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奇想の系譜 の商品レビュー

4.4

44件のお客様レビュー

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2018/05/06

「近世絵画史を書き換えた画期的な書」らしい。1970年初版。2018年の今読む上では、近世絵画の鑑賞指南書といったところか。図版も豊富で美術初心者でも読みやすい。実物が見たくなる一冊。実物を見たら再読したい一冊。

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2017/12/18

いまでは大人気の絵師たちの、はるか昔の評論書。 当時の関心のなさといったら、現代のそれと比較できないレベルだろうところで、目をつけて仔細に述べている著者の審美眼には唸る。 巻末の書評に図版が豊富とあったが、カラー写真に見慣れている自分たち世代では、物足りない印象もあったが、文庫...

いまでは大人気の絵師たちの、はるか昔の評論書。 当時の関心のなさといったら、現代のそれと比較できないレベルだろうところで、目をつけて仔細に述べている著者の審美眼には唸る。 巻末の書評に図版が豊富とあったが、カラー写真に見慣れている自分たち世代では、物足りない印象もあったが、文庫だから仕方ないのかも。 又兵衛、山雪、若冲、蕭白、蘆雪と国芳、どの作家も個性的で、また作品を観たくなった。

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2017/10/15

岩佐又兵衛、狩野山雪、伊藤若冲、曾我蕭白、長沢芦蘆雪、歌川国芳という6人の画家について、書かれています。そして、これらの画家に共通する性格を的確に浮き彫りにするような、「奇想」(奇なる発想)という言葉で括られています。 しかし、「奇想」こそ近代絵画史における主流であり、彼ら6人の...

岩佐又兵衛、狩野山雪、伊藤若冲、曾我蕭白、長沢芦蘆雪、歌川国芳という6人の画家について、書かれています。そして、これらの画家に共通する性格を的確に浮き彫りにするような、「奇想」(奇なる発想)という言葉で括られています。 しかし、「奇想」こそ近代絵画史における主流であり、彼ら6人の画家も「異端」ではなく、そうした主流の中での前衛として理解されるべき、と書かれていたのが印象に残っています。 彼らの作品はどれも個性的で、魅力的で、文章と図版両方が載っていることで、作品のおもしろさがよく伝わってきました。読んでいると、どんどん作品と作者に興味を持ち、本物を見て感じたくなりました。

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2017/12/30

岡田秀之「かわいい こわい おもしろい 長沢芦雪」新潮社の対談もやっておられた辻惟雄先生の著書。岩佐又兵衛、伊藤若沖、曾我蕭白、長澤芦雪、歌川国芳という流れを「奇想」という言葉で定義し、「異端」でなく「主流」中の前衛として再評価した本。若沖でさえ、どこかで観たことあるレベル、まし...

岡田秀之「かわいい こわい おもしろい 長沢芦雪」新潮社の対談もやっておられた辻惟雄先生の著書。岩佐又兵衛、伊藤若沖、曾我蕭白、長澤芦雪、歌川国芳という流れを「奇想」という言葉で定義し、「異端」でなく「主流」中の前衛として再評価した本。若沖でさえ、どこかで観たことあるレベル、ましてや取り上げられている芦雪の他の画家らはあまり知らない人も多く、中の絵にも好きな物、あまり好きでないもの色々だったが、当時のそれまでの絵と何が違うのか、何をどう描こうとしたのか、俯瞰できた。

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2016/06/19

岩佐又兵衛、狩野山雪、伊藤若冲、曾我蕭白、長沢蘆雪、歌川国芳の6人を取り上げ、「奇想」というキーワードでその本質に切り込む名著。30年も以前の本ですが、まだ、新しい感じがします。

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2016/05/11

50年近く前に書かれたとは思えず、とても興味深く読めました。 著者の感性を通して説明される絵の1枚1枚のどれも実際に目にしたくなり、好奇心がビンビンと刺激されます。 ついこの前、国芳の展覧会を観てきましたがら折しも今は若冲の展覧会もあるので行かねば。 でも題材になった画家の中では...

50年近く前に書かれたとは思えず、とても興味深く読めました。 著者の感性を通して説明される絵の1枚1枚のどれも実際に目にしたくなり、好奇心がビンビンと刺激されます。 ついこの前、国芳の展覧会を観てきましたがら折しも今は若冲の展覧会もあるので行かねば。 でも題材になった画家の中では蕭白のが一番観たいなぁ。

Posted byブクログ

2022/10/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

      -2006.04.03記 書の初版が刊行された1970(S45)年当時、衝撃的な異色作として迎えられたことだろう。 文庫版解説の服部幸雄の言を借りれば、「浮世絵以外の近世絵画の中にこれほど迫力があり、個性的かつ現代的な画家たちが存在していたとは、思ってもいなかった。そういうすぐれた画家たちがいたことを、私は多くの作品とともに、本書によって初めて教えられた。眼からうろこが落ちるとは、こういう時に使うべき表現であろう。」ということになり、「近世絵画史の殻を破った衝撃の書」と賞される。 初版は、1968(S43)年の美術手帖7月号から12月号にかけて連載された「奇想の系譜-江戸のアヴァンギャルド」を母体に、新しく長沢蘆雪の一章を加筆したのが70年「奇想の系譜」として美術出版社から出されたのだが、それは江戸時代における表現主義的傾向の画家たち-奇矯(エキセントリック)で幻想的(ファンタスティック)なイメージの表出を特色とする画家たちの系譜を辿ったものだが、美術手帖連載当時、部分的には私も眼にしていたものかどうか、40年も経ようという遠い彼方のこととて深い靄のなかだ。 ただその頃、厳密には少し前のことになるが、広末保らによる幕末の絵師「土佐の絵金」発見があり、そのグロテスクにして奇矯な色彩、劇的な動きと迫力に満ちた絵画世界が注目されていたことは、私の記憶のなかにも明らかにある。絵金の表現する頽廃とグロテスクな絵は、宗教的・呪術的なものに媒介された絢爛と野卑の庶民的な形態としての実現であったろうし、民衆の想像力として爆発するそのエネルギーに現代的な意義が見出されていたのだろう。 著者は「奇想の系譜」を、岩佐又兵衛(1578-1650)、狩野山雪(1590-1651)、伊藤若冲(1716-1800)、曽我蕭白(1730-1781)、長沢蘆雪(1754-1799)、歌川国芳(1797-1861)と6人の画家たちで辿ってみせる。彼らの作品は、常軌を逸するほどにエキセントリックだ。或いは刺激的にドラマティックだ。また意外なほどに幻想的で詩的な美しさと優しさに溢れていさえする。それらはシュルレアリスムに通底するような美意識を備えており、サイケデリックで鮮烈な色彩感覚に満ちていたりする。まさしく60年代、70年代のアヴァンギャルド芸術に通ずるものであったのだ。 著者はあとがきで言っている。「奇想」の中味は「陰」と「陽」の両面にまたがっている。陰の奇想とは、画家たちがそれぞれの内面に育てた奇矯なイメージ世界である。それは<延長された近代>としての江戸に芽生えた鋭敏な芸術家の自意識が、現実とのキシミを触媒として生み出したものである。血なまぐさい残虐表現もこれに含めてよいだろう。これに対し陽の奇想とは、エンタティメントとして演出された奇抜な身振り、趣向である。「見立て」すなわちパロディはその典型だ。この一面は日本美術が古来から持っている機智性や諧謔性-表現に見られる遊びの精神の伝統-と深くつながっている。さらにまた芸能の分野にも深くかかわっていた。奇想の系譜を、時代を超えた日本人の造形表現の大きな特徴としてとらえること、と。 辻惟雄の近著「日本美術の歴史」(東京大学出版会)では、これら奇想の系譜の画家たちが、美術史の本流のうちに確かな位置を占めている筈だ。 ――2006.04.03 記す

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2015/07/29

岩佐又兵衛、曾我蕭白、伊藤若冲、長沢蘆雪、狩野山雪、歌川国芳を奇想の系譜に位置づけ、執筆当時はさほど注目されていなかった(!)画家達が注目を集めるきっかけとなった名著。作品の端々や文献からそれぞれの画家の狂った部分が読み解かれていく様子がスリリングで楽しめた。

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2013/07/01

日本美術史家の辻惟雄先生が40年ほども昔に書かれた名著。80歳を越えた大御所の先生にも若くて熱い頃があったんだなぁ、と微笑ましく読みました。この本が書かれていなかったら、今、これほどまでに江戸絵画に注目が集まっていなかっただろうと言われています。なにしろ、先生の筆の走ることといっ...

日本美術史家の辻惟雄先生が40年ほども昔に書かれた名著。80歳を越えた大御所の先生にも若くて熱い頃があったんだなぁ、と微笑ましく読みました。この本が書かれていなかったら、今、これほどまでに江戸絵画に注目が集まっていなかっただろうと言われています。なにしろ、先生の筆の走ることといったら、スーパーカーのよう。今すぐにでも実物を見たくなる気持ちに駆り立てられる力に溢れています。 先日、京都国立博物館でその奇想に身の毛がよだった狩野山雪も取り上げられていて、より興味深くその人物像を知ることができました。6人の中では岩佐又兵衛にもっとも興味がわきました。山中常盤、いつか、じっくりと見てみたい。

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2012/11/06

一見難しい感じだが、意外と分かりやすく書いてある。揃えてある絵もとても面白い。文庫で1300円と高いが仕方ないのかと思う。

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