ドリアン・グレイの肖像 の商品レビュー
全編通して逆説を言い続ける友達と、 気に入った本を9冊買って違う色のカバーをかけ、その日の気分に合った色のを読むというくだりが良かった。
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唯美主義に浸りたいだけの気持ちで読むには人生動かされすぎる問題作でした((汗 ここから得るものはかなり大きいので、人生で読んでおいた方がいい作品だと思うのですが、あらすじとか教養として知っていただけの大雑把な内容などから受けるイメージは軽すぎたかもしれません。 実際に読んでみた...
唯美主義に浸りたいだけの気持ちで読むには人生動かされすぎる問題作でした((汗 ここから得るものはかなり大きいので、人生で読んでおいた方がいい作品だと思うのですが、あらすじとか教養として知っていただけの大雑把な内容などから受けるイメージは軽すぎたかもしれません。 実際に読んでみたら無秩序が予想の遥か上をいっていて、とにかく怖い怖い! 怖がらせるためのホラー小説よりもずっと怖いです……。 凄く重く心にのしかかるものがあり、考えようによっては財産にもなり得ると思うので、読んでよかったというのは素直な感想ですが、ただ私は実際に読破する前の、大まかな知識だけの時の方がこの作品が好きでした。 全て含めて最終的に星4です。
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読んでいて映像が目に浮かぶような筆致。 しかし、ぐいぐい引き込まれていく展開ではなかった。 発表当時はセンセーショナルだったと思われるが、21世紀の今だと特に印象に残らない。 ワイルドの他の作品も読んでみて、ワイルドの自分なりの評価を決めたい。
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その若さと美貌と富ゆえに、純粋であった主人公ドリアン・グレイが、彼の信奉者たる画家のバジル・ホールウォードにその肖像画のモデルとされる。生き写しとされたその作品が保ち続ける若さと、重ねられていくグレイの悪徳の相反性に彼は苦しめられていく。ラストのモダンホラー的展開にしても何か彼の...
その若さと美貌と富ゆえに、純粋であった主人公ドリアン・グレイが、彼の信奉者たる画家のバジル・ホールウォードにその肖像画のモデルとされる。生き写しとされたその作品が保ち続ける若さと、重ねられていくグレイの悪徳の相反性に彼は苦しめられていく。ラストのモダンホラー的展開にしても何か彼の暗喩である肖像画に込められた芸術への皮肉が意味されているのだろうな、と浅はかな読者である僕は解釈した。作者であるオスカー・ワイルドの純粋な美と芸術の素晴らしさと恐ろしさの観念に当てられたのでした。
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「魂は恐るべき実体なのだ買うことも売ることも交換することもできる。毒することもあるいは完璧にすることもできる。われわれひとりひとりのなかに魂があるのだ。ぼくにはそれがわかっている」 魂はそもそも、物質に還元されない人間の認識様式をさすものだと私は思うが、自らの放蕩によって穢れて...
「魂は恐るべき実体なのだ買うことも売ることも交換することもできる。毒することもあるいは完璧にすることもできる。われわれひとりひとりのなかに魂があるのだ。ぼくにはそれがわかっている」 魂はそもそも、物質に還元されない人間の認識様式をさすものだと私は思うが、自らの放蕩によって穢れてゆく絵姿をみたドリアングレイにとっては、魂が実体となって現れたように感じられたのだろう。 また、買うことも売ることもできるというのは、自分の魂は他者から借りる人生観により、そのありようを誘導されることも、あるいは、自身が他者を拐かし、その魂の在り方を変容させてしまうことも自身の経験から見出した言葉だと思う。 ヘンリー卿の言葉に陶酔し、快楽に身を落とし続けたドリアンも物語終盤には、善良に生きたいと願うようになり、そのようになるためには過去の自分を精算する必要を何処かで感じていた。 しかし、物語の結末では、それが叶わなかった。 このことは、穢れはたとえ借り物のであったとしても、生きかたに反映された途端に自身の血肉なるということを暗示していると思う。 純真無垢な自分を取り戻すには、穢れの染み付いた魂を浄化する必要があったが、それは自分自身だったのであろう。
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誰もが羨望する美青年ドリアンとその肖像画の話。画家が全精力を注いだドリアンの肖像画は、彼が悪行を行うことによって、醜い姿へと変貌してゆく。ストーリーとしては面白いが、主旨から反れていく場面がたびたびあるため、せっかくのところで興醒めしてしまった。
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名家で孤独に育った成人間近い美青年のドリアンは、懇意で彼を崇拝する画家バジルに肖像画を描かれている。ドリアンは彼の美貌を写しとった肖像画の出来栄えに、自身の分身だと満足する。バジルを介して知り合った妻帯者ヘンリーは、肖像の出来とドリアンの美しさを讃えながらも、いずれは誰もが醜く老...
名家で孤独に育った成人間近い美青年のドリアンは、懇意で彼を崇拝する画家バジルに肖像画を描かれている。ドリアンは彼の美貌を写しとった肖像画の出来栄えに、自身の分身だと満足する。バジルを介して知り合った妻帯者ヘンリーは、肖像の出来とドリアンの美しさを讃えながらも、いずれは誰もが醜く老い、そして老いれば何も残らないと厭世的な人生観を語る。ヘンリーの言葉に、ドリアンは自身の美貌が衰えていくことを想像して恐怖し、老いさらばえるのが肖像であってくれればと嘆く。次第にシニカルなヘンリーに感化されるドリアンは、ある日、美しい恋人のシビルをヘンリーとバジルに紹介する。しかしシビルはドリアンの友人たちを幻滅させてドリアンの怒りを買う。帰宅後に激昂したことを後悔するドリアンは、肖像画の異変に気が付く。 話の筋だけを取り出せば短かい寓話のようにまとめることも可能でしょう。主要人物も上記で触れた四人以外では、シビルの弟ジェイムズが存在する程度とわずかです。大まかな展開は『ファウスト』を思わせます。叶わない願いを抱き願をかけるファウスト役がドリアン、ドリアンを頽廃的な思想に導くヘンリーはメフィストフェレス役、そして、オカルト要素を担うのがタイトルであるドリアンの肖像です。やや怪奇がかった寓話のような物語に、富裕な生活を頽廃的な耽美さをもって描き、そこにヘンリーの饒舌で背徳的な人生観が付加されることで、十九世紀のイギリスを舞台に妖しい世界観が醸造され、ドリアンが闇深い街を彷徨う情景が目に浮かびます。通読して、教訓を考察したくなる方も多いのではないでしょうか。
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ゴシック小説第2ブームの代表作(最初のブームの代表作は「フランケンシュタイン」)。もうプロットが大天才なんじゃ...天才であると同時にかなりシンプルなんだけど、しかしその肉付けがモリモリモリ...いやあものすごいものをよんだなあ...! 「なにはともあれ有害な書物であった。あた...
ゴシック小説第2ブームの代表作(最初のブームの代表作は「フランケンシュタイン」)。もうプロットが大天才なんじゃ...天才であると同時にかなりシンプルなんだけど、しかしその肉付けがモリモリモリ...いやあものすごいものをよんだなあ...! 「なにはともあれ有害な書物であった。あたかも香の強烈な匂いがこの本の頁にまとわりつき、頭脳を濁らせているかのようだった。」(p.247)この本もそうだと思う(笑)わたしにとっての新しい視点からの考え方をめちゃくちゃ吹き込まれた!でもそれが良いことなのかこの作品に関してはちょっぴりわからないのも事実(笑) オスカーワイルドの逆説は奇抜で常識に囚われてなくてほんと「美!」って感じで好きだけど、深くまで共感できなくてよかったってちょっと安心する部分もあるから(笑)まさに、「かれのことばは華麗にして奇抜、そして無責任きわまりないものだった。」(p.88) 「言葉!ただの言葉!その言葉のおそろしさ!明晰さ、なまなましさ、残酷さ!」(p.45)この本の中の言葉たちに何度か殴られた気がする...そしてゾクゾクもした...言葉ってすごい。本当になまなましい。 「一生にまたとないロマンスなどとは言わないほうがいい。わが生涯における最初のロマンスとでも言うのだ。」(p.102)オスカーワイルドの言葉って、"まあたしかにそうかも...たしかに当たってる...けど!本気でそれ思ってるの?!ハァ...!?"ってなることが多いんだけど、この警句?は唯一素敵だなって思った。 これもすき。「部屋のなか、あるいは朝空のなかにふと認められた色合い、昔好きだったために、いまでも嗅ぐたびに妙なる思い出を匂わせる香水、かつて眼にふれたことのある忘れられた詩の一行、弾くことをやめてしまった曲の一節、いいかい、ドリアン、こういったものにこそ、人間の生活は左右されているのだ。」 「この世に存在する精美なるものの背後には、つねに悲劇的な要素が宿っている。一輪のみすぼらしい花が咲きいでるためにも、世界は陣痛を味わわねばならない。」(p.76)まあこれも真理よなあ...こういうのがゴロゴロある...!! 総じて、ヘンリー卿ほど美男子アイドルオタクに向いている人いないと心の底から思った(笑) 2カ月前くらいから、生まれてはじめてアイドルにハマっているけれど、アイドルって偶像崇拝だから、ぐるぐる考えてしまうタイプのわたしには難しいなあって悩んでいるところ。もしわたしがこの作品の世界に生きているなら、ドリアンを偶像崇拝して身を滅ぼすうちの1人だな。しかも本文にすら載れないカットされる。まちがいないな。
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面白かったです。 ヘンリー卿の言うことは飛び飛びにしか分からなかったけれど、これはもっと頭が柔らかい時に詠んでたら影響を受けまくって、更に頽廃的な生き方してただろうと思います。 「自分の道徳的偏見を吹聴するためにこの世に送られてきたわけでもあるまいし」は、そう!と思いました。 芸...
面白かったです。 ヘンリー卿の言うことは飛び飛びにしか分からなかったけれど、これはもっと頭が柔らかい時に詠んでたら影響を受けまくって、更に頽廃的な生き方してただろうと思います。 「自分の道徳的偏見を吹聴するためにこの世に送られてきたわけでもあるまいし」は、そう!と思いました。 芸術は疾病で、愛は幻想。 幻想小説だったけど、悲劇的なラストも良かったです。 いきなりのチェーザレ。。。
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ヘンリー卿の言葉が刺さる人には楽しいのかもしれない。 私はほとんどヘンリー卿の言ってることにも態度にも惹かれるところがなかったので…あまり楽しめなかったかな…。 特に、女は男は〜なんて大きな括りで語る人はどうも苦手なので…。 ドリアンも美しいは美しいんだろうけど、それ以外の魅力が...
ヘンリー卿の言葉が刺さる人には楽しいのかもしれない。 私はほとんどヘンリー卿の言ってることにも態度にも惹かれるところがなかったので…あまり楽しめなかったかな…。 特に、女は男は〜なんて大きな括りで語る人はどうも苦手なので…。 ドリアンも美しいは美しいんだろうけど、それ以外の魅力がイマイチ伝わってこなかった。 罪や肖像画に苦しむ様や、『過去を考える必要なんてない』みたいな部分には惹かれるものがあった。 オチは今となってはベタと思われがちな展開ではあると思うけど良い終わり方だったと思う。
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