花伽藍 の商品レビュー
この本は彼女の初の短編集だそうだ。今までは長編しか読んでいなかったので、彼女の短編には凄く興味があった。あれだけ強烈な長編を中だるみせずに描く人である。それが短編ではどのような世界を見せてくれるのか…。タイトル作の「花伽藍」のラストは映像が浮かぶ程の美しさだ。ここで言う花伽藍とい...
この本は彼女の初の短編集だそうだ。今までは長編しか読んでいなかったので、彼女の短編には凄く興味があった。あれだけ強烈な長編を中だるみせずに描く人である。それが短編ではどのような世界を見せてくれるのか…。タイトル作の「花伽藍」のラストは映像が浮かぶ程の美しさだ。ここで言う花伽藍というのは、桜の名所”吉野山”での壮大な眺めのことらしい。僕はもちろん行った事は無いし写真でも見た事が無いが、それでもハッキリと頭の中に花伽藍が浮かんだ。「鶴」と「燦雨」は共にラストで死が描かれる。「鶴」は悲劇で終わるのだが、「燦雨」は悲しいながらも後味は爽やかささえ感じられた。特に「燦雨」は同性愛の女性二人の老後の物語である。変な先入観だが、僕は中山可穂がこんな設定で描くとは思っていなかったので、読み始めた時は不安であった…が、とんでもない。この短編集の中でいちばん印象にのこる物語であった。素晴らしい。
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心の底から、どうしようもない程人を好きになるのは、とても素晴らしいけれど…幸せになれるかどうかはまた別かもしれない。でも、満足のいく幸せじゃなくても、そんなふうに人を愛する事が出来るのは、深い幸福感を得られる瞬間もある、と思うのです。
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3篇中全てが同性愛をテーマとしています。皆さんはこれを読んだ後に、同性愛の考えが良くも悪くも変化を遂げることでしょう。
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「ずっと、ずっと、ずっと、さびしかった。外泊しても何も訊かれない。嫉妬もされない。わたしがどんな気持ちでいたか、あなたにわかる? 無関心がどんなに残酷なものか、あなたにはわからないでしょう」 ああ、因果はめぐるのだ。<偽アマント>
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もう二度と命を縮めるような恋はしたくなかった。でもやはり無理だ。また落ちてしまった…。愛さずには生きていけない女を描く短編集。標題作他全5編収録。
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私の憧れる強さ、生き方が、此処にはある気がした。淡々として優しく、それでいて張り詰めた哀しさと、空気。
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<読了日;2004.10.22>表題作「花伽藍」は正直少し物足りなかったような…。 中山可穂らしさがあまり出ていなかったように思う。 「鶴」「燦雨」は非常に素晴らしかった。 「燦雨」の二人には、ビアンでないわたしも心底憧れる。
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良作/凡作、あるいは好き/嫌いのさが激しいだろう短編集。ホームランを期待したのに、シングルヒットばかり打たれた感じ。それでもシングルヒットは打ってるんだけど。ゲイコミュニティではエイジングが問題になっているが、年老いたレズビアンを描いている(「ウーマン・ラブ・ウーマン」を思い出し...
良作/凡作、あるいは好き/嫌いのさが激しいだろう短編集。ホームランを期待したのに、シングルヒットばかり打たれた感じ。それでもシングルヒットは打ってるんだけど。ゲイコミュニティではエイジングが問題になっているが、年老いたレズビアンを描いている(「ウーマン・ラブ・ウーマン」を思い出した)「燦雨」などはオススメ。
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