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きれぎれ の商品レビュー

3.5

112件のお客様レビュー

  1. 5つ

    12

  2. 4つ

    42

  3. 3つ

    35

  4. 2つ

    13

  5. 1つ

    1

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2023/10/26

イカれ徒然草。すごい。 あまりにもとりとめのない脳内イメージを、厳密に明確に克明に文章に落とし込んでいる。文体も相まってスルスルと脳内にインストールされてしまう。 あんまり深入りしすぎると自分の口調とかも影響受けそう、日常に悪影響が出そう。危険。 読書になにか意味を求める人に...

イカれ徒然草。すごい。 あまりにもとりとめのない脳内イメージを、厳密に明確に克明に文章に落とし込んでいる。文体も相まってスルスルと脳内にインストールされてしまう。 あんまり深入りしすぎると自分の口調とかも影響受けそう、日常に悪影響が出そう。危険。 読書になにか意味を求める人には向かない。ただの暇つぶし、エンタメだって思える人なら楽しめると思う。

Posted byブクログ

2024/01/15

☆3.5 駄目男  中学か高校の頃に読んで感銘を受けたが、内容を忘れ、昔の感想を読んでも意味不明なので再読した。  のべつ幕なしに情景と、主人公の駄目男の語りが入り乱れる。そのリズム感・グルーヴ感に踊らされ、酔ったやうになるのがこの小説の醍醐味だ。決してストーリーで感銘を与へる...

☆3.5 駄目男  中学か高校の頃に読んで感銘を受けたが、内容を忘れ、昔の感想を読んでも意味不明なので再読した。  のべつ幕なしに情景と、主人公の駄目男の語りが入り乱れる。そのリズム感・グルーヴ感に踊らされ、酔ったやうになるのがこの小説の醍醐味だ。決してストーリーで感銘を与へるタイプではない。  芥川賞の銓衡は、池澤夏樹と宮本輝が相変らずだが、石原慎太郎がほめてゐるのは意外な気がしてしまった。選評《それぞれが不気味でおどろおどろしいシークエンスの映画のワイプやオーバラップに似た繋ぎ方は、時間や人間関係を無視し総じて悪夢に似た強いどろどろしたイメイジを造りだし、その技法は未曾有のもので時代の情感を伝えてくる。》  古井由吉の選評《反私小説の行き方を極端まで取ろうとしながら、いつのまにか私小説の矛盾域、のようなところへ踏みこんだ。》は腑に落ちた。駄目男の私小説みたいだ。『くっすん大黒』の三浦雅士の解説のとほり、一種の太宰治だと気がつく。

Posted byブクログ

2022/09/02
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

『きれぎれ』 町田康 (文春文庫) 芥川賞受賞作である。 表題作「きれぎれ」と「人生の聖」の二編を収録。 すごかった。 ものすごい読後感。 こんな気分は初めてだ。 読んでいる途中は、もうここでやめようと何度も思うほど、めちゃくちゃ気分悪くて(特に「人生の聖」の脳みそのところとか)、何だこれは最悪だ、と思っていたのに。 読み終わった後の、この不思議な感覚は何? わからん。 不快感の中にスッとひとすじ射す爽快感とでも言えばいいのか。 現実と非現実、そして脳内妄想の混在ぶりが初っ端からタダゴトじゃなく、いきなり百貨店の屋上からぽんぽんと景気よく人々が飛び降りる、というようなシーンから物語は始まる。 主人公はおぼっちゃんなのだが、高校中退で浪費家で労働が大嫌いでランパブ通いが趣味という、町田ワールドの必須アイテムといえるダメ男である。 もちろんオール一人称独白。 当然変人。 しかし、『くっすん大黒』の楠木や『人間の屑』の清十郎などのように、頭の中の変なことが行動と直結している、という変人とは少しタイプが違う。 「夢見がちな性格」と作中で主人公本人も言うように、頭の中であらゆる物事が発生し、増殖し、あふれかえっていて、とりとめのない世界が展開されているのだ。 実体のない乱痴気騒ぎと、主人公の理路整然とした語りとを繋げようとすると失敗する。 これは読み手に自分の立ち位置を分からなくさせる小説だ。 主人公と、主人公以外。 自分はどちらの側にいればいいのかと考えた瞬間、足元がすこんと抜け落ちる不安感に襲われる。 ストーリーというのは、あんまり説明する意味がないだろうなぁ。 ただ文章はものすごく濃い。 漢字を多用した堅い文体の中に、突然句読点ぶっちぎりの平仮名ばかりのへらへらした意味不明な文章が混ざっている混沌とした世界。 ところで、この「きれぎれ」は(「人生の聖」もそうだが)、今までの人生脱落者の物語とは少し雰囲気が違うような気がする。 いままでのは、うわ、これはひどい、バカやな、でもなんか憎めない、というような明るさがあった。 変人の変人的牽引力にぐいぐい引っ張られて、つられて笑ってしまうような。 しかし今作は少し複雑である。 主人公の心の闇が丸見えだ。 しかも相当危うい。 文章が短く切れていて異常に読みやすいのも何だか不気味だ。 集中豪雨の中で、主人公が散歩をするシーンが、やけに印象に残った。 なぜわざわざそんなことをするのか。 理由は分からないのだ。 でも、濡れてへなへなになった毛織物の上着とか、セロファンに雨が溜まってぐずぐずになった煙草を吸おうとするところやなんかが、映像を見るように鮮やかに心に残る。 たぶん、言っている内容のわりに言葉が的確で、きちんと綺麗だからなのではないだろうか。 「俺はなんとしてでも煙草を吸わなくては、と思った。いまここで煙草を諦めれば、俺は生涯諦め続ける、と思った。集中豪雨の日に光の輪のなかで煙草を吸う。それは個人的な行であり十字架である。」 または朝の風景。 「朝の光は綺麗だなあ。この光線が一日続けば空間の破れも治癒するだろうに、十一時くらいから空気はだんだんに汚れて凡庸なただの光になってしまう。悲しいことだ。しかしながらいまは綺麗。畳に突き刺した鎌が斜めの光の中できらめいている。」 妻とともに吉原の展覧会へ向かうラストシーンもいい。 「外見上、おれは、うまく歩いている。おれは外見上は普通に歩けているように見えているのだ。」 “おれ”と、平仮名に変わっているところがちょっと怖い。 この物語の主人公は、本当はこれ以上ないほど、深く覚醒しているのではないか。 それとも、もしかして、すでに違う何かになっていたりはしないか。 ……侮れない。 意外と深い。 でもおすすめはできない(笑) 最後に彼が振り返ったときに見た青空が、すべてを読み終えた今、なぜか目に痛いような気がした。

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2021/11/24

正直意味は全然分からないんだけど面白くないというのもちょっと違う。ただ面白いと言うのは我ながら何だか分かったフリをしているような気がしてしまう。 しばらくしたらまた読んで見る

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2021/09/02

新聞の読書欄で『面白い人だな。え、芥川賞受賞されている⁈』って事で読んだのですが、頭悪くて理解出来ませんでした。

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2020/10/30

パンクロッカーである町田康さんの芥川賞受賞作。2000年度受賞なのでもう20年も前なのか。 突拍子のない展開や描写はどこかパンクっぽい。ことの成り行きをひたすら記述するスタイルはデビュー作『くっすん大黒』とも似ているのだが、展開の摩訶不思議さをとくに楽しむことも出来ず、読む頭が...

パンクロッカーである町田康さんの芥川賞受賞作。2000年度受賞なのでもう20年も前なのか。 突拍子のない展開や描写はどこかパンクっぽい。ことの成り行きをひたすら記述するスタイルはデビュー作『くっすん大黒』とも似ているのだが、展開の摩訶不思議さをとくに楽しむことも出来ず、読む頭がついていかなかった。一読して、思い返しても何が書いてあったのかよくわからない。ひたすらわけのわからないことが語られている。 デビュー作がパンクっぽくなかった分、反動なのかとてもパンクっぽい作品だ。これは町田さんが進化したのか、あるいは劣化した結果なのか、どっちだろう。芥川賞の選考も支持と不支持で真っ二つに割れたという。僕は『くっすん大黒』のほうがはるかに良いと思ったし、正直これで芥川賞ならデビュー作でのほうが良かったなと思ってしまった。

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2020/01/14

とにかく文体の異常性が際立つ。また破綻したような物語がギリギリの状態で突っ走っているだけではなく、一見関係なさそうな描写の糸端のようなところから次の場面へのに跳躍する独特異常なストーリーテリングも大きな特徴。メタ的な発言、描写を物語の本筋とは関係のないところでインサートし、それが...

とにかく文体の異常性が際立つ。また破綻したような物語がギリギリの状態で突っ走っているだけではなく、一見関係なさそうな描写の糸端のようなところから次の場面へのに跳躍する独特異常なストーリーテリングも大きな特徴。メタ的な発言、描写を物語の本筋とは関係のないところでインサートし、それがまた特異なユーモアを含んでおり、今作のおかしみを膨らませている。

Posted byブクログ

2019/06/02

刊行当時手にとって挫折したので19年ぶりのリベンジ。 面白いし「一言も。ねぇ。」とかふふってなるところもあるんだけど、趣味の合わないギャグ漫画読まされてるような感じだった。

Posted byブクログ

2019/12/26

町田康独特のブラックユーモアは面白い。 しかし内容が読解力不足なのか町田康のはちゃめちゃストーリーのせいか私の中に入ってこなかった。 もしくは芥川受賞という名声の影響かもしれない。 以上。

Posted byブクログ

2019/02/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

小説というより詩集のような。 リズミカルな言葉遊びが、自然と視線を文の先へ先へ送り出す。 社会への侮蔑、敵意、慢心がそっくりそのまま自己へ帰ってくる。太宰の人間失格を町田康風に咀嚼したらこんな風になるかなぁなんて考えました。

Posted byブクログ