憲法で読むアメリカ史(上) の商品レビュー
アメリカ憲法史上重要…
アメリカ憲法史上重要な事件と判例を追う.上巻はアメリカ建国から南北戦争まで.合衆国憲法制定過程,違憲審査制の確立,連邦政府の権限の範囲,奴隷制度問題,ブッシュ対ゴア事件などが中心となる.著者は親米家として知られているが,この本は淡々と書かれている.
文庫OFF
最高裁、大統領を選ぶ アメリカ合衆国憲法の誕生 憲法批准と『ザ・フェデラリスト』 憲法を解釈するのはだれか マーシャル判事と連邦の優越 チェロキー族事件と涙の道 黒人奴隷とアメリカ憲法 奴隷問題の変質と南北間の緊張 合衆国の拡大と奴隷問題 ドレッド・スコット事件 ...
最高裁、大統領を選ぶ アメリカ合衆国憲法の誕生 憲法批准と『ザ・フェデラリスト』 憲法を解釈するのはだれか マーシャル判事と連邦の優越 チェロキー族事件と涙の道 黒人奴隷とアメリカ憲法 奴隷問題の変質と南北間の緊張 合衆国の拡大と奴隷問題 ドレッド・スコット事件 南北戦争への序曲 連邦分裂と南北戦争の始まり 南北戦争と憲法 著者:阿川尚之(1951-、東京都、法学)
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アメリカという連邦国の基盤がいかに弱かったのか。上は奴隷制度を巡って、政治が動く。リンカーンの南北戦争の勝利まで。 ・ゲティスバーグ演説は単に連邦政府が民主的なことを述べたのではない。単一の連邦政府であることを強調したのだ。 ・アメリカは中央銀行をもたない。 ・ストウ夫人は南部...
アメリカという連邦国の基盤がいかに弱かったのか。上は奴隷制度を巡って、政治が動く。リンカーンの南北戦争の勝利まで。 ・ゲティスバーグ演説は単に連邦政府が民主的なことを述べたのではない。単一の連邦政府であることを強調したのだ。 ・アメリカは中央銀行をもたない。 ・ストウ夫人は南部の奴隷の生活を何も知らなかった。 ・最高裁判事が事前に判決内容を大統領にもらすと無効になる。 ・軍事上の必要から奴隷解放宣言が出された。
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とても面白い。憲法問題は難しいものであるが、筆者の分かりやすい解説で憲法の規定と判例がスラスラと頭に入ってくる。そしてあまり注目されてこなかった最高裁の役割にもスポットが当てられており、目からウロコの発見に満ち溢れている。
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大学時代に買ったきり本棚に眠らせてた本を、アメリカ赴任に際して読んでみました。日本にはない州制度を理解できると同時に、憲法という文書が持つ力強さを感じるとることができます。学生時代に憲法を勉強しても楽しかっただろうなと思いました。
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アメリカの建国からの歴史を合衆国憲法の変遷の観点から照らし出された書。上巻は南北戦争まで描いており、アメリカ史に全く通じていない方でもすらすらと分かりやすい文体で記されているのがありがたかったです。
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アメリカの歴史を憲法を通じて学ぶことができる。州と連邦の関係、南北戦争と奴隷制度、司法の在り方など、アメリカの成り立ちにおいて最も大事なトピックを網羅的に解説している。この本を読むことでアメリカ合衆国の見方が変わった。
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憲法には奴隷という言葉は一度も出てこない。 奴隷には自由はなかったが、食事は十分に与えられ、犯行しない限り大切にされていた。 アメリカの歴史は奴隷の歴史。
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アメリカは歴史のない国といわれるが,実は最も古い憲法を使っている。幾度かの修正はあるが,二百年以上前にできた合衆国憲法がこの国のかたちを決めている。この間,例えばフランスは王政・共和制・帝政と十回近くも政体の変更を経験し,二次大戦後にも政変があり今は第五共和制。アメリカでは,国...
アメリカは歴史のない国といわれるが,実は最も古い憲法を使っている。幾度かの修正はあるが,二百年以上前にできた合衆国憲法がこの国のかたちを決めている。この間,例えばフランスは王政・共和制・帝政と十回近くも政体の変更を経験し,二次大戦後にも政変があり今は第五共和制。アメリカでは,国の基本は二世紀以上にわたり一貫している。初代ワシントンから,必ず四年に一度大統領が選ばれている。オリンピックイヤーの来年,また選挙がある。 この本は,アメリカ合衆国憲法史の入門書。2000年,ブッシュ対ゴアの熾烈な選挙戦で,焦点となった票の再集計問題が連邦最高裁の判断により終熄。裁判所が大統領を決めたともいえる,記憶に新しいこの事件を導入部として,合衆国と憲法の歩んできた途をたどる。上下二巻,計六百頁と結構分量があるが,一気に読んでしまった。 成立当時から完全な憲法などは存在しない。合衆国憲法ができ,十三の州毎の独立性が高かった連合会議が発展的に解消して連邦政府ができるが,はっきり言って妥協の産物。連邦の権限をどの程度認めるかなど南北の対立も孕んでおり,意見の対立する部分で憲法に明確な規定をすることはできなかった。連邦成立のためにはやむを得なかったが,後に内戦につながる禍根を残した。 当初の憲法解釈では,連邦の権限は弱く,州の権限は強く解されており,連邦最高裁の権威もたいしたことがなかったが,十九世紀初め,連邦最高裁は自身の権限を広く認める劃期的な判決を出す。マーベリー対マディソン事件判決である。これによって連邦最高裁の違憲審査権が確立し,州や連邦の法令が憲法に適合するか否かを積極的に判断するようになっていく。 国家に危機が迫ると,それに対処するため集権性が高まっていくのは,歴史の必然である。アメリカでも南北戦争,世界大戦を通じて,憲法こそ変わらないものの,連邦の権限が格段に強くなってきた。国防や外交,州間の通商に関してしか権限がないとされ,小規模だった連邦政府も,次第に人々の生活に直接関係する規制を行うようになる。物品の最高価格を決定し,それに反する業者に処分を行う経済法令はその典型的なものである。なかでも戦時に国軍最高司令官となる大統領の権限は二十世紀になると特に強大になる。州の主権を広く認めていたはずの合衆国憲法下で,どうしてこのような連邦政府の膨脹が起きたのか。州による人権侵害を禁止した修正条項の役割もあるが,主な根拠は当初から憲法にある州際通商条項の拡大解釈である。 州際通商とは,複数の州にまたがる商業行為を指す。かつては,州内で完結する取引が多く州間のものは例外的と見られており,その例外的な州際通商に限って連邦の権限を認めていた。しかし,時代がすすむにつれ,技術が進歩し,商行為の範囲も拡大し,純粋に州内といえるものは少なくなっていく。さらに,一見州内で完結する取引であっても,その結果として他州からの取引が阻害される等,間接的影響があれば州際通商である,とする最高裁判決が出てからは,ほとんど全ての企業活動に連邦法の網をかぶせることができるようになる。ずいぶんな論法だと思うが,現実とはそんなものだ。 もちろんこのような連邦の肥大化には反発の声も大きかった。特に両派の確執が激しかったのが大恐慌後のニューディール。民主党のルーズベルト大統領は,国難に対処するため次々に経済を規制する法令を出す。これに対し,当時保守的だった連邦最高裁は,合衆国の伝統にそぐわないと違憲判決を連発,法令を次々無効にしてしまう。これを大統領は黙殺,同様の法令を再度通して国民生活に規制をかける,というシーソーゲームが行われた。結局は大統領側が信念を押し通し,最高裁が屈する形で結着,以降,大きな連邦政府が現在まで続く。 ニューディールでは折れたとはいえ,連邦最高裁の役割は今も大きい。その象徴が冒頭の大統領選である。最高裁判事は憲法の規定により終身で,欠員が生じると大統領が指名する。定員は九人で,任期がなく三十年以上も在職することがあるから,一人の意見がとても大きな意味をもつ。大きな政治問題をいくつも抱えるアメリカでは,判事の価値観も鋭く分かれ,自然裁判所の政治性も濃厚になる。大統領が共通する価値観の判事を指名するといっても,四年間の任期中に欠員が出ないこともあり,現政権と最高裁の立場がずれることはよくある。最高裁判事の交替は国民も注目し,報道も大きくなされる。かの国では何事もショーのようだ。日本ではせっかく最高裁判事の国民審査制度があるのに,ほとんど意味をなしていないのは少し残念だが,国民性の違いだろうか。
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各時代にはそれぞれ連邦最高裁判所による重要な判決が出されています。 本書はその連邦裁判所による重要な判決を視点とし、アメリカ史を辿っていきます。 上巻ではまず、2001年のブッシュ氏の大統領選挙において裁判所が果たした役割について触れ、近年の連邦憲法と連邦最高裁判所について...
各時代にはそれぞれ連邦最高裁判所による重要な判決が出されています。 本書はその連邦裁判所による重要な判決を視点とし、アメリカ史を辿っていきます。 上巻ではまず、2001年のブッシュ氏の大統領選挙において裁判所が果たした役割について触れ、近年の連邦憲法と連邦最高裁判所について説明します。その後、時代を遡って建国期から近代までの歴史を辿ります。 本書の資料として嬉しいのは、上巻の最初にアメリカ合衆国全土の地図と州の誕生年月日が付いている事。これによって読み進めながら州の場所や全体図を確認できます。 逆に資料として物足りないのは、合衆国憲法が全て英文である事。和訳で憲法を読む必要のある人は、本書とは別に憲法の和訳を用意した方が助かると思います。
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