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絶叫城殺人事件 の商品レビュー

3.8

141件のお客様レビュー

  1. 5つ

    25

  2. 4つ

    54

  3. 3つ

    45

  4. 2つ

    5

  5. 1つ

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2015/05/30

「黒鳥亭殺人事件」、美しい話だけど、この短編集のなかで一番後味が悪かった。 所々説教っぽいのは前からだったかなあ? 説教というか、愚痴? 火村の抱えているものはずっと明らかにならないような気がするけど、それはそれでいいのかな。向き合うときが、作家アリスシリーズの終わるときのような...

「黒鳥亭殺人事件」、美しい話だけど、この短編集のなかで一番後味が悪かった。 所々説教っぽいのは前からだったかなあ? 説教というか、愚痴? 火村の抱えているものはずっと明らかにならないような気がするけど、それはそれでいいのかな。向き合うときが、作家アリスシリーズの終わるときのような気がする。それこそ「絶叫城殺人事件」のように、火村自身が変身してしまいそう。

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2015/05/26
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有栖川有栖による、作家アリスシリーズの短編集。 本作は珍しく収録作品全てに「〜殺人事件」と冠してあり、それぞれの物語が殺人を扱うことだけは確実に提示されている。そのバリエーションは様々で、その舞台となる建物もまた様々である。 表題作の「絶叫城」はホラーゲームの舞台であり、このゲームを模した殺人が展開されているように物語が進行していく。ホラーゲームも理不尽なストーリーだが、これを模した犯人も相当理不尽だ。さらに、現実でもよく展開される論理、「ホラーゲームをやるからこんな事件を起こすやつが出てくる」「規制を強くしろ」といった攻撃に対する作家アリスの思いを、本人が口にしたかろう言葉で反論するくだりもあり、興味深い。作者にその意図があったか、たまたまだったかは知る由もないが、表現・言論の自由についても考えさせられる佳作である。 他の作品も秀逸で、「月宮殿殺人事件」も、まさかこんなこととは、という展開を見せる。作者の知識の懐の深さを垣間見ることができる作品だ。

Posted byブクログ

2015/03/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

book-offで購入 ショートカットで丸顔の女性ばかりが狙われる、連続殺人事件が発生した。 3人目の被害者の口の中には「NIGHT PROWLER」と書かれた紙片が押し込まれていた。実は1人目と2人目の被害者にも、文字は判別できないが同じような紙片があった。 この事件は、残酷なバーチャルホラーゲームになぞらえてあり、犯罪社会学者の火村とアリスのコンビが事件の謎を解く。 他に、5編収録。

Posted byブクログ

2015/02/01

殺人事件の前にくる言葉は建物の名称でそろえること、作中の殺人は必ず夜に起こること、が縛りの〈建物シリーズ〉と呼んでも差し支えのない、建物が立派な主役になっている短編集。アリスのアシストを火村がゴールにねじ込む二人の息の合い加減が見事。もしかしたら船曳警部はアリスの雑談・雑考力?こ...

殺人事件の前にくる言葉は建物の名称でそろえること、作中の殺人は必ず夜に起こること、が縛りの〈建物シリーズ〉と呼んでも差し支えのない、建物が立派な主役になっている短編集。アリスのアシストを火村がゴールにねじ込む二人の息の合い加減が見事。もしかしたら船曳警部はアリスの雑談・雑考力?こそを森下刑事が学ぶとよいと思っているのかも? ◆黒鳥亭殺人事件 主な現場:丹後半島の奥の天農仁宅、黒鳥亭 警察サイド:具体的人物は登場なし、京都府警管轄? 時期:春? 大学の同級生、天農仁とその娘・真樹ちゃんが登場。外壁な黒一色に塗られている洋館、屋根裏部屋、少女の手のひらのうえにのっているもの。 ゴチック調の暗く低音の響く調べの合間に挟まれる、無邪気なピアノのメロディのような真樹ちゃんの存在と〈二十の扉〉のやり取りが可愛い。名短編。 ◆壺中庵殺人事件 主な現場:新町の一軒家の地下室「壺中庵」 警察サイド:狭苦しいところが苦手そうな京都府警 柳井警部 時期:? いわゆる「密室」殺人事件。密室に続き、頭の上にかぶされた壺など珍奇な状況に目を奪われがちななかで、火村の地に足がついた推理が冴えている。 ◆月宮殿殺人事件 主な現場:とある県境近くの小さな町の川原 警察サイド:四十過ぎくらいの受け口の刑事ほか地元所轄の捜査官 時期:5月 とある事件のフィールドワークの帰りにたまたま立ち寄ることになった火災現場での事件。 川原の「豪邸」が夜に聳え立ち光を弾くイメージと、アリスの部屋に流れてくる綺麗な単語たちが秀逸。どこか哀しい事件のあと、さりげない温もりで締められるところも好き。 ◆雪華楼殺人事件 主な現場:鞍馬山の懐深くの鉄筋コンクリート「雪華楼」 警察サイド:高所恐怖症気味の京都府警 柳井警部 冷静な梅津警部補 時期:2月10日~ 一面の雪に本人の足跡しか残っていない雪華楼屋上。その謎だけでなく、アリスが辿る刹那に生きる若い男女ふたりの想いが胸に強く残る。 ◆紅雨荘殺人事件 主な現場&舞台:箕面の本家紅雨荘、高槻の映画版紅雨荘 警察サイド:大阪府警船曳班 時期:9月18日~ アリスの青い鳥は車検、火村のベンツは調子が悪く、森下刑事の車で移動。ほかにセドリックやフェアレディ等車が多数登場。 華麗な洋館や立派な和風建築を舞台に、長きにわたる切ない恋愛を描いた映画や精巧で美しい人形たちが彩るイメージ豊かな短編。 映画の1シーンとアリスの想いが混ざり合う語りだしが不思議で好き。 ◆絶叫城殺人事件 主な現場: 警察サイド:大阪府警船曳班 時期:6月 あるゲームを彷彿とさせる、女性ばかりを襲う連続殺人事件。 降りしきる強い雨と大阪府警の大きな動きを主旋律、宇多田ヒカルの『ファースト・ラブ』を副旋律に、ゲームを素材にしながらそのゲームをはるかに超え、その社会的問題の喉元に刃を当てさえする名短編。

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2015/02/01

「NIGHT PROWLER(夜、うろつく者)」と記された小さな紙片を、口の中に押し込まれ、次々と殺害される若い女。残酷な無差別殺人事件の陰には、カルトなホラー・ゲームに登場するヴァーチャルな怪物が―。暗鬱の「絶叫城」に展開する表題作ほか、「黒鳥亭」「壷中庵」「月宮殿」「雪華楼」...

「NIGHT PROWLER(夜、うろつく者)」と記された小さな紙片を、口の中に押し込まれ、次々と殺害される若い女。残酷な無差別殺人事件の陰には、カルトなホラー・ゲームに登場するヴァーチャルな怪物が―。暗鬱の「絶叫城」に展開する表題作ほか、「黒鳥亭」「壷中庵」「月宮殿」「雪華楼」「紅雨荘」と、底知れぬ恐怖を孕んで闇に聳える六つの迷宮の謎に、火村とアリスのコンビが挑む。 一風変わった建物が舞台の短編集。 「絶叫城殺人事件」が一番好き。

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2014/12/31

有栖川有栖の『絶叫城殺人事件』を読了。様々な建物での殺人事件が描かれる(『絶叫城殺人事件』は建物という訳ではない)。 読む前に「おや?」と思ったのが、短篇すべてのタイトルが『~殺人事件』となっている。これは有栖川作品にとって、初の試みではないだろうか。それもその筈、読んでみると...

有栖川有栖の『絶叫城殺人事件』を読了。様々な建物での殺人事件が描かれる(『絶叫城殺人事件』は建物という訳ではない)。 読む前に「おや?」と思ったのが、短篇すべてのタイトルが『~殺人事件』となっている。これは有栖川作品にとって、初の試みではないだろうか。それもその筈、読んでみると『〜殺人事件』というタイトルは好きではないのだという。しかしそれは作中の登場人物「有栖川有栖」のことで、作品自体の生みの親である「有栖川有栖」本人はむしろ好きであるという。これは知らなかったが、なかなか新鮮だったと思う。 本作の舞台となる建物だが、ゴミでつくられたものや映画の撮影に使われたものなど、実にバリエーションに富んでいる。 一番印象的だったのは表題作。通り魔の可能性があり、今までとは違うタイプの犯人が相手になる。『絶叫城殺人事件』は建物ではなくゲームの名前から来ている。ゲーム内容は、NIGHTPROWLERと呼ばれる怪物に若い女性が次々に殺されていく、というもの。殺される理由やストーリーは特にない。 ちなみに、この『絶叫城殺人事件』が、すべてに説明をつけて謎を解くことが出来た初の作品になった(記憶が正しければだが)。伏線が多かったり、消去法を使ったのが効果的だったのかもしれない。 ゲームに影響されたのか、そうではないのか。ゲームやマンガに影響されたような事件が現実で起きると、マスコミは規制だ何だとすぐに騒ぎ立てるが、そういう問題も含んだ一篇となっている。 作家アリスシリーズは実に色々なアイディア作品があるが、本作もいい出来だったと思う。

Posted byブクログ

2014/11/18

火村アリスシリーズ。 今回は「黒鳥亭、壷中庵、月宮殿、雪華楼、紅雨荘、絶叫城」の奇妙な・・というか独特な建物での殺人のお話。短編集です。 なんというか、これくらいが肩の力を抜いて楽しめるいいサイズな感じ。建物って縦軸で短編もまとまりがいいし、読んでいてちょうどいい面白さ。ちょっ...

火村アリスシリーズ。 今回は「黒鳥亭、壷中庵、月宮殿、雪華楼、紅雨荘、絶叫城」の奇妙な・・というか独特な建物での殺人のお話。短編集です。 なんというか、これくらいが肩の力を抜いて楽しめるいいサイズな感じ。建物って縦軸で短編もまとまりがいいし、読んでいてちょうどいい面白さ。ちょっとした時間に気軽に・・・という。「人生を変えた一冊!」とはならないでしょうが、ふとした時にまた読み返したくなる一冊。

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2014/08/01

「NIGHT PROWLER(夜、うろつく者)」と記された小さな紙片を、口の中に押し込まれ、次々と殺害される若い女。残酷な無差別殺人事件の陰には、カルトなホラー・ゲームに登場するヴァーチャルな怪物が――。暗鬱の「絶叫城」に展開する表題作ほか、「黒鳥亭」「壺中庵」「月宮殿」「雪華楼...

「NIGHT PROWLER(夜、うろつく者)」と記された小さな紙片を、口の中に押し込まれ、次々と殺害される若い女。残酷な無差別殺人事件の陰には、カルトなホラー・ゲームに登場するヴァーチャルな怪物が――。暗鬱の「絶叫城」に展開する表題作ほか、「黒鳥亭」「壺中庵」「月宮殿」「雪華楼」「紅雨荘」と、底知れぬ恐怖を孕んで闇に聳える六つの迷宮の謎に、火村とアリスのコンビが挑む。 琴線に触れたセリフはこちら。 「――。どこで何が待っているか判らない。生きるということは、目を瞑って地雷原を走り抜けるみたいなもんです」―絶叫城殺人事件 「人生はどこに落とし穴が口を開いているか知れたもんじゃありません」―絶叫城殺人事件

Posted byブクログ

2014/04/02

久々に火村&アリスコンビに会いました。それも、私の大~好きな「館」もの。 あらすじに館の名前が出ていますが、読んだだけで怪しくていい雰囲気でしょ! しつこいですけど、私はあまり短編が好きではありません。どっちかというとじ~っくり読みたいタイプ。 だけど・・・今回は違うんですよん。...

久々に火村&アリスコンビに会いました。それも、私の大~好きな「館」もの。 あらすじに館の名前が出ていますが、読んだだけで怪しくていい雰囲気でしょ! しつこいですけど、私はあまり短編が好きではありません。どっちかというとじ~っくり読みたいタイプ。 だけど・・・今回は違うんですよん。 今まで読んできた有栖川作品の中で1番好きかもしれません。 どの作品も甲乙つけれないくらい短編なのに成熟しているといいますか、私のツボを押しています。 どの作品も味があります。そして切ないんですね~。 そしてこのコンビがピリっとほどよいスパイスを効かせているんです。 短編でこれだけいい!と思ったのは超~久しぶりかも。 有栖川氏、なんだか油がのった!っていう感じがしますです。

Posted byブクログ

2013/12/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

再読。作家アリスシリーズ11作目。 タイトルを「○○殺人事件」で揃えた6編。 「月宮殿」と「壺中庵」が印象深いです。 前者はグロテスクな美を感じさせる月宮殿の描かれ方が非常に魅力的でツボ。 月宮殿=鶴亀を先ず頭に思い浮かべてしまう能好きなので、サボテンの名前とは思いもよらず。 後者は壺を遺体の頭部に被せた真の意味のおぞましさに衝撃を受ける。 表題作は、アリスの言葉に作者の思いが乗せられているようで、痛烈な皮肉が込められているように感じる。 本編とは関係無いけれど、建築家の竹島氏の解説で語られる"秘密の部屋"が興味深い。 【メモ】殺人事件と付くタイトル解禁。夜の館の物語。火村の見抜くもの。

Posted byブクログ