さが生かされています。主人公の刑事は前作よりさらに事件に振り回され傷ついてしまいました。立ち直れるのか、早速4作目を読も...

ヴァランダー刑事3作目。2作目に続いてこれも舞台が壮大。田舎町の殺人から南アの秘密結社のマンデラ暗殺計画、と無理なく繋がっていきます。著者のアフリカへの造詣の深さが生かされています。主人公の刑事は前作よりさらに事件に振り回され傷ついてしまいました。立ち直れるのか、早速4作目を読もうと思います。

Posted byブクログ

2011/02/22

ヴァランダー警部が働くイースタの管轄区域とは縁が深いでもない“謀略”が、「女性の失踪」という事件を切っ掛けにヴァランダー警部の身に降りかかる災厄となっていく…何か凄い展開である… 凄く引き込まれてしまった…

Posted byブクログ

2009/10/04

【所持有無】× 【読了日】090108 【キーワード】スウェーデン 警察小説 ヴァランダー アフリカ 暗殺者 【所感】シリーズもののひとつ。良心のある警察官は良い。アフリカの黒人迫害、衝突を題材。意欲的だが、中だるみ…。 【備考】

Posted byブクログ

2009/10/04

社会情勢を軸に描くシリーズだが、本作品はその特徴が色濃くなっている。スウェーデンが舞台なのだが、南アフリカの人種差別が物語の根底にあるので、序盤は相当な違和感があった。視点もスウェーデン側と南アフリカ側に分かれており、両者はなかなか交わろうとしない。しかしストーリーの拡がりと比例...

社会情勢を軸に描くシリーズだが、本作品はその特徴が色濃くなっている。スウェーデンが舞台なのだが、南アフリカの人種差別が物語の根底にあるので、序盤は相当な違和感があった。視点もスウェーデン側と南アフリカ側に分かれており、両者はなかなか交わろうとしない。しかしストーリーの拡がりと比例するように南アフリカの人種問題がじわじわと効いてきて、国際謀略という派手なテーマに取って代わろうとする確かな感覚があった。 今回のヴァランダーは気の毒としか言いようがない。事件への巻き込まれ方が半端ではないので、それが逆に不自然にも見えたが、彼の思考が徐々に病んでいくさまは説得力があったと思う。インパクトの強いキャラが何人かいるためヴァランダーの存在感はやや劣るかもしれないが、シリーズを通して確実に成長しているのがよくわかる。

Posted byブクログ